発達障害

発達障害とは

発達障害とは脳機能の発達に何らかの障害が生じることを言います。
主なものに自閉症・アスペルガー症候群・注意欠陥多動性障害(AD /HD)・学習障害(LD)があり、複合的な症状を持つことが多く、その症状は多岐に渡るとされています。
現在では広汎性発達障害という分類はなくなり『自閉症スペクトラム障害/自閉スペクトラム症』という診断に統合されています。

以前は、躾や親の問題とされていましたが、最近では元々の脳機能の障害であるということが分かってきています。
しかし、社会という枠組みの中でルールを理解したり適応する場合において、大きな困難や負担を感じることが多いため、親が躾をする上で困難を感じたり、子どもとのコミュニケーションにおいて不安を感じることは多いと思います。育てにくさを感じる・子供のことを負担に感じるといったように、親の気持ちというのはとても重要なことで、『障害=特性』だという見方に変えて上手く付き合えることがとても大切だと感じます。

また発達障害は、遺伝による発現の傾向も明らかになっており、親が発達障害の場合には子供も発達障害を持って生まれてくるという遺伝的関係性が認められています。
親子で発達障害を持つ場合には、人とのコミュニケーションが苦手なもの同士のコミュニケーションになるので、第三者の介入を必要としたり、お互いを尊重しあえるような関係・環境づくりが重要となります。

このように、コミュニケーションの困難さや子育てへの不安の原因として、発達障害が関係しているのかどうかを明確にすることは、的確な対処法を知る上でとても有効になります。
子供自身に、または自分自身に感じている不安や負担をあやふやにして持っていることこそが辛さや苦しさの原因であることもありますので、ぜひ前に進んでいける道を探してほしいです。

発達障害は完治しないが対処法はある

発達障害は『脳の機能的な問題』であるため、完治するということはありません。
例えば、『人の気持ちを汲み取りにくい』という特性のために、人とのコミュニケーションにおいて困難を生じることは多々あります。
何気なくしている普段の生活や仕事の中で、『そういうことね』と暗に共通認識されているだろうことが結構あります。だけど、私には理解できないということが多々起きていました。
他人からしたら『そんなこと・・・』と思われるようなことでも、私からしたら『どうすべきなのか・・・』と立ち止まることが本当に多く、そのことで責められることもたくさんありました。そういう中で自信をなくしていっている人もたくさんいるのだと思います。
だけど、『共通認識を理解しにくいのだ』という自分を知ることで、あやふやな時にちゃんと確認するという対処を行えるようになると、周りの人が嫌な顔せず対応してくれるようになり、きちんと信頼関係ができてきます。
大きな問題に繋がる時というのは自覚できていない時で、自分が自分を知らなかったり隠したりしている時なのです。

発達障害を自分の特性として受け入れて『現実的な対処法を習得する』ということができたら、『自分が存在していていいんだ・役立てることがあるんだ』と必ず実感することができます。そして、子供に対しても自分なりのやり方を一緒に考えてあげられたら、その特性が障害として自分を襲うことはなくなるはずです。

学生の頃まではただの『不器用』と思っていたこと

私は周りと比べるととにかく不器用な人間でした。末っ子ということもあり、不器用な私に何かを任されることはとても少なかったと思います。
慣れた作業やゆっくりじっくり時間をかけさせて貰えることはとても好きでした。だから、丁寧でやり始めたことは最後までやるという部分もあったのですが、それを認めて許されるのは祖父母との時間だけだったように私は感じていました。
家族の中での時間に余裕がないと、ゆっくりじっくりした動きの人間というのは、『自分でやる』ということを奪われてしまうものです。
だけど、その人のペースで実践させること経験させることは本当に重要なことで、自分で経験するうちに応用できるようになるし、『慣れ』が生まれることでどんどん時間が短縮されていくこともあります。

私は発達障害という特性を知らないまま大人になったので、『自分はなんて不器用なんだろう』とずっと感じていました。上手くできないから手を出さないこともあって、知らず知らずに消極的になっていました。そのせいで、自分で掴んでいる感覚が少なかったのです。
小・中学生の頃はちょっとした周りとの違いに不安で、混乱しているという感じでした。それでも、何という問題になるほどの症状はなかったので、不安は解消されないけれど通過していくという状況でした。
高校・短大生になった頃も、まだまだ『不器用な自分』に対する不安はあって、その不安に対して自分が何か対処して乗り越えたという経験はありませんでした。
それでも、どんどん時間は経過していき、自動的に就職し看護師という職につくことができました。

