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エピローグ

夕焼け、踏切、どこかのサイレン。

世界一綺麗な、世界の終わり。

商店街に人はいない。お肉屋さんのコロッケの匂いも、誰かんちのカレーライスの匂いもしない。

少し焦げた匂いと、鼻につく錆びた鉄のような匂い。

沈みかけの夕陽は、未だ熱を強く放って、焦げ付いてしまいそう。
砂嵐みたいに飛び散った影法師、裸足にひりつく焼けたアスファルト。

世界一、寂しい帰り道。
終わりについて考えてた昨日が懐かしく思える。
昼間の月、夜の太陽、見えない影に逃げた一昨日。

今はただ、ひとりで。意味もなく歌なんて歌ってみる。

最後だしね、最後だから。折角のひとり、満喫しなきゃもったいない。
ひとりきりを忘れるように、歌おう、踊ろう、祈るように。

焼けたアスファルトなんてもう気にならない。
沈まぬ夕陽を背中に背負って、今は私が、プリマドンナ。

世界一美しいフィナーレ、世界一荘厳な、世界の終わり。

私のソロはまだ終わらない。

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