見出し画像

【フリゲ感想】マダム・ポプスキンの憂鬱

この記事の文字数は約6,000字です!

おはこんにちばんは! 富井サカナです。
今回は大好きなジャンル・ミステリー分野の作品をご紹介。
非常に大きな期待を寄せて楽しみにプレイしましたが、
プレイをしてものの1分くらいでnoteで紹介しようと確信した一作です。

1.どんなゲーム?

というわけで今回紹介したいのは、
とてちけさんの「マダム・ポプスキンの憂鬱」です!!

【制作】とてちけ 様
【制作ツール】ティラノスクリプト
【プレイ時間】4時間程度
【ジャンル】ミステリーホラー・アドベンチャーゲーム
【KW】ミステリー、ホラー、推理、探偵、アドベンチャー
【筆者プレイ時期】2022年11月にプレイ
【筆者プレイ状況】END6種/7種クリア
【備考】第6回新人フリーゲームコンテストにて新人フリコン賞を受賞。
【公式サイト】

【あらすじ】
山に囲まれた鉄鋼の街『ローレル』は、元貴族であるポプスキン家を中心に発展してきた小さな街だ。
豊富な鉱物資源を背景に発展してきた街は、ポプスキン家の当代当主『オディール・ポプスキン』の手でさらなる発展を遂げた。大きな富と名声を築いた彼女を、街の人々は敬愛と畏怖をこめて『マダム・ポプスキン』と呼ぶ。
そんな彼女が、探偵の『私』に40年前に起きた『ローレルの古城』での出来事を調査してほしいという。

【一言でいえばどんなゲーム?】
探偵モノとしてこれ以上ない完成度のゲームシステムを誇る一作

【公式のゲーム紹介】

【ゲーム紹介記事】



2.こんな方に特におススメ!

・探偵モノが好きな人
本作の主人公はそう!みんなが大好きな探偵!
追う事件は浮気調査やペットの捜索でもなければ殺人事件でもありません。
依頼内容は過去の出来事を明らかにしてほしいという一風変わったもの。
足で情報を稼ぎ、集めた情報を整理し、新たな場所や人物を探し当てて、
最終的には真実に辿り着く、ザ・探偵モノゲームとなっております。
好きだけど推理が苦手な、なんて方にはより強くおススメしたい!
次に何をするか?が完全にプレーヤーに委ねられており自由度が高いです!


・ゲーム制作をしている人
本作は探偵モノとして、特にシステム面でこれ以上ない完成度でした。
これだけUI・システムのデザインや出来栄えが良いものは本当にレアです。
1日の行動制限の作り方やらミッションが整理・明示されるところ、
真相に近づくにつれて新たなキャラが続々登場するところなど、
全体的に丁寧・親切・分かりやすさがずば抜けていた感があります。
ゲームデザインや画面レイアウトの綺麗さなどのユーザーフレンドリーさは
どんなジャンルのゲームの制作にも参考になるところがあるはずです。


・コレクション要素がたまらない人
本作は得られた情報が綺麗に整理されてまとめられます。
この情報がどんどん集まって整理されていくのがとても快感です。
探偵といえば情報収集。集めた情報はきちんと整理整理。
ということで設定とシステムの親和性も非常に高いと感じましたし、
後からゲームの内容全体を振り返る時にもとても重宝しました。


👇ちなみに既にレビュー記事がありましたのでこちらも併せてどうぞ。
 やはりというか、どちらのレビューでも高評価となっております。
 というより、どちらかを読んだら次項を見ずに即プレイをお勧めです。



3.ネタバレなしの感想

ここではネタバレなしの感想を記載します。
ノベコレでの私の感想+補足という形にします。

👇こちらはノベコレでの私の感想へのリンクです
ゲームのプレイ・DLページへのリンクを兼ねています

noteで感想記事書くことを決めていたので自分としては短めにしました。
なので以下改めて補足します。今回はネタバレなしの感想多めでいきます!
どうしてもこういうゲームだとネタバレは興ざめになりかねませんし。

感想でも真っ先に触れている通り、最も感激したのはゲームシステム・UI・画面レイアウト等々です。ナニコレ!メチャクチャ丁寧に作ってるよ!と大感激です。ゲームそのものは適当に作ったけどゲームシステムは作り込んでる、なんてことはフリーゲームではありえないので、周辺部分でこれだけ丁寧な作りである以上このゲームが当たりなのは確実なのです。というわけでノベコレ作品プレイしすぎマンにかかれば、経験則として本作が大当たりというのは起動して直ぐに分かってしまうものなのでした。実際、時間進行形の探偵ゲームのフォーマットとしてこれ以上のものはほぼお目にかかった記憶はない気がします。具体的に素晴らしい部分をもうちょっと頑張って言語化します。

