手折った花

ねむくてねむくて、ねむいのうみに溺れてしまいそう。
ああ、このまま溺れられたらどれほどに幸せなのだろうか。
無理矢理に体を覚醒させることも、かといってそのまま意識を手放すこともしないで今は、ただまどろみの最中に揺蕩っている。

手折った花が、枕元で香っている。
朝よりもいくばくか萎れた様子に、私は少しだけ見ないふりをした。
どうか明日まで、持ってくれればそれでいい。

明日の朝、目が覚めた時一番に、その花の色を見たいから。
どうか今日の出来事が、夢でありませんようにとひたにひたに願うだけです。今はただ、まどろみの最中、その柔らかな心地よさにしがみついているだけなのです。

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