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倉敷弾丸ひとり旅 2023年末

無事仕事を納めて迎えた翌日の12月28日、何の予定も入れておらずさて何をしようかと寝起きの頭で考えてみたところ、ふと倉敷に行ってみたいと前々から思っていたことを思い出した。
思い立ったが吉日、私はベッドから起き上がって洗面所に向かい、熱いお湯で顔を洗ってから身なりを整え、お気に入りの服に着替えて颯爽と新大阪駅に向かった。

新大阪駅に着いた私は券売所で自由席券を購入し、ホームで待機していた岡山方面行きの新幹線に乗り込んだ。まだ仕事納めした人が少ないからなのか、岡山方面行きだからなのか、理由は分からないが自由席には十分な空きがあった。私はその内の通路側の空席に腰を下ろし、AirPodsを取り出して奥田民生の「さすらい」を聴いた。

それから小一時間ほどで岡山駅に到着した。新幹線だと岡山って結構近いんだな。
新幹線を降りてJR山陽本線に乗り換え、20分ほどで倉敷駅に到着した。
倉敷駅前は大きな建物もなくこじんまりとしており、所狭しと建てられたビルや人ごみで騒々しい大阪駅前と比べて落ち着く雰囲気だった。

倉敷駅前の様子

駅から少し歩いて、旅のお目当てである美観地区に着いた。白壁で屋根瓦の日本の伝統的な家々が並び、この地域だけ日本の近代化から取り残された、といった感じだった。

奥に向かって道を進むと、ほとりに柳が佇む一本の川が見えた。真冬で柳の葉は枯れていたが、その分ノスタルジーな雰囲気を醸し出していた。美しい景観だった。もっと緑が生い茂る季節に訪れるとまた違った姿を見せてくれるのだろう。

倉敷川

川に沿って歩いていると、ひどくお腹が空いていることに気づいた。何か食べられる場所がないか私は探すことにした。
空腹のなか歩き続けると、倉敷デニムストリートという暖簾が掛かった場所に辿り着いた。そうえば岡山はジーンズが有名だったか。
その前には看板が立っており、そこには真っ青な肉まんの写真と「デニムまん」という文字が写っていた。全く食欲をそそられないそのビジュアルと名前に面くらったが、お腹が空いているのとシンプルに興味が湧いたので、頼んでみることにした。

倉敷デニムストリート

恐る恐るひとくち食べてみる。中には挽き肉や玉ねぎなどの具がびっしりと詰まっており、美味い。青色の生地も特に変わった味はせず、普通に美味しい肉まんだ。何事も見た目だけで判断してはいけない、そんな教訓を教えてくれたような気がした。

人生で大切なことを教えてくれたデニムまん

小腹を満たした後はお店に入って、ジーンズを見てみることにした。色々なブランドのジーンズを眺めていると、とても心惹かれる一品があり、店員さんの勧めもあって試着することに。
着たときのダボっとした脱力感、紺色の上に映える白のストライプがやはり気に入り、せっかく倉敷にも来たので思い切って購入。服にはあまりお金をかけたくないタイプである自分にとっては少し奮発したが、良い買い物だったと思う。

店員さん曰くどうやらあのヒカキンも同じデニムを買ったらしい

買い物が終わってデニムストリートを出たとき、時刻は12時を回っていた。デニムまんだけでは満足していないお腹を満たすために、ランチを取れるお店を探し始めた。

道中、洋食屋やイタリアンなど美味しそうなお店がずらりと並んでおり、どれにすべきか頭を抱えていると、「倉敷ラーメン」と書かれた看板が目に入った。倉敷ラーメンなんてあるんだと思いながらその店の前に貼られたメニューを見てみると、写真からでも分かる皮がパリパリのぎょうざと濃い黒をしたスープの醤油ラーメンが写っており、気付けばさっきまで悩んでいたグラタンやピザは頭から消え失せ、お店の前の行列に並んでいた。

