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163. 月子の不思議 【少女漫画】

水樹和佳と言えばイティハーサ、おすすめ、いずれ記事書きます、というようなことを何回か言っている気がしますが、書けていないまま今日は水樹さんの「月子の不思議」についてちょろっと感想など。
11月くらいに読んだのでもはや記憶が朧になりつつあるところを一生懸命思い出しつつ……(もっと早く書けよ、というのはごもっとも、わたしもそう思う)、近未来SFを超能力者の視点で描いた作品でした。やっぱり水樹和佳作品では古代×SF×宗教のイティハーサがずば抜けて素晴らしいと思うんですが、近未来SFもそこそこの量描かれていて、それはそれで好きです。
※いつも通りネタバレあり、ご注意を。

月で生まれた月子は、人や植物、ものの中を巡っているサイ・エネルギー(現代の科学では実証されていない、念力やテレパシーなどを可能にする何らかの力)を直接的に見ることができる。しかしそれゆえに、サイ・エネルギーに満ちている地球はうるさく怖い場所のように思われ、誰とも交わることのない月に帰ることを切望している。
そんな月子を理比等は“変わっていくことは自分がなくなることではない”と根気強く説得する。この二人の交流を軸に物語が進んでいきます。

基盤として、地球の環境が急激に変化し荒れ果てるかもしれないという恐怖と、サイが一般化する近未来への憧れがあり、世紀末のオカルトブームの一作品と言ってしまえばそれまでなのですが、一方で「変化することへの恐怖」は普遍的な感情なのではないかと思います。
とか言いつつストーリーより、作中に出てくるサイについての見解の方が個人的には印象深かったです。


サイ微子ーサイ・エネルギーを作っている、物質を作る素粒子と対を成す概念
諸説あるのですが私は恒星から発せられていると考えています
惑星やその衛星にとらえられたサイ微子はますその星の波動に変化し
そののち様々な有機体にとらえられ活性化し先程ならべたサイ微子群(オーラや気など)に姿を変えていくわけです
我々はもちろん動植物も意識していないだけで生命活動の一環としてサイ・エネルギーを利用しているんですよ
サイは光と肩を並べる重要なエネルギーです

なるほどこういう論理でいくと、オカルトと占い(特に占星術)は同じ現象を別の角度から見ているだけのように思えてきます。
わたしはあいにく霊感も超心理学的力も持っていないので、オカルトも占いもあんまり信じていないというか、そうだったらいいよねくらいの認識ですが、上記の論理を頭から否定することはできないよなあと思います。現代の科学で実証できないことなんて山ほどあるというか、人間が理解できることなんてたかが知れているというか、そもそも科学が正しいのか、正しいとは何なのか…………すぐこうやって答えのない堂々巡りになってしまうのはわたしに科学の知識がないからでもあります。悪癖ですねえ。

ともかく、人間も他の地球上のものたちも、月を筆頭に天体の影響を受けているとちょくちょく聞きますし、なにより、ものの間を循環していく何かがそれぞれに微細な影響を及ぼしていく、その壮大な構図にロマンがあって良いですよね。


私は石こそが古代の謎を解く鍵だと考えています
おそらくあの巨石文明を作った人々は石の中のサイ・エネルギーを活性化する術を知っていたんですよ

これはさすがにちょっと言い過ぎなのでは!? という気がしますが、謎の古代遺跡はどんな空想も受け入れてくれて懐が深い。
古代の人々は、土の上を歩き自然のもっと近くで生きていたわけですから、少なくとも今よりは敏感に何かを感じ取っていただろうとは思います。


そんな感じで、ちょっとトンデモな香りもしなくはないですが、あくまで漫画の中の話、と割り切って楽しむこともできるので、超心理学に興味がありつつ手が出せない、なんて方がいらっしゃればこういう本から入るのもありなのかも。
あと月子のファッションが独特で面白いデザインだったので、そこも要チェックです。

ではまた。

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