霞のように消えてしまう。

いい事があった日は、必ず誰かに報告をする。
報告をする相手がいない日は、メモに書いてとっておく。
嬉しかったことや、楽しかったことはなるべく外に出して残しておく。

ひとは、幸せな瞬間ほど記憶に残りにくいそうだ。


だからすぐに余計な記憶に埋れてしまう。
でもこうやって物や他人、とにかく自分の記憶以外のところに残しておくと、嫌な感情や悲しみの波が押し寄せてきた時にマイナスの波と打ち消しあってくれる。
記録が記憶を引き起こすからだ。

今この瞬間が永遠に続けばいいのに。

そう思ったことは何度もある。
大抵が一瞬で通り過ぎてしまうし、覚えていても記憶の輪郭は朧げで、霞のように消えてしまう。

なるべく、なるべく覚えておこう。

いつか忘れてしまうその日のために。

たくさん、たくさん残しておこう。

少しでも、幸せだったその証拠を残しておこう。