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天使の気まぐれで花が降る

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空想日記内短編連載小説『天使の気まぐれで花が降る』まとめ
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空にいちばん近いところ

空にいちばん近いところ

なるべく高いところに行こう、そうしたら神様にだって気づいてもらえるかもしれない。

しょぼくれて小さくなった天使にそう提案した。
気休めかもしれない、無意味かもわからない。だけど何もせずに泣いている時間があるなら何かしたほうが気が紛れるんじゃないか。
ハプニングでこちらに来てしまっただけではあるが、飛び込んできたバカンスと思って下界を楽しむのいいんじゃないか。

なぜか、そんなふうに言葉を並べたて

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枯れないアザレア

枯れないアザレア

『なにしけたツラしてんの?さては、僕がいなくなって寂しくなっちゃった?』

滑り台から降りた俺は、そう言って人のことを茶化す天使の頭を軽くはたく。
うるさい。
折角ひとが感傷に浸っていたというのに邪魔にも程がある。というか、帰れたんじゃないのか?なんでここにいるのか、言いたいことは山ほどあったが、ドヤ顔でこちらを見下ろす天使の顔を見ていると、なんだかもうどうでも良くなってしまった。

『運命的な出

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