サカキテツ朗

デザイナー・イラストレーター。不動産会社にて街開発・PR業務を担当した後、2005年に…

サカキテツ朗

デザイナー・イラストレーター。不動産会社にて街開発・PR業務を担当した後、2005年にコミュニケーションをデザインするサカキラボを設立。行動心理学に基づいたブランディング・デザインを中心としたプロジェクトに携わる。大正大学客員教授。街のコミュニケーション・文化比較を専門とする。

最近の記事

京都人の密かな愉しみ|The Secret Funs of Kyoto

京都の町家滞在も10日目となる。錦市場に食材を買いに行ったり、近所の美味しいイタリアンを見つけたりと暮らすように過ごすことができた。その中で2015年のNHKのBSテレビ番組「京都人の密かな愉しみ」はとても面白かった。一つの番組でドラマ、ドキュメンタリー、料理教室ありと、四季の京都の楽しみが伝わってくる。1本が2時間という長さを感じない構成で、お酒を飲みながら明日何をしようかとアイデアが膨らむ。番組に出てきたすき焼きは早速作ってみたが、牛肉と万願寺とうがらしとトマトだけでさっ

    • 百聞は一見にしかず|Seeing is Believing

      厚焼き玉子のサンドイッチは前から認識していたけれど、パサパサしたイメージがあって敬遠していた。しかし今回せっかくだからと思い頼んでみた。お待たせしましたと出てきたモノはボクの想像とは別物だった。出汁でふっくらした玉子が厚切りのパンに挟まれている。パンにはマスタードとデミグラスソースが片方ずつに塗ってある。精一杯大口を開けるけれど、到底入らない。ほのかなマスタードの香りとプルプルの玉子。ああ、百聞は一見にしかず。頼んでよかった。(絵と文:サカキテツ朗) I had been a

      • 住みやすい街ランキング|Popular City Ranking

        よくニュースなどで住みやすい街ランキングや人気の街ランキングなどが発表される。ふーんという程度しか考えていなかったけれど、最近市町村での違いが感じられることが多くなってきた。ムスメの誕生によって、出産、育児から保育園に至るまでのサポートが区レベルで違うことを初めて知った。またコロナによるワクチン接種の手続きなども異なる。緊急事態宣言やまんえん防止等重点措置も行政区分で出される。どのエリアや沿線に住みたいとかあっても、行政区分による違いなんて考えてもいなかった。ふるさと納税で地

        • 明るい接種会場|Bright Vaccination

          ワクチンの接種の第一回目が終わった。採血も注射も嫌いなボクは睡眠不足などの理由で延期を試みたが、何の不具合もなく仕方なく近所の病院へ出かけた。重い雰囲気の中で長蛇の列を覚悟していたから拍子抜けだった。問診の初老の先生からは「テレビとかで怖い話がいろいろやってるからみんなビビってしまうんだよねー。なんともなかった人は何も言ってくれないし」なんて世間話っぽく話しかけてくる。隣の部屋で注射をするのだが、明るい女性だ。「ボク注射ダメなんですー。」に「大丈夫ですよー、ワタシ上手だから」

        京都人の密かな愉しみ|The Secret Funs of Kyoto

          会社の伝説|Company Legend

          「誰もが無理と思っていたプロジェクトをあの人が一人でやり切ったから、今のこの会社があるんだよ」「震災の時に、当時の部長が陣頭指揮をとって物資を運び、地域の人がとても感謝して、それから地域とのつながりが深くなった」など、会社にはいろいろと過去の伝説的な話がある。昔は仕事の後の飲み会のたびに先輩から話を聞いたり、後輩がらしくない対応をした時などに話をしたものだった。ある意味それらのストーリーが会社のビジョンであり、ミッションであった。しかし会社のムダとしてその時間は排除されてしま

          会社の伝説|Company Legend

          テルマエロマエ|Thermae Romae

          京都のウェスティンに久しぶりに泊まった。京都の中でもちょっと奥に位置し窓からの景色もきれいだ。山の緑の中のお寺のシルエットがとても風情を感じる。最近スパもリニューアルして大浴場ができたと聞いてとてもワクワク。モノトーンの石に木と緑の素材の美しいお風呂をイメージする。夜の時間に間に合わなかったので、朝早起きをしていざスパへ。一瞬目を疑った。予想のイメージは真逆。明るい雰囲気に大理石で、ここはローマ?という大浴場。他の京都の侘び寂びとの差別化か?インバウンド対応か?次世代のスタン

          テルマエロマエ|Thermae Romae

          視野の広げ方|Widen the View

          大学の授業のために動画制作をしている人に話を聞いた。ずっと制作をしていると、画面にのめり込んで徐々に視野が狭くなってしまうという。集中も大切だけど、度を越さないようにしているらしい。その時はふらっと街歩きをするという。近景はごちゃごちゃした街だけど、見上げると緑に青い空が広がっていたり、地下道を抜けたところにまた街の別な顔があったりする。そんな時間が視野を広げ、新しい発見を生むという。ちょっとアップアップな今日は目的の場所への最短距離じゃなくて、遠回りしてみよっと。(絵と文:

          視野の広げ方|Widen the View

          大義名分|Justification

          昔は好きなことを好きにやればいいと思っていた。それに共感してくれる人にわかってもらえればいい。大義名分なんてカタチだけで馬鹿みたいと。あれから数十年。大義名分って大事だなぁとつくづく思う。カタチだけのものは相変わらず不要と思っているけれど、「何のために」はついつい考えてしまう。衝動だけでなく論理的にも成長したのか、パッションをなくしたつまらない大人になったのか。前者であることを祈りつつ、好きなことに邁進しよう。(絵と文:サカキテツ朗) I used to think that

