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日本一わかりやすい日本酒入門②   日本酒は2種類ある

概要

一般的に知られている日本酒知識は誤解や偏見が多く、古い価値感がアップデートされていない場合があります。前回はその背景を含めて考察してきました。

今回は日本酒用語をできるだけわかりやすく解説していきます。
合わせて日本酒用語にまつわるイメージもアップデートしていけたら嬉しいです。


日本酒は大きく分けて2種類ある。

日本酒は大きく分けると2種類に分けられます。
「普通酒」と「特定名称」です。

特定名称

純米、吟醸などレギュレーションが決まっていて製法や分量に応じて分類される日本酒。

普通酒

レギュレーションがゆるい。基本的には廉価で販売するために増量、味の添加がされている日本酒。

技術革新や設備の進化により最近では普通酒でも美味しいもののあります。
同様に特定名称の日本酒ならほぼ美味しいです。
味の好みとして好き嫌いはあるにせよ、不味くて飲めない日本酒は特定名称であれば滅多にお目にかかれません。

純米とは何ぞや?

それでは特定名称の分類を覚えましょう。

上記の図の普通酒以外が特定名称と呼ばれるカテゴリーです。
右側、純米、純米吟醸、純米大吟醸が「米だけで作っている日本酒」
左側、本醸造、吟醸、大吟醸が「少量の醸造アルコールを添加している日本酒」

吟醸、大吟醸と上に行くに従って原料の酒米を多く削って真ん中の美味しいところだけで日本酒にします。
当然、多く削る分原価は増えるので高価になりやすいです。

ざっくり言うと
「醸造アルコールを添加しているか」「米をいっぱい削ったか」で分類します。覚えるのはこれだけで良いです。

参考までに「吟醸クラスは40%以上」「大吟醸クラスは50%以上」米を削ります。どれくらい削ったかを精米歩合といいます。(磨くとも表現します)
純米クラスは以前は30%以上との規定がありましたが、今は特に規定はありません。

日本酒のラベルなどでは残った米の割合が表記していることが多く、「獺祭2割3分」という商品でいえば77%も削っていることになります。

ややこしい話になってきましたが、そういう分類なんだ位の認識でいいと思います。
味は上記の分類だけでは決まらず参考程度にしかならないです。

ちなみに上記の図をみると「純米大吟醸」が一番良い日本酒な気がしますがそういう訳ではありません。削れば良いという訳でもなく、アルコールを添加したらダメというわけでもありません。

純米神話

「純米が日本酒本来の作り方であってアルコール添加は邪道」
という意見もあります。
言いたいことは非常に理解できますし正にその通りだと思います。

しかし、本醸造、吟醸、大吟醸が悪い日本酒というわけではありません。

前回詳しく述べましたが、アルコール添加は時代背景が生んだ悪手でした。
だが時代は変わり現在の特定名称におけるアルコール添加は味を良くする為であって決して悪いことではありません。

アルコール添加と言っても特定名称では使用する米の10%以下という規定があります。
つまり以前のように増量目的ではなく味の向上目的です。
少量のアルコール添加の効果は2つ。
「キレが良くなる」と「香りが良くなる」
平成時代はコンクールに入賞する日本酒はほとんどがアルコール添加した酒だった程です。

現在では本物志向や海外進出の為、純米系が主流になってきました。

だが、今でも「うちの最高級酒は純米大吟醸ではなく大吟醸だよ」という蔵元も少なくはありません。

なんで米を削るの?

食用の米でも精米と言って玄米の表面を少し削ります。
それと同じ理屈ですね。

米の中心の「心白しんぱく」という部分が香り高く綺麗な酒に適していて、それ以外の部分は雑味の原因になりやすいからです。

ただ「雑味」というとネガティブなイメージになりますが、コクがあってボディがある日本酒にはかかせません。
雑味というより旨味を出すのには心白だけではできません。

つまりは、米を多く削ると綺麗で香り高い日本酒に向く。
逆にコクがありしっかりとしたボディの日本酒には少なく削った米が向く。
多く削れば良いという訳ではないのです。

自分好みの日本酒を選ぶ時のひとつの目安くらいの認識でいいと思います。

まとめ

・日本酒は普通酒と特定名称に分けられる。
・純米系は米だけ、本醸造系は味を良くする為にアルコール添加を少量する。
・米の削り方で味の特徴がでる。
・特定名称ならほぼ不味い酒はない。
・用語は日本酒選びのひとつの目安であって味は複合的に決まる。

結局、自分好みの日本酒を選ぶのにはどうしたらいいの?
という方の為に参考にしてください。
酒屋さんや居酒屋さんで日本酒の知識がある店員さんでしたら通じます。
「薫酒下さい」とか「爽酒タイプでオススメは?」みたいな感じで好みのタイプで注文すると自分好みの日本酒に近づけると思います。

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