しばらく待っていると店員さんが出てきて、中に通してくれた。店内はカウンターのみで、ブラウンの木を基調とした落ち着いた雰囲気だった。ちょうど一番奥の席が空いていたのでそこに腰掛けた。

座席の目の前にメニューが貼られていて、煮干しラーメンが一番人気と書いてあった。シンプルな醤油ラーメンを頼むつもりで入店したが、初めてのお店では一番人気をまずは食したいと思ってしまう性分。喉まで出ていた醤油ラーメンという言葉をすんでのところで抑えて、煮干しラーメンとぎょうざのセットを注文した。

しばらく店内の様子を観察しながら待っていると、煮干しラーメンと白米、そして付け合わせのたくあんがお盆に乗ってやってきた。熱々のうちにまずはスープを一口。醤油ベースに煮干しの旨みがふわっと口全体に広がる。美味い。
次に麺を一気に啜る。細めの麺にスープが絡みつく。これまた美味い。
今度はメンマを食べてみると、トロトロな食感で美味い。シャキッとした歯応えのあるメンマもいいけど、こっちのトロトロな方が個人的には好きだ。

倉敷らーめん升家 ぎょうざセットB定食

これは美味いと思いながら麺を啜り続けているとぎょうざがやってきたので、ラーメンを中断して早速一口放り込んだ。皮がパリパリで、噛むと肉汁がジュワッと口の中に広がる。ぎょうざも美味いな。

倉敷ぎょうざ

米粒一つ残らず綺麗に平らげた私は満腹感と幸福感と共に店の外に出た。満腹になるとコーヒーで一息つきたくなる。次の目的が定まった私は再びお店が並ぶ路地を歩き出した。

しばらく歩くと、道の端にこじんまりとしたコーヒースタンドを見つけた。コーヒースタンドの前には木で作られた縦長テーブルの周りにベンチが並べられたテラス席があり、韓国人夫妻がコーヒーを嗜んでいた。そのこじんまりとした雰囲気が気に入った私は注文口まで向かい、綺麗な黒髪のお姉さんにホットコーヒーを一つ注文した。

炭珈琲 三村

待っている間、私は店の前にあったベンチに腰掛け、挽いた豆にお湯を丁寧に注いでコーヒーを抽出している黒髪のお姉さんを何の気なしに眺めていると、隣に座っていた韓国人夫妻の夫の方が突然スマホの画面をこちらに向けてきた。
画面を見ると翻訳アプリを開いており、夫の方が再生ボタンを押すと「真心を込めてコーヒーを淹れる姿に感動しました」という日本語がスピーカーから流れた。唐突な出来事に少し微笑んでしまい、たしかにそうですね、と頷いた。
黒髪のお姉さんも唐突な賛辞に少し驚いていたが、「ありがとうございます」と韓国人夫妻に対してお礼を述べた。

綺麗な黒髪のお姉さんと韓国人夫妻に別れを告げ、熱々のコーヒーを片手に再び倉敷の探索を開始した。午後の気持ち良い陽光の下をのんびり歩きながらコーヒーを一口啜ると、丁寧に抽出された豆の香りとすっきりした酸味が口の中に広がった。

コーヒーが半分ほど無くなったところで、周りを石垣で囲まれたパルテノン神殿のような柱の建物に出会した。石垣の真ん中ほどに木製の扉が付いており、その隣には「大原美術館」と書かれた一枚のポスターが貼られていた。
そう言えば以前友人から、エル・グレコの受胎告知が保管されている有名な美術館が倉敷にあると聞いたことを思い出した。大原美術館のことかと合点がいった。
是非ともその名作をこの目で見たいと思い、中に入ろうと扉に近づくと「休館しています」と書かれた看板が立っていた。どこかで聞いた残念無念また来年というフレーズが頭の中でこだました。

まさかの休館。弾丸旅だから仕方なし

ひととおり街を見てまわり、やることが無くなった私は電車で岡山駅まで戻って岡山城と後楽園を見に行き、デミカツ丼を食べて新幹線で大阪へと帰るのであった。

岡山城
岡山後楽園
讃岐の男うどん デミカツ丼

fin.

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