【ショートショート】底の味
曇り空の朝。日曜日、気まぐれでやってくるたまの早起き。ベッドから起き上がり、普段は食べない朝食の準備をしながら、普段は見ない午前のテレビを見る。別段面白くもないが、たまにしか見ない新鮮さが逆に刺激的だ。
ふあーっと大きく欠伸をひとつキッチンに解き放ち、トースターでこんがりサロン帰り姿になった食パンを皿に乗せる。二枚の皿に一枚ずつの食パン。厚みはこだわりの四枚切り。
半熟に焼き上がった目玉焼きもひとつずつ。切れ目も入れずに焼かれたウインナーは、俺が三本で彼女が二本。冷蔵