見出し画像

フランスでカルチャーショック。「ホームレスに話しかける?!」

Bonjour!
パリ在住のさきよです。

異国の地で暮らしていると、文化の違いや国民性の違いに驚き、戸惑うことは少なくありません。

私がフランスに来て、はじめてのカルチャーショックは
フランスのホームレスさん達についてでした。

フランスには様々な路上生活者がいます。
呼び名も様々です。

un clochard(浮浪者)
un sans abris(火災などで住居を失ってしまった人)
un SDF ※sans domicile fixe(ホームレス)
un mendiant(物乞い)

フランス語の授業(ディベート)でも時折議題にあがる
このフランスにすむ路上生活者について。


お金も家も失ってしまった貧しい人、
住むところがなく路上で物乞いをする難民や移民、
お金を恵んでもらうための紙コップを置き、道の真ん中で大の字に倒れている人…
(救急車を呼んだ方が良いのでは、と悩むこともありますが、貧しさをアピールするパフォーマンスだったりもするそう。)

そんな人がいる一方で、
私たち日本人が抱くホームレスのイメージとはちょっと異なるタイプの路上生活者に出会うこともあります。

それは、リッチなホームレス(勝手に名付けまた。)

冬には高品質なダウンジャケットを見にまとい、
夕方になると決まったメンバーであつまり路上でワインを楽しむ。
かわいい犬を飼っていて、
面倒もちゃんとみている。
(わんちゃんのお皿はドッグフードでいっぱい)
通り過ぎる警官にも話しかけるし     
最新型のiphoneをもっていることだってある。
ちらっと見たら誰かとWhatsAppでやりとりをしてた。

聞いたところによると、
そんな彼らは、自ら進んで
「家を持たずに路上で生活する」という選択をした方々なのだとか。


むむ、面白い。

後半へ続く。

そして、驚いたのはそれだけではありません。
そんな彼ら路上生活者に対して、積極的にコミュニケーションをとるフランス国民への驚きがあります。


フランスのホームレスは、犬を連れていることが多いのですが、
学校帰りのティーン集団がホームレスに声をかけて、その犬を撫でたり、餌をあげたり。

スーパーの入り口前にいつも座っているホームレスは、
毎日同じ時間にスーパーに買い物に来る
マダムと笑いながら近況報告をしあったり。

日本では、路上で生活している方々と会話をする機会ってあまりないですよね。

この国では当たり前のようにコミュニケーションを取ります。
それもとても楽しそうに!

また、多民族国家のフランスには物乞いの数も本当に多く、
路上でも、メトロの中でも当たり前のように食べ物やお金をねだられます。

「マダム、お金をください。」

と声をかけてくる人々。

当初の私は、
怖さもあり声をかけられても彼らとあまり目を合わせず、押し黙ることが多かった。
「黙ること」は、「何もあげられるものはありません(ごめんなさい)」の意思表示のつもりでしたが、
何も答えずに黙ってても、
彼らは絶対に私のそばから離れようとはしません。

勇気を出して「Non(いいえ) 」と伝えれば、

彼らは「OK merci (わかった、ありがとう)」と速やかにその場を立ち去ります。
ここでもコミュニケーションが必要なのです。

私の向かいに座っていたサラリーマンは、
ポケットをごそごそし、「今ポケットにお金が入ってないや」と断っていました。

その後も周りを見渡して観察してみましたが、
老若男女、ほとんどの人が相手の目を見て断っています。
たまに、なぜ自分が彼らにお金もパンも渡せないかを説明している人も目にします。

話しかけられているのだから、答えるのが普通。
そんな当たり前のことが、当初のわたしにはできませんでした。

(勿論、中には少し怖い人もいるので目を合わせない方がよいこともあります。)


一方で、物乞いの気持ちに答える方も
かなりいます。

何人かの人々は 自分の持っていたパンの残りや飲み物、少額のお金を躊躇なく彼らに渡します。

ある時、若い男性は、
手に持っていたホールピザを丸々渡し、
深く感謝されていました。

またある時は、おばあちゃんがお菓子をお裾分けし、物乞いはその場で美味しそうに食べていました。

そしてこれには皆んな唖然だったのですが、
ある時、若い女性から食べかけのフランスパンを渡された物乞いは、
「食べかけのパンはいらない、お金をくれ」と要求していました。

え!!!!衝撃!
「いや、折角だしもらっときなさいよ」
誰もがつい、そう思ってしまった瞬間です。笑
もらった物以外のものを要求する物乞いは、
意外と多くいるんだとか。

フランスでは、隣に座る人、すれ違う人と挨拶をし、言葉を交わすのが当たり前。
ホームレスとの関係も同じ。隣人に変わりないのです。だから心の距離も近い。


このような現場を日々目にしていると、
生活の中に人との関わりが当たり前にあり、
その関係や繋がりが日本人の私たちよりも近い彼らの文化が美しいものにも見えてきます。


と同時に、自分の幸せをひたむきに、
シンプルに追い求めて生きる人、
その日その日の生活でいっぱいだけど、
日々を謳歌する人、
また、そういった人々に差別の目を向けることなく、関わり助け生きていく人を目にすることで、

自分の人としてのあり方や
他人との関わり方、
思いやりのあり方を見つめ直す機会が多くなったと感じます。

道路に座っているおじちゃんに声をかけることはまだできない私ですが、
フランスでの生活は、まだまだ私の固まった価値観に刺激を与えてくれそうです。


それでは、A bien tôt!


鈴木 沙喜代

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?