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【読書感想文11】人類のこれからの進化について予想した「ホモ・デウス」

世界的ベストセラーとなった、サピエンス全史の著者ユヴァル・ノア・ハラリ氏の著書である。サピエンス全史はホモ・サピエンスがどのように現在のように反映したかを考察した著書であるのに対して、本書では人類は今後のどのように進化していくかを考察している。

結論から言えば人類は神に近い、言わばホモ・デウスになるとハラリ氏は主張する。ここで神とはキリスト教のような唯一神ではなく、日本の神教やギリシャ神話の神に近い。超人的な能力を持って、生物を生み出し、気候を操り、大地を作り出すような存在である。

現実的に上記のような能力の一部は、今の人類にも実行可能である。今の人類がその気になれば核兵器によって地球を滅ぼすことはできる(ならないことを祈るが)。現在の人類の力の源は間違いなくテクノロジーである。

意外に思うかもしれないが、テクノロジーが人類にとって支配的になったのは歴史上ごく最近であり、ほんの200年ほどである。それ以前は宗教や階級が人類を支配していた。しかしこれからはこれらは陳腐化し、あるいはテクノロジーこそが宗教と身分を作るかもしれない。

あるいはテクノロジーが作る格差は人類史上最も過酷なものかもしれない。科学技術やデータによって作られる社会は、一部の超エリート以外をこれまで以上に無価値にするかもしれない。絶対王政下であっても庶民は農作物や工業を生産する価値があったが、これからは生産することすら全てロボットとAIによってなされるかもしれない。

なかなかぞっとする未来であるが、否定できないことが恐ろしい。

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