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風がぶわっと吹き抜けてった

夏の雲は、なんだか美味しそう。
ふわふわしてて、もっこもこで、なんがむっちりしてるから!
あっちにあるのは入道雲、あんなに大っきくて、あんなに目立ってるからきっと、寂しんぼだ。

私たちに見つけて欲しくて大っきくなったから!
遠くから見るとすごく立派なくせして、近づくととビリビリ大泣きだもの。
私はせっせとてるてる坊主こさえて、明日の天気を祈ります。
祈っても祈りきれないほどぴーかん照りの毎日だけど、どっちかってっと雨のがよっぽど嬉しいけれど、それでも目立ちたがりで寂しがりな入道雲が、これ以上泣かなくて済むように、あんたの友達ここにいるよって分かるように、たくさん、たっくさんてるてる坊主をこさえるの。

軒先にならぶてるてる坊主一同の荘厳さたるや!
きっと一言では言い表せない。

ふわふわでもっこもこでむっちりしてる、私らの昨日とか明日とか全部詰め込んででっぷりふとった夏の雲たち。
いつか私が美味しく食べてあげるからさ、だからちょっと泣いて気が済んだら、またぴーかん照りの空を見せてよ!

日上がる心地で日向ぼっこするから。
暑すぎる太陽の光で低温やけどしたって構わない。刻まれたケロイドごとまとめて全部、私自分のこともあなたのことも愛する自信があるのだから!

真夏の日照りにどんと目立つ、真っ白もこもこ入道雲に、そんな独白をつぶやいてみる。

瞬間、風がぶわっと吹き抜けてった。

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