大企業による新規事業検討に必要な2つの判断軸

先日、『上から目線が邪魔するオープンイノベーション』の記事を読んで、著者同様に大企業のスタンスに疑問を抱いた。私は特に、事業が立ち上がっている状況ではないのに、「自社内でそのアイディア(事業案)を議論してきている」ことに”安心”しているのではないか、という点だ。

日経ビジネスONLINE  『上から目線が邪魔するオープンイノベーション』https://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/221102/070200590/?P=2&mds

「Execution(実行)」の伴わない「Idea」に価値はない。

私は、アイディア(思いつき、考えている状態含め)は重要だが、それだけでは価値が低いと考えている。なぜなら、アイディアは思いついた時点で、世界中の人が思いついていると考えた方が良いからだ。

実際に、これによって大企業がスタートアップに負ける姿を幾度も目にしてきた。なぜスタートアップが大企業に勝つのかというと、そのアイディア・事業だけにリソースをフォーカスし、ひたすら実行(Execution)するからだ。

「Execution」に求められるのは「Speed」

「事業化したいアイディアはある」「社内でも話には出る」と大企業の方から聞くと、すぐにスタートアップに任せた方が成功率は上がるのではないか、とさえ思うことがある。

同じタイミングで実行する場合でも、大企業よりもスタートアップの方が早いことが多いと感じている。それは、複数社が同時に同じアイディアで事業を立ち上げる場合、「Execution」の次に「Speed」が勝負を分けることが多いからだ。

その「Speed」という点においては、業界に詳しく体力のある大企業が必ずしも勝つとは限らない。

市場の立ち上がり期に「Speed」でシェア獲得したスタートアップ

一つ例を挙げると、スマートフォンの普及前、私は何人もの広告代理店や大企業の人に「スマホ上のネットワーク広告が今後来るのでやった方がいいのでは?」と伝えたが、「Googleが始めたら負ける」「大手メディアが始めたら負ける」と失敗する理由を並べて誰もやらなかった。

そこで、広告業界の経験はない起業家に伝えたのだが、彼は業界について分からないながらもすぐさま事業を立ち上げた。

実際のところ、結局は大手ももちろん参入したが、スピーディに事業を立ち上げて拡大したそのスタートアップはシェアも確保できた。最終的に大手広告会社からのM&A提案を受け入れたが、スタートアップとしては市場立ち上がる時期に大企業に勝った構図だ。

大企業内で立ち上げるその新規事業に「Execution」「Speed」はあるか

結論、社内事業化における必要な判断軸は、「Execution」と「Speed」の2点だと考えている。

アイディアを検討しているだけで、実行しなければ意味がない。そして実行する場合でも、スタートアップに負けないスピードで進められるかどうかが非常に重要だ。

もちろん、大企業の中で社外より早く創れるのであればその方がいいし、難しいなら外部との連携に力を入れた方が良い。”時間”を意識し、事業化を検討する際に、「外部に任せるより社内の方が早く実行できるか?」という問いを持つことが重要だ。

「何でもオープンイノベーションとして外と連携」と言うつもりは全くないが、「Execution」「Speed」は重要な判断軸になるのではないか。そして、外部連携をするのであれば、上から目線の意識をなくし、対等なビジネスパートナーとして議論を進めるべきだ。

「内製か外部連携か」この意思決定の成否が明暗を分ける時代になる。

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1974年名古屋生まれ。アクシブドットコム(現VOYAGE GROUP)等を経て、2008年サムライインキュベート設立。創業期スタートアップから投資・成長支援を行うVC事業で現在国内外のスタートアップ累計190社以上に支援。また大手企業の新規事業創出等イノベーション支援を行う。