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イノベーションを邪魔する思考停止な状態

少し前に、東京医科大学での入試における女性受験者一律減点のニュースがあったが、巻き起こった反応には「男女不平等だ」「女性の労働環境の改善を」というものが多いと感じた。

その反応自体を論じるつもりはないが、”根本的な問題”に目を向けられていないのではないかと、私は思った。つまり”思考停止”になっていて、さらに今回の内容は、女性に対する思考停止な状態が起こっている。これが「固定概念」だと思う。

私自身は近年、大企業×スタートアップによる協業(オープンイノベーション)の支援に携わっており、新しいイノベーションを起こすため試行錯誤しているが、それ以前に「個人×個人」における考え方のオープンイノベーションについては、世の人々がどの程度意識して行動できているのか。

未だ根強い女性に対する思考停止な状態

現在の日本において、男女間には圧倒的な不平等さを感じる。東京医科大学の件についても、その一端が現れただけに思うが、社会へのインパクトはご存知の通りだ。

今回の女性受験者のみ減点する理由も「女性の方が、将来退職する人の割合が高いから」、退職理由は「結婚し、出産子育てしながら仕事を続けられないから」という、昔ながらの考えが残っているのだろう。

我々スタートアップに投資する立場からすると、仕事を続けられない状況を打破するような、女性の時間を最適化する技術・サービスを生み出して解決することが役割だと感じている。

これについては先日も日経産業新聞にてコラムを書いたので、詳しくは触れない。

https://www.nikkei.com/article/DGXKZO34287480X10C18A8XY0000/

ただ、そもそもそこには「男性でなく、女性がメインで家事・育児をするものだ」といった強い思考停止状態がまだまだ存在しているのだ。

この問題においてもその前提を理解し、その改善に努めることが本質的な解決に繋がるのではないだろうか。

「上司と部下」「お客様とサービス提供者」の間にも強い思考停止な状態

上司と部下という言葉自体「人としての上下」が付いているようで好きではない。組織の中でマネジメントをする役割として存在しているだけで、「上司が偉い」と勘違いしてしまうのは間違いだ。

その影響か、「上に気を遣ってやりたいことをやらない」などという考えでは、もはやイノベーションが生まれるはずもない。

「お客様とサービス提供者」においても同様である。

「お客様は神様」という言葉もあるが、顧客に気を遣いすぎて本当に大事なことが言えない関係はイノベーティブでも何でもなく、本当に良いものが生まれるとも思えない。

このように、世の中における思考停止状態の固定概念は多く存在し、まずは、個人の中からその状態を変えていかないといけない。

「自分の強み・弱みを認識し、相手の強み・弱みについても今まで思考停止状態で理解できていなかったということを再度認識し、同じ目線で創り上げること」がポイントだ。本質のものに対して、固定概念という前提条件の”もや”のようなものがかかっているからこそ、認識できていないことが多いのだ。

本来、人と人との関係はフラットであり、”役割”や”立場”が付加されることで、あたかも相手や自分が偉いとか、全部相手の仕事だとか勘違いしてしまいがちである。

そこを同じ目線で対等に捉え、協力することが重要なのではないだろうか。

全ては「コミュニケーション」が解決の糸口

コミュニケーションで大事なことは、「相手のことをどこまで考え抜けるか」だと考えている。

企業においても、どんなに良い戦略であっても人がやる気になって行動してもらえなければ意味がない。そのためには、相手のゴールやメリットも踏まえたコミュニケーションが大事であり、人をいかに動機付けさせられるかに成否がかかっている。

大企業とスタートアップにおける取り組みでも同じだ。どんなに正しい戦略・戦術であったとしても、相手が何を望んでいるのかを踏まえたコミュニケーションができていないものは、うまくいかない。

個人においても、相手の気持ちや背景をどれだけ理解しているかで、話す言葉も違えば態度も変わってくるはずであり、思考停止な状態を壊すことに繋がる。それが分からないのであれば、そのためにも「コミュニケーション」を通じて、相手がどんな人なのかを知ること、知ろうとすることが何より重要である。

私は、思考停止な状態を壊してパフォーマンスを発揮できる人がイノベーションを起こせると考える。そういう人を1人でも増やすことで、世界は変えていける。

それは起業や事業に関わらず、日常における人との関わり合いを変えることも、世界を変える一端になりえるだろう。

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