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日本酒を紹介する側のジレンマ

どうも!
今日も飲食店でマニアックな日本酒をマニアックな解説で紹介しております。

お客様に言われて困るオーダーが2つある。

「辛口ください」 「お兄さんのオススメください」

困ったとしてもお客様の要望をくみ取って最適な一本をオススメする。。。
のが理想的なのだが、こじらせた性格が発動して世に埋もれているマニアックな旨い酒を薦めたくなってしまうのである。

そこで壁となるのがお客様の固定概念
辛口もしくはフルーティーな酒=旨い酒
それ以外=よろしくない酒

漠然とそう思われている方が多くおり、その固定概念を破る為にあれこれと説明しているうちにウザイ奴と思われるというジレンマに陥る。

全ては私のこじらせた性格が悪いのです。。。🙇

辛口ください

なぜ困るか?
「辛口」の定義が人によって違うのだ。

・日本酒度が高い(成分として辛口)
・いわゆる新潟の端麗辛口
・単純に飲みやすい
・後味にキレがある
・ドライな飲み口
・フルーティー
・前に飲んだ時旨いと感じた酒が辛口だった
・なんとなくカッコイイ
・辛口=旨い 甘口=まずい との先入観

提供する側からすると日本酒度が+(プラス)表記が辛口の定義だが
あまりに辛口辛口言われるので世に出回る日本酒の8割以上が辛口になってきているので絞り込みにくい。

ましてやお客様が日本酒度としての辛口と言っていない可能性が高いので
上記のどの辛口の意味だろう?と悩むこととなる。

とまあ、ここまでは愚痴だが
お客様が辛口としか言わないのは日本酒の表現が「辛口」「甘口」しか浸透していないからではないか?

ではどうすればよいか?
うちでは4タイプの分類を推奨している。

日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会(SSI)

4つの分類でオーダーすれば好みの味の日本酒に近づけるだろう。
詳細は 日本一わかりやすい日本酒入門①   最初に覚えること|しゅうぞう (note.com)

お兄さんのオススメください

お兄さんではなくオジサンでは?というツッコミは無視する。
お客様が気をつかってお兄さんと言ってくれているのだ。

オジサンのオススメはマニアックな日本酒だ。
具体的には熟成酒の燗

こじらせた職人がアホかというようなこだわりで醸す酒。
昔ながらの製法で手間暇かけ何年も熟成させようやく完成するような酒。
コクと旨味がビッシリで燗にした時に抜群に旨くなるような酒。

こういう日本酒を「フルーティー=旨い」の人に出したらどうなるか?

みなさま想像の通りの気まずい空気になる。

「これはこれで旨い」となっていただけたら嬉しい限りだが現実は厳しい。
テーブルの隅に追いやられた熟成酒の燗が冷めて行くのをただただ見守ることしかできない。
人間の固定概念というものは非常に手ごわく恐ろしい。

そして私は反省し落ち込む。
また立ち直りこじらせて反省するという無限ループに突入する。

無限ループからの気付き

そんなこんなで不毛な日々を繰り返していたが
固定概念を破るための説明で「こうすれば伝わる」というのが少しづつわかってきた。

・用語を正しく理解してもらう必要はない
・蔵や作り手のパッションやストーリーを話すと親近感を感じてもらえる

必要なのは正しさではなく楽しむ事。
用語の意味や理屈で固定概念を破るのではなくまず興味をもってもらう事。

どうやったら楽しめるか?
どうやったら興味をもってまらえるか?
を考えることにした。

そこで生まれたのが店で開催する日本酒ワークショップであり
このnoteもそうだ。

また明日からも懲りずに、こじらせ反省し気づいていくだろう。


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