作文を長く書くコツ〜まずはお散歩①〜
こんにちは、上田です。UEDA塾へようこそ!
※初めましてのご挨拶は前回の記事「オンラインで作文教室始めました。」をご覧ください。
教室で授業をしていた頃、UEDA塾での初日は、お天気が悪くない限り、まずはお散歩にでかけていました。ただnoteでの授業の第1回目は、そのお散歩に出かける前の準備編です。実際に歩いていただくのは次回ということで、今回は、全く作文を書いたことがないとか、とにかく作文は苦手というお子様でも、これなら書けそうという書き方をご紹介します。
堅苦しい説明ばかりでなく、教室で生徒の皆さんが書いてくれたことや、授業中に出た質問などを思い出しながら、時にはどうでも良いくらい細かいことまで説明するかもしれません。あるいは脱線、道草もあるかもしれませんが、ご了承ください。楽しく感じたり、好きになったりしてもらわないと、作文は長続きしませんから。
ちなみにこの内容は体験授業に参加してくださった小学3年生から中学2年生の皆さんにお伝えしてきた内容とほぼ同じものです。意外と広い年齢層が対象なんです。
第1回目のノルマは原稿用紙5行だけ
UEDA塾で初めに目指すのは長く書けるようになることです。長く書けるようになるだけで、「俺は作文得意だし!」なんて気分になれる人もいます。作文の宿題や学校の作文の時間に困らなくなったなんて人もいます。この時点でもう作文が好きになり始めている場合が多いようです。でも、焦らないでください。矛盾してるようですが、僕の塾では体験授業の1回目の目標は原稿用紙に5行書くことです。もちろんもっと沢山書きたくなったら自由に書いてみてください。
目の前で起こった出来事を積み重ねて書こう!
早速長く書くコツを一緒に身につけていきましょう。今回は多くのお子様が経験したことがある、登校シーンを例に説明してみます。
まずは悪い例から。
9月○日、僕は朝、家を出て学校に向かった。途中で友達のたけし君と会ったので、一緒に行った。
間違えではないけど、これだとすぐに書くことがなくなってしまいますね。
では次は良い例です。UEAD塾で紹介する長く書くコツは、目の前で起こった出来事を積み重ねて書いていくというものです。目の前で起こっている出来事をどのように積み重ねているか考えながら読んでみてください。
「行ってきまーす!」
僕は玄関で元気にさけんだ。ドアを開けると、真夏のような熱い空気につつまれた。
通りに出る。みんなマスクをして急ぎ足で歩いている。僕も、つられて早足になった。大通りの信号で立ち止まる。青になるのを待っていると、友達のたけし君が声をかけてきた。
「おはよう。」
「おはよう。」
僕も笑って答えた。車が止まる。信号が青になった。僕たちは、話しながら歩き始めた。……
こんな感じです。まだまだ学校には着きません。このまま書き進めたら、学校に着く頃には原稿用紙の1枚や2枚は書けていることでしょう。
改めて細かく見ていきましょう。
「行ってきまーす!」
出かけるときにこんな感じでお家の人に声をかける人が多いと思います。違うことを言うのであればそれを書いてください。例えば「じゃぁね!」とか「バイバイ!」なんて人もいるかもしれませんね。まずは出かける場面の最初に、自分が言ったことばを書けば良いのです。そしてこの作文では、これが最初の出来事になります。
ところで、出かける時に何も言わない人は、『僕は黙って靴をはいた。』なんていうのも格好良いかもしれません。正解は一つではないので、自分のことを書けば良いのです。
僕は玄関で元気にさけんだ。
これは「行ってきまーす!」と言ったことについて説明を加えているだけですので、まだ次の出来事は起こっていません。
ドアを開けると、真夏のような熱い空気につつまれた。
これが二つ目の出来事になります。ドアを開けないと出かけられないので、二つ目の出来事としてドアを開き、ついでに、そこにあった空気の様子も書いています。ここまでが家を出る場面です。
通りに出る。
ドアを開けて出かけたら、そりゃあ通りに出ます。そんなの当たり前すぎる!と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、長く書くことになれるまでは、このように目の前で起こっている出来事を順番に積み重ねてみてください。ちなみに家を出る場面から通りの場面に変わったので段落をつけていますが、今はあまり気にしないで良いです。
みんなマスクをして急ぎ足で歩いている。僕も、つい早足になった。
通りに出たら、何か目に入りますね。ここではそれを書き、次にはそれを見た時の自分の行動を書いています。見えるものではなく音や匂いが気になれば、そちらを書くのも良いですね。五感を使って、向こうからやってくる情報を集める癖がついたら、作文を書くことがとても楽になります。
大通りの信号で立ち止まる。
信号は守りましょう!
青になるのを待っていると、友達のたけし君が声をかけてきた。
「おはよう。」
「おはよう。」
僕も笑って答えた。
ここでやっとたけし君が登場します。悪い例では2文目で登場しちゃっていましたが、目の前で起こった出来事を積み重ねていくと、たけし君登場までにかなり長く書けてしまうことが分かっていただけるのではないでしょうか。
車が止まる。信号が青になった。僕たちは、話しながら歩き始めた。……
これは通常はあまり書かないかもしれませんが、大通りで車の信号が変わって目の前を往き来していた車が一斉に止まる瞬間も、気づいてみるとなかなか印象的な場面です。(無意識に聞いていた街のノイズがすっと引いていく感じが僕は個人的に好きなのです。)そういえば教室で誰かが、作文の題材を探しているうちに世界の見方や見え方が変わったと言っていました。僕もそれは感じます。
さて、ここまで例文を読んでみると、実はどこにも学校という言葉が出てきません。この後、他の友達が登場したり、ランドセルについて書かれていたり、学校のチャイムが聞こえたり、校門が見えてきたりする中で、少しずつ登校シーンだと分かれば良いのです。家から登校したことを書くという作文においては、『実は学校に行った』ということが大きな流れの結論になります。良い例の作文ではわざとその結論をなるべく後回しにして書かないようにしていたのです。目の前で起こった出来事を積み重ねて書くということは、言い換えれば、結論は初めに書かないということでもあるのです。
さて、ここまででお散歩の準備編の説明は終了となります。お疲れ様でした!次回は実際にお散歩に出ていただこうと思います。
ここから先はおまけになります。疲れた人は読み飛ばしていただいて結構です。最後に教室で生徒さんが書いてくれた素敵な表現を一つ紹介して今回の記事を終わりたいと思います。
紹介するのは暑い季節に授業でお散歩に行った時に書かれた表現です。ドアを開けた途端、やっぱり散歩やめようか?なんて思うくらいの暑い日の作文で書かれたものです。
ドアを開けると、熱い空気が私に体当たりしてきた。
太陽の焼けるような日差しの中、エアコンの室外機の熱風を含んだ空気に触れた瞬間を書いてくれたものですが、ただ暑いことだけでなく、空気が向こうからぶつかってくるという擬人法も使って、実に楽しく、その後を読みたくなる表現だと思いました。時々、子どもは天才だなぁと心から思います。こんな言い回し教えていないのに!という表現が次々と出てくるのですから。
今回はこんなところで終了とさせていただきます。最後までお読みいただきどうもありがとうございました。
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