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給与テーブルの見直しと市場調整手当という考え方を導入した話

こんにちは!株式会社COMPASSピープル&カルチャー部の坂井祐太です。COMPASSは「新しい学びの環境を創り出す」をミッションに、AI型教材Qubena (キュビナ)を開発し、全国の小中学生に提供している会社です。

2021年9月にCOMPASSでは大幅に人事制度を見直し、会社のバリューと連動させた評価制度を作成しています。そこから制度の運用を重ね、数年が経過していく過程で、その時々の組織規模や組織課題に応じて人事評価制度の課題が浮き彫りになっていきました。

人事評価制度の構成や、COMPASSのバリューと連動させる制度としているということなど、根幹となる部分は維持しつつ、いくつか大きく制度を改定してきました。どのような改定をしたのか、またその改定の意図や背景などについて、2回のnoteに分けてお話ししています。

今回は、その第2回目として、給与テーブルを見直した話と、特定の職能における市場調整手当の導入についてのお話しです。
(第1回目は、等級(戦闘力)を細分化し、査定の頻度を変更した話でした。ご興味ある方はぜひご覧ください。)


改定の概要と背景

今回の給与テーブル改定の検討の背景として、教育業界では多くの場合、報酬が他の業界よりも低く設定される傾向にあることを課題意識として感じていました。そんな中でも、COMPASSでは教育業界の企業としてでも、他業界と同等以上の報酬水準にしていきたいと考えています。

もともとは、エンジニアの採用活動を通じて他社の報酬水準と乖離が生じているのでは、という仮説から報酬制度の見直しの検討が始まりましたが、エンジニア以外の社内の全ての職能において、市場(採用競合や時勢を踏まえた水準)との比較検討が必要だと感じ、検討を実施しました。

報酬の見直しにおける検討プロセス

報酬制度の見直しにあたり、まず、社内の職能を5つに分類し、それぞれの職能における市場(採用競合や時勢)と比較しました。そしてこの比較を通じて、必要な改定範囲を検証し、具体的な改定内容を決定しました。

職能の分類:転職エージェントなどの情報を参考に、社内の職能を大きく5つに分類
比較対象の選定と情報収集:採用競合となる企業をEdTechを含む教育系企業とSaaS/Tech系のベンチャー企業と設定し、対象企業が公表している公式情報、人事コンサルタントへのヒアリング、給与に関する統計データなどを収集
比較検証:職能ごとに、収集した情報との比較を実施し、各職能で必要な改定範囲を検証
改定内容の決定:検証結果に基づき、改定内容を決定

結果として、市場全体の報酬水準の高騰、特定の職能における社会的なニーズ増、などの要因をCOMPASSの報酬制度に反映させる必要があると判断し、以下の改定を実施することとしました。

① 給与テーブルの改定
時勢を反映させ、職能に関係なく全体の給与テーブルの改定を実施

② 市場係数の適用
他の職能と比較して、特定の職能において報酬水準が高まっている場合、「市場係数」という仕組みを用いて手当


新しい給与テーブル

COMPASSで設定している全職種共通の給与テーブルを2024年6月から適用する形で改定することにしました。

グレーが改定前、緑が改定後の給与テーブル
戦闘力の段階については、前の記事に書いてあります

テーブルの全面改定では、各戦闘力において給与レンジが50万円〜100万円引き上げられることになりました。
また、6月以降にジョインする社員に適用されることはもちろん、既存の社員も査定の結果に関わらず、対応する戦闘力に応じて給与テーブルの改定が反映されています。

市場係数と市場調整手当

検討プロセスの第一段階で、COMPASS社内に存在する職能を、転職エージェントなどで公開されている分類などを参考に大きく5つの職能に分類しました。

- 企画・経営
- ビジネス
- ITエンジニア
- ものづくり
- 管理・事務

その上で、特定の職能において市場との乖離が大きいと判断した際には、「市場係数」という考え方を用いて調整を実施することとしました。
この市場係数は、上述の職能ごとに適用され、1年ごとに適用する職能、適用させている職能における係数の要否や大小を見直していきます。
そして、この市場係数を月額の給与に乗じる形で算出された「市場調整手当」が毎月の給与に上乗せされて支給される仕組みです。

実際に、2024年6月時点では、ITエンジニアに対して市場係数1.1を適用し、市場調整手当を支給することを決定しています。これにより、特定の職能における市場の報酬水準に対応し、採用力と従業員の満足度を向上させることを目指していきます。

戦闘力3Aの給与レンジ内で700万円の給与が支給されていて、市場係数の1.1が適用された場合には市場調整手当と合わせて報酬額は770万円となります

この手当の導入は、COMPASSが市場の変化に迅速に対応し、優秀な人材を確保し続けるための重要な手立てだと考えています。また、他の職能にも市場調整手当を適用する可能性があり、定期的に市場調査を行い、必要に応じて調整を行う予定です。

まとめ

今回の記事では、COMPASSの報酬制度の見直しと市場調整手当の導入についてお話ししました。今回の改定を適用させた結果、COMPASSの給与水準を実際に引き上げることができ、目的のひとつとしていた大手SaaS企業の平均年収(出典:SalesNow DB(https://salesnow.jp/db))と比較して、遜色のない報酬水準を達成することができました。

また、COMPASSでは標準で支給される年収に加えて、目標の達成度に応じての賞与の追加支給があったり、会社の業績が良ければ業績賞与が支給されることもあります。さらに、少し話はそれますが、賞与の対象期間にフルで在籍していなくても賞与が支給される制度にもなっており、メンバーがよりモチベーション高く仕事に取り組めることを意識して制度設計をしています。

前回のnoteで紹介した、2023年度に実施した戦闘力(等級)の細分化と査定の回数の見直しの改定に加えて、このnoteで紹介している2024年度から実施している報酬制度の改定により、社員一人ひとりの成長と組織への貢献をタイムリーかつ適正に評価し、公正な報酬を提供することができる人事制度に調整をすることを目指しました。

また、ここでは割愛していますが、23年度、24年度のそれぞれの改定のタイミングで、評価者、被評価者ともに運用負荷が高まっているという声も社内で聞かれた部分についての改善もいくつか実施しています。

とはいえ、人事制度が完璧なものになることはないので、これからもその時々の組織の状態や課題と向き合い、制度のブラッシュアップを続けていきます。

人事評価や報酬制度以外にも、COMPASSをより働きやすい環境にするための制度なども設計し導入をしていますので、それはまた別のnoteで発信していけたらと思います。

最後に、COMPASSでは引き続き採用活動を積極的に行っています。応募意志が明確でなくとも、カジュアル面談からスタートすることも可能ですので、少しでもご興味があればご連絡を頂けると嬉しいです!

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