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空にいちばん近いところ

なるべく高いところに行こう、そうしたら神様にだって気づいてもらえるかもしれない。

しょぼくれて小さくなった天使にそう提案した。
気休めかもしれない、無意味かもわからない。だけど何もせずに泣いている時間があるなら何かしたほうが気が紛れるんじゃないか。
ハプニングでこちらに来てしまっただけではあるが、飛び込んできたバカンスと思って下界を楽しむのいいんじゃないか。

なぜか、そんなふうに言葉を並べたてた。
必死になって説得させようとしている俺の姿が滑稽だったのか、一理あると思ったのか、ほとんど布団と一体化していた顔が僅かに独立する。

『いちばん、空に近いところはあるか?』

あるさ、一番じゃなくても、何番でも、例え数センチでも、ここより高いところに行こう。
そう言って俺は天使の手を取り、外へと向かった。

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