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お酒にまつわる神様や寺社の話

「日本酒を、もっと身近に」という理念をかかげながら活動している日本酒メディア・コミュニティ『酒小町』。今回は【お酒にまつわる神様や寺社】についてお届けします。 
このマガジンでは、日本酒の豆知識をわかりやすく、ちょっと飲んでみたくなるようなコラムを書いています。
日本酒が好きという人はもちろん、日本酒がはじめてな方、好きで飲んでいるけど専門用語まではちょっと…という方、これから日本酒を勉強してみたい!という方、ぜひお酒を片手に読んでいただけると嬉しいです。
ただ飲むだけでもお酒は美味しいですが、少し知識をいれるだけで普段飲む日本酒が更に美味しく、楽しくなりますよ! 



ゆるゆる日本酒教室、第79回目の今回は【お酒にまつわる神様や寺社】のお話です。

「お酒の神様」といわれて、パッと思い浮かぶ方はいますか?
中には、バッカス(バックス)を思い浮かべる人もいらっしゃるでしょう。
バッカスはローマ神話における豊穣と酒(ワイン)の神様で、ギリシャ神話ではディオニュソスと呼ばれています。 彼は、ぶどう栽培とワイン造りを伝えるため各国を放浪し、魔術や呪術を使って狂乱に陥れながら、信者を獲得していきました。

日本にも、お酒・醸造にまつわる神様は多く存在し、それを祀る寺社がたくさんあります。
古来より存在する日本のお酒とは、もちろん日本酒です。 今回は、そんなお酒にまつわる代表的な神様や寺社をみてみましょう!


「お寺」と「神社」の違い 

お寺
仏教の施設。信仰する修行者(=お坊さん、尼さん)がいて、仏様の像が置かれ、姿を見ることができる。  

神社
神道の施設。神に仕える神主や巫女が、仕事をしています。かつて信仰されていた自然のあった場所や、神聖な儀式を行っていた場所が起源であり、祀られている神様は目に見えたり見えなかったりします。 神社のわかりやすい特徴は、鳥居があること。
鳥居は、神様の世界と人が住む世界とを区別するものです。

各地のお酒にまつわるお寺・神社

松尾大社(まつおたいしゃ)/京都府

https://www.matsunoo.or.jp/

祭神は大山咋神(おおやまぐいのかみ)と中津島姫命(なかつしまひめのみこと)。 松尾大社を建立したのはこの地域を支配していた渡来人である秦氏。 秦氏には酒造りの技能者が多く見られたことから、室町時代末期頃から「酒造第一祖神」として崇拝されるようになりました。
松尾大社には有名なお守りがあります。 醸酒守(お酒を作る人) 販酒守(お酒を売る人) 服酒守(お酒を飲む人) という3つです。 最後の服酒守にはこんな言葉があります。
「酒は神授の生薬。服して心を乱さず、体を損せず、礼を失わず、和を破らず。適時適量慎んで用ひざれば久しき堪えざるべし」 常々、覚えておきたいことです。


梅宮大社(うめみやたいしゃ)/京都府

http://www.umenomiya.or.jp/

祭神は ・酒造りの祖とされる酒解神(さかとけのかみ) ・その娘の酒解子神(さかとけこのかみ) ・その夫の大若子神(おおわくこのかみ) ・その夫婦の子どもの小若子神(こわくこのかみ) です。 はじめの酒解神からすれば、娘夫婦、そして孫(娘の子)と、三世代にわたります。 なお、娘の酒解子神(さかとけこのかみ)は、 別名「木花咲耶姫命(このはなのさくやひめのみこと)」。 クラフトサケの木花之醸造所の名前の由来になっている神様ですね。 梅宮神社は酒の神と並び、子授け・安産の御利益でも知られている神社。 なんとパワースポットなことでしょう!


●大神神社(おおみわじんじゃ)/奈良県

https://oomiwa.or.jp/


日本で最古の神社とされ、祭神は酒の二大神である大物主大神(おおものぬしのおおかみ)と少彦名神(すくなひこなのかみ)。 少彦名神が酒造りの技術を広めた、ともいわれています。 大神神社のご神体は三輪山そのもの。そのため、本殿を持たず、拝殿が設けられているだけです。
なお、少彦名神(すくなひこなのかみ)は、全国各地で祀られています! 東京だと神田明神が代表的です。

●正暦寺(しょうらくじ)/奈良県

https://shoryakuji.jp/index.html

こちらは、日本清酒発祥の地、と呼ばれています。 詳しくはこちら
実は、日本酒の歴史の中で、お寺は切っても切れないもの。 酒造りの拠点としてお寺が使われ、僧侶が造っていたお酒は「僧坊酒」と呼ばれていました。 (僧侶や坊主が作っている酒、というなんともダイレクトなネーミングですよね)

その中でも正暦寺では、現代の酒造りでも使われている、
・三段仕込み(仕込みを3回に分けて行うこと)
・諸白(もろはく)造り(麹と掛米の両方に、玄米ではなく精米した白米を使用すること)
・菩提酛(ぼだいもと)造り(日本酒のもととなる、酒母の作り方の一つ)
・火入れの作業(低温殺菌方法)

などを先進的に行っていました。

当時は化学顕微鏡はもちろん、お米を削る精米器のような機械も、成分を分析する機器などはない時代。〝微生物〟という概念もありません。 しかしながら、経験則の中で、現代で言うバイオテクノロジーの分野をコントロールし、お酒を造っていたのですね。 (今から考えれば、オーバーテクノロジーと評されても過言ではありません。)

いかがでしたでしょうか?
 
「ホントかな」と思う部分も多々あるかもしれませんが、そこは歴史のロマンもありますのでご了承いただければと思います^^
お酒が信仰や文化の一つとしてはるか昔から根付いている、というのは興味深いですよね。 それだけお酒は人々にとって身近で、かつ不思議な存在だったのかもしれませんね。

それでは今回はここまで!

日本酒コラム『ゆるゆる日本酒教室』

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今回コラムを書いてくれた社会福祉士×日本酒学講師のダイゴさんのnoteはここから読めます。日本酒以外の話題も含め、優しくてわかりやすい文章が特徴です。

酒小町制作メンバー

執筆:ダイゴ|社会福祉士×唎酒師・日本酒学講師=Sake Social Worker(note
ディレクション:関谷サイコ(Xnote
企画:卯月りん(XInstagramnote

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