私の特性が、自分にとっての『障害』として明らかに襲ってきたのは就職してからでした。

自分の特性が障害として襲ってくる時

誰でも自分の特性というものはあると思います。それが、より濃く・機能的な欠落として現れているのが発達障害です。
そういう機能的な違いを知らずに、何となく経過してしまうとその特性への対処法が分かっていないので、周りの人の驚きと同様に自分が自分に対して驚くという状況になっていきます。

私の場合は、言葉の認識が人より随分劣っているということがあり、イメージがつきにくいので実際に経験していかないと全く動けなかったり、映像として残していかないと間違えていたりということがありました。
私の就職してからのメモには、図示しているものがとても多くて、物品の位置も物品の使い方一つに対しても、とにかく下手な絵で書きまくっていました。
通常3ヶ月の使用期間では使い物にならなかった私に、先輩看護師はみんなため息をついていて、自分自身も自信のかけらもなくて人生で一番辛い時期でした。
そんな半年を過ごしたら、円形脱毛症になって、仕事以外の時間は家に引きこもっているような状況でした。
それでも今振り返って思うのは、あの当時は初めて自分で経験を増やし、これまでの何となくやり過ごしてきた不安を乗り越えていた時期だったということ。

そんな半年を経過して、いろいろな対処法を試して乗り切ったら、それらの経験が応用でき始めて、随分自分自身への不安を減らすことができました。
先輩にも『どうなるかと思ったけど、ちゃんと働けるようになった』といってもらえて、本当に嬉しかったのです。

特性が障害になるのか、障害を特性にするのか

障害を『仕方ないもの』として付き合うのも
障害を『特性のひとつ』として対処したり活用したりするのも
自分次第で、子供にしたら親次第です。
社会や人の中で生きている以上、それが周りの人にとってどう映るのかでも関係性は全然違うものになります。
自分の特性を理解すればするほど、自分にとっても周りの人にとってもそれが障害ではなく単なる特性として受け入れられていくので、諦めずに怖がらずに向き合いたいものです。そして、自分がどう見えているのかを教えてくれる人との出会いも大切にしたいものです。

私のように大人になってから発達障害に気づく人も多いです。
完全に当てはまらなくても、グレーゾーンに属して生きづらさを感じている人も、とても多くいると思います。
大切なことは、その生きづらさを感じている自分を受け入れて、自分なりの対処ができるかどうかです。何が自分に生きづらさを感じさせているのでしょうか。何が大切な人との間に障壁を作っているのでしょうか。
問題となっていることを直視することで、現実を変えることができたり、見え方や状況が大きく変わることだってあるのです。

私はそうでした。大抵のことは大丈夫で、我慢のしすぎが自分にとっても周りにとっても一番良くないです。


発達障害に気づくポイント

人との関わり方 
 
一人遊びが多い、一方的でやりとりがしにくい
 おとなしすぎる、常に受動的
 大人や年上の子、あるいは年下の子とは遊べるが、 
 同級生とは遊べない

コミュニケーション
 
話は上手で難しいことを知っているが、一方的に話すことが多い
 おしゃべりだが、保育士や指導員の指示が伝わりにくい
 話を聞かなければならない場面で席を離れてしまうことが多い、
 聞いていない

イマジネーション・想像性
 
相手にとって失礼なことや相手が傷つくことをいってしまう
 友だちがふざけてやっていることを取り違えて、いじめられた
 と思ってしまう
 集団で何かしている時にボーッとしていたり、ふらふらと
 歩いていたりする
 急な予定変更時に不安や混乱した様子がみられる

注意・集中
 
一つのことに没頭すると話しかけても聞いていない
 落ち着きがない、集中力がない、いつもぼんやりとしている
 忘れ物が多い、毎日のことなのに支度や片づけができない

感覚
 
ざわざわした音に敏感で耳をふさぐ、雷や大きな音が苦手
 靴下をいつも脱いでしまう、同じ洋服でないとダメ、
 手をつなぎたがらない
 極端な偏食
 揺れている所を極端に怖がる、すき間など狭い空間を好む

運動
 
身体がクニャクニャとしていることが多い、
 床に寝転がることが多い
 極端に不器用、絵やひらがなを書く時に筆圧が弱い、
 食べこぼしが多い
 運動の調整が苦手で乱暴に思われてしまう、
 大きすぎる声を出すことが多い

学習
 
話が流暢で頭の回転が速いことに比べて、作業が極端に遅い
 難しい漢字を読むことができる一方で、簡単なひらがなが書けない
 図鑑や本を好んで読むが、作文を書くことは苦手

情緒・感情
 
極端な怖がり
 ささいなことでも注意されるとかっとなりやすい、
 思い通りにならないとパニックになる
 一度感情が高まると、なかなか興奮がおさまらない

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