          大義名分|Justification

          拡大する日本橋

          大学の授業で三井不動産の方に日本橋についてお話を聞いた。さすが江戸の商人の街で、老舗も多い。当時日本各地の商人が日本橋に集まってきたそうだ。西川ふとんは近江商人、にんべんや三井越後屋は伊勢商人、千疋屋は越谷、榮太郎は飯能から日本橋にやってきた。そんな由緒ある日本橋なのだが、三越界隈を再開発するだけでなく、東側にもエリアを拡大させている。まるでディズニーランドにシーを作ってディズニーリゾートが拡大したのと同じである。しかも近代的な大型ビルを建てるのではなく、古い佇まいをそのまま

          拡大する日本橋

          令和の開墾

          山形の酒田から車で40分ほどの鶴岡市に松ヶ岡という場所がある。明治時代に武士が荒地を開墾し、養蚕場をつくった場所だ。現在は当時の建物を利用したギャラリーや陶芸の場となっている。数年前にこの地に「令和の開墾」と称してブドウ畑とワイナリーが作られた。一面のブドウ畑を見渡せるレストランも心地よい。開発というと都会にあるような商業施設を作ることが多い中、コンクリートではなく、緑が増える開発っていいなぁ。(絵と文:サカキテツ朗) There is a place called Ma

          おいしい山形空港

          毎年この季節にさくらんぼを食べに山形に行く。新幹線だと3時間近くかかるので1時間の飛行機を使うことが多い。飛行機は「おいしい山形空港」に着陸するのだが、ネーミングがどうかなと思っていた。さくらんぼの名所の東根にあるので「さくらんぼ空港」の方がわかりやすのにと思っていた。しかし毎年行くうちに山形に行ったらさくらんぼはもちろん、山形牛もいいなぁ、蕎麦もいいなぁ、羊も美味しいらしい、さらに酒田に足を伸ばして寿司もいいなぁなんて考えるように。食事タイミングを増やすためにとうとう今年は

          おいしい山形空港

          マスクを外す時

          えっ?最近リアルであった人がたまたまマスクをはずした。今まで何度かあっていたのだが、マスクなしの顔を見るのは初めてだ。想像していた姿とちょっと違っていた。顔の印象が変わると、勝手にイメージを崩された気持ちになり、実は性格も違うのかなと思えてきてしまう。逆にオンラインで会うと、マスクをはずした姿がデフォルトである。そうするとリアルであっても、イメージがずれることが少ない。必ずしもリアルの方がコミュニケーションが円滑ということもないかもしれないな。(絵と文:サカキテツ朗) Ah?

          マスクを外す時

          25年前のスターバックス

          アメリカのコーヒーはうすかった。日本の番茶のような存在で、1日何杯も飲むからだと思っていた。25年前、ユナイテッド航空の飛行機の中で飲んだスターバックスがボクの最初の一杯だった。「We Proudly Serve Starbucks」とカップに書いてあったのが印象的だった。アメリカ人は薄いコーヒーが好きだと思っていたからビックリした。その後日本に店舗ができたのだけれど、もともと日本には美味しいコーヒーが数多く存在し、スターバックスが日本ではどうだろうと思っていた。小さな穴から

          25年前のスターバックス

          フルーツタブレット|Fruits Tablet

          表参道にあるジャンシャルルロシューのフレッシュなイチゴのチョコレートの美味しさは去年であった衝撃だった。通常は季節に合わせたフレッシュな果物のフルーツタブレットを期間限定で販売している。今はアメリカンチェリーだ。甘みの深いジューシーなアメリカンチェリーにパリパリのチョコがコーティング。旬な今がそのまま閉じ込められている。この感覚は串揚げに似ている。季節の素材が半生の状態でサクサクの衣に閉じ込めれられている感じだ。両者に共通するのはそのままの状態よりもよりフレッシュさや旨みを感

          フルーツタブレット|Fruits Tablet

          知育おもちゃ|Educational Toys

          ムスメに知育おもちゃをいただいた。ボール型をしていてゴムで伸び縮みする。さらにカシャカシャ音が鳴ったり、小さなボールが動いたりする。ムスメはまだハイハイできないけれど、このおもちゃを取ろうと手を伸ばす。そうするとおもちゃは手の先に転がる。またそれを取ろうと前に進もうとする。また、手でつかんで音が鳴ると喜び、繰り返しつかんでみる。なるほど子供の成長に合わせてその少し先の動きを誘導するとはよくできている。しかも楽しみながらだ。大人にもこんな知育おもちゃがあるといいかもしれない。知

          知育おもちゃ|Educational Toys

          20年前のアウトレット|Outlet 20 Years Ago

          今では当たり前となったアウトレットも20年前に御殿場の遊園地の後できるという計画を聞いたときには「なぜここで?」と思った。アメリカではビジネスモデルとして確立された新しい商業施設は、既存のブランドショップとの競合を防ぐために都心から車で2時間離れた場所に立地していた。アメリカではフリーウェイは無料だが、日本だと高速道路の料金が往復でも4000円くらいかかる。安い価格のものを求めに高い高速料金を払ってわざわざ行くのかな?無理じゃない?と誰しもが思った。しかし開業してみると今まで

          20年前のアウトレット|Outlet 20 Years Ago