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深海列車

深海列車、ぶくぶく進む。
泡を吐いて、波を作って、底へ底へと進んでいく。

窓の外は真っ暗で、闇以外に何も見えないけれど時折、かすかに光る淡い影が、その行方を僅かばかりに教えてくれる。

ゆらゆらと揺られながら、水圧を避けて真っ直ぐ進む。次の駅はどこだっけか。
そういえばどこで降りたらいいんだっけ。

なんだか途方もない時間揺られている気がするけれど、時折回ってくる車掌が、私の手渡した切符をみてなにも言わずに頷いて帰るのだからきっと、まだ大丈夫なのだろう。

窓も開いていないのに爽やかな風が吹く。
前髪がふわっと浮いて、その心地よさに目を閉じる。
昨日見た、クラゲの群れを突っ切った時のあの景色が、なんだか胸に沈み込んで離れなかった。

深海列車、ぶくぶく進む。
終点は、底の底の底の、底。
泡を吐いて、波を作って、ゆらゆら揺れて。
静かに進む、海の中。

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