〇広く誰でも楽しめるつくり
本作は文章を読むことがメインのゲームではなく、探偵のロールプレイングゲームだと私は感じました。文章を追っていき選択肢を選ぶオーソドックスなタイプのゲームも私は非常に好きなのですが、ADVやノベルゲームはどうしてもプレイヤーの間口は狭まってしまうと思います。小説がニッチな時代において、一般的には確実にニッチなジャンルでしょう。本作はその点で広く誰でも楽しめる作りになっていたと思います。
この「広く誰でも楽しめるつくり」というのは徹底していると感じました。
冒頭の説明は丁寧で分かりやすいですし、やるべきことは行動指針として分かりやすく示されますし、得られた情報は後で見返せるようにきれいに整理されますし、ミニゲームは成功するまで繰り返せます。探偵ゲームであるにもかかわらず推理系の選択肢はなく行先を適切に選べば真実にたどり着けるというのもそこに含まれるように思います。
そもそも、画面の視認性がこれ以上ないほど良いです。フォントは見やすいですし、各種コマンドの配置も見やすいですし、画面レイアウトも素晴らしいです。中でも自分が一番感動したのはあのサイズの文字を二行で表示しているところです。登場人物が長めのカタカナなのに!空間に余裕をもって二行!ADV形式のゲームを作っている人ならお気付きかと思いますがこれは凄いことです。レトロゲーを作っているくせに表現がこなれず、ついウインドウいっぱいに文字を表示してしまう自分が一番その凄さを感じているような気がします。それにしてもこれだけユーザーに配慮されたゲームのテキストが2行というのは、やはり現代においては2行最適説はかなり有力だと改めて認めざるを得ないです。文字びっしりだとテンション上がる派には厳しい時代です。

ちなみにシステム面に関してどれだけ作者さんが考慮や検討を行ったかは以下の一連の作者さん記事に詳しいです。こちら、ノベル・ADV制作者の方は必読だと思える内容です。自分も特にデザインは頑張らないと。。。


〇グラフィック
ノベコレの感想では控えにしましたがグラフィックもとても良いです。一番感動したのは世界観を全く崩さず、かつ雰囲気が統一されているところです。イギリスの街並み、古城などの多くの背景が綺麗に加工されているのはもちろんのこと、小物類のデザインやキャラクターのグラフィックなども含めた全体としての調和度が凄いです。グラフィックについては完全に門外漢なのであまり上手いことを言えないのが残念なのですが、プレイして感じて下さい!
ちなみに上記の関連記事の中で作者さんの初期キャラクター案が見られるのですが、そもそもとてちけさん自身がメッチャ絵上手いんですよ。こんなに絵が描ける人が納得いかずに他の方に依頼するというところに作者さんのゲームに対するこだわりが見えます。ちなみに、確かに実際に採用されたキャラクターたちの方が表情豊かでしっくりくるのは間違いないと思います。

〇設定・構成・展開
40年前の出来事を調査してほしい、という一風珍しい依頼からスタートする本作ですが、適切な行動先を選ぶ中で新たな人物・情報・行先が得られていくゲームシステムがストーリーとピッタリあっていたように感じました。過去から現在に続くストーリーは極めて細かく設定されていて、数多くの登場人物たちの思惑や人間関係が捜査を進める中で明らかになっていくのは快感でした。
マダム・ポプスキンの人となりについても冒頭は掴みかねる部分がありましたが、とこれはネタバレになりそうなのでここまでにします。ちなみにマダムの若かりし頃は想像通りお美しく、なんだか若かりし幻海を見た時のような感情が芽生えました。ぽっ。

というわけで今回はネタバレなし感想に力を入れてみました!
未プレイの方はいますぐどうぞ!もう1回リンク貼っとこうっと。



4.ネタバレありの感想

というわけでここからは完全にネタバレを含みます。
今回はネタバレなしの部分で存分に良いところを語れたと思うので、分量的に個人的に気になったところが多めですが、あくまで傑作だ!というのが大前提ですから誤解のなきようにお願いします。


↓ネタバレ記事開始カウントダウン5

↓ネタバレ記事開始カウントダウン4

↓ネタバレ記事開始カウントダウン3

↓ネタバレ記事開始カウントダウン2

↓ネタバレ記事開始カウントダウン1


ネタバレ感想(短め)
ネタバレなしの感想が長くなり過ぎたのでここは控えめにします!

〇結末について
結末はネタバレ感想でもあまり直接的に書くのに抵抗がありますが、
出会った人物たちに悪人がいないというのが意外性もあり良かったです。
マダムは主役に据えてるし悪人じゃないだろうなとは思ったものの、
立場的にレディかジョルジュのどちらかが黒幕?と初めは思っていました。
でも2人ともおよそ表情が悪人っぽくないんですよね。
中盤以降かなりオカルトめいたストーリーになっていますが、
割と序盤から古城推しだったことやルネ・ルーの存在、
そもそもジャンルにホラーとあることから抵抗感などは一切なかったです。
悪の親玉が既に死んでいた、というくらいに受け止めました。

