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背徳書簡#2

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 このきわめて身勝手で傲慢な投稿を読んですぐ、私は心の表層が石化し無数の亀裂に覆われて行くような激しい苦痛を感じました。
やがてその苦痛は怒りへと変わり、この下劣な投稿を行った”男”、更にはこの世界に存在する”男”の総てを憎みました。
 そう”男”。
 私と同じベッド、しかも私の隣、吐息が肩にかかるほどの至近にもそれは存在していて、彼の片腕は背後から私の首筋にあてがわれ、あたかも私を守っているようなそんな形をしていたのですが、それはその腕はほんの30分前まで性交の後戯として私の乳房を乳首をクリトリスを尻肉を肛門を弄っていたのです。
 私は彼との交わりで絶頂には至れなかった。
 彼は私の肉体を使って果て満足気に、しかしおざなりな後戯を経て今は寝息を立てている。
 自らの性欲を満たして私を放り出すようなそのセックスに愛はあるのか?この”男”の行為は正常か?異常か?様々な疑念が湧いて来た私には件の投稿をした”男”と私の夫である”男”の思考には何ら違いが無いように思え、突如、精神の箍が外れてしまいました。

 私は眠る夫の頬を力任せに平手で打ち、飛び起きた彼の髪を掴んで仰け反らせその首に手をかけて締め付けたのです。もちろん彼は抵抗しました。いかに寝起きではあってもその力の差は歴然、彼が苦し紛れに蹴り出した足に突き飛ばされて私は床に転がりました。
 その一瞬で彼はやや目覚め冷静さを取り戻したようで、大きく肩を揺らしながらもベッドの上から私に目を向け、首を傾げました。きっと妻に何が起きたのかわからなかったのでしょう。

 それは当然です。

 彼は表面上なんの落ち度もなく、その優しさ、愛情の深さ、慈悲心、ユーモア、そして生活を豊かにする経済力の高さを総じて、世間一般からすれば理想的とも言える良き夫でしたから。
 しかし深奥から湧き上がった不条理な怒りは憎しみは今、その理想的な夫ただひとりに向けられ、私に止めることはできません。罵詈雑言となって彼に浴びせかけられたのです。

 彼は結婚以来、毎晩のように私を抱き体内深くに射精しましたが、結果として私は妊娠に至らず子供を持つことはできていません。医師に相談することも考えながら時を無駄に過ごしてしまった今となっては、私も夫もそのことを特段に意識しなくなりました。きっと心の奥底から子供が欲しいと願っていたのではなかったのでしょう。夫婦ふたりでも十分に幸せを感じられる生活でしたから。
 彼は信じがたいほど優しい人です。決して表面的なものではなく、心根が穏やかで物事を否定的に考えることがありません。結婚当初、慣れない家事に苦戦する私を少しずつ手伝ってくれながら、しかし私の自尊心が傷つかないようあくまでも手を貸すにとどめ、私の成長を長い目で見守ってくれました。
 年月が経ち、私が主婦としての仕事を難なくこなすようになってからも常にその成果に対して大げさなほどに喜び、笑って、そのたびに抱きしめてくれました。

 そんな彼の姿を脳裏で思い返し、涙を溢れさせながらしかし、鋭利な刃物のように研がれた先端を持つ弾丸に似た暴言が散弾の如く私の唇から撃ち出され、それを甘んじて受けた優しい夫は暫くの後、心が挫けてしまったようです。
 彼は肩を落とし、震え、子供のように泣きじゃくりながら寝室を出て行きました。

 私は夫を破壊するまで嬲った。
 件の投稿によって自分の心が嬲られたように。
 私はあの言葉に嬲られることで興奮し、その発露を夫に求めた。
 宣言通り一切の事情を無視し、ただひたすら快楽に耽けるために”男”の属物となり果てて服従し、どこまでも虐げられ犯され嬲られることが叶うとしたら。

 私はよろけながら夫の書斎に行きました。
 半開きになったクローゼットの中、床に蹲って変わらず泣きじゃくっていた彼は顔を上げます。
 私が仁王立ちで彼の眼前に股間を晒し、剃り上げて剥き出しになった淫裂を指で割り拡げると、私自身から溢れる蜜と共に彼が吐き出した薄黄色の粘液が滴りそれは、太股をつたって流れ、堕ちて行きました。

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