〇ルネ・ルーについて
項を設けてしまうほどルネ・ルーは可愛かったですね。
これはもうキャラデザの勝利だと思いました!
おじいちゃんっ子なのもなんだか微笑ましいです。
あと、彼女の霊感に対する主人公の辛辣な選択肢が面白かったです。

〇マダム・ポプスキンについて

割と人となりについては当初に予想した通りではありましたが、
子どもがいたというのはその理由付けとしてとても納得感がありました。
否が応でも後継者争いに巻き込まれ続けた経験があったので、
自分より息子のことを優先して息子と距離を置いていると考えると、
いやはや本当に強さと優しさを持った好人物だなと思えました。
イギリスはエリザベス女王&サッチャーと強い女性のイメージがあるので、
舞台がイギリスで余計腑に落ちた感もあります。

〇主人公について
主人公がこの地域と関係ないという設定は良かったです。
おかげで情報を得ていく過程をプレーヤーが感情移入しやすいですし、
予備知識がないことにより先入観なく事実を見極められ、
最終的には真相を明らかにすることができたのだと思いました。
END7以外でも割とまぁいいや的な感じでうまく気持ちを切り替えていて、
割と器用に何でもこなすので人生の達人なんじゃないかとも思えます。

〇その他感想
・芋づる式にどんどんヒントが手に入るのが面白かったです。
・複数の用事が1回でこなせることができるのが特に快感でした。
・古城は行くのにほぼ1日に掛かるのでよいアクセントになってました。
・ルネ・ルーが可愛いです。


■ちょっと気になった点
何か感じた時はきちんと書いておこう、というスタンスです!
そもそも個人的には全体的にメチャクチャいいな!と思うほど、
気になる点が気になったりするんですよね。(自分だけ?)
なお、これまで本項は「ちょっと不満を感じた点」にしていましたが、
やはり棘があると考え直して今回は変えてみました。以降もそうするかも。

〇攻略情報かヒントが欲しかった
これは単純にヘタレな自分が悪いとも言えます。積極的に情報発信されている作者さん&プレーヤーに優しいゲームということもあるので、エンド分岐条件はどこかでちらりとでも触れていてほしかったです(見過ごしだったら申し訳ないです)。ちなみに現時点でEND3が見られていません。Youtubeのプレイ動画を参照して22日以降ずっとホテルで休んでいるのに到達できなくて泣いてます。うわーん。

〇もう少しセーブ枠が欲しかった
こちらはデザイン的には現状がベストですし、自由自在にやり直しできちゃうのもゲームとしてどうなの?ということもあるので現状でも良い気はしますが、セーブ枠はもう少しあるとプレイが快適だったと思います。6つか8つくらいあれば全く問題なかったような気がします。

〇夜まで寝るコマンド/29日まで寝るコマンドが欲しかった
これは分岐ED回収プレイの際にのみ気になった点です。「さーて、もう今の状況なら違うエンディングが見られるかな!」という際に1日4回ホテルで寝る必要があったのは微妙にストレスでした。同じEDを複数回見たことで繰り返し回数が膨れ上がったことも大きそうです。

〇オカルトなしのミステリーのほうが単純に好みだった
これはもう完全に個人の趣味なのでお門違いの感想ですが、感想は感想なので正直に書いておきます。探偵モノとしてのシステム面が序盤から完璧すぎたゆえに、よくあるタイプのミステリー展開に大いに期待してしまったという感じです。ちなみに前述の通りオカルトと言っても人物は特定されていますし終始整合性のある話なので全く問題なく楽しめました。
今回のシステムがあまりに完璧に洗練されていたので、このシステムをそのまま踏襲して今現在起きている連続殺人事件を解決するゲームがやりたすぎる!という感情が芽生えただけです。とてちけさんに陳情したい気分です!


ネタバレ防止緩衝地帯

ネタバレ防止緩衝地帯

ネタバレ防止緩衝地帯

ネタバレ防止緩衝地帯

ネタバレ防止緩衝地帯

ネタバレ防止緩衝地帯



5.おわりに

というわけで「マダム・ポプスキンの憂鬱」の感想はこれでおしまいです。
プレイ済でまだ見ていない方は以下から後日談が読めますので是非どうぞ!

👆麗しのルネ・ルーが登場する後日談2もあるので併せてどうぞ!

システム周りがこの上なく丁寧に作られた、洗練された一作でした。
探偵モノのフォーマットとしてゲームシステムが秀逸過ぎてビビります。

ちなみに制作サイトを拝見していたら現在新作を制作中とのことです!
SFも好物ジャンルですし、システム面は超つよつよな作者さんなので、
「タップゲーム」というのもどんな完成形になるのかとても楽しみです!


以上、富井サカナでした。


↓↓↓↓面白いと思ったフリゲをたらふく紹介しております↓↓↓↓


↓↓↓↓私自身もゲームを作ってます↓↓↓↓


👇今回のTGF2022参加作はコチラです!ほぼ出来立てほやほや!👇


この記事が参加している募集

全力で推したいゲーム

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?