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#夏祭り

夏祭り 上

湿り気を帯びた生暖かい夜空に、三色の火花が舞い散る。周りの観客たちから歓声が上がる。蒸し暑いせいか、観客たちの歓声もどことなくやる気のないような印象を帯びている。
「おお。はーと」
隣で阿賀野さんが気のない歓声を上げる。立て続けに花火が上がり、その光に照らされた阿賀野さんや他の観客たちの顔は興奮しているように見え、だから余計に彼女達からあがる気の抜けた歓声が少しおかしかった。
周りの観客のほとんど

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夏祭り 下

私に声をかけてきたのは、阿賀野さんだった。信じられなかったのも無理はない。阿賀野さんの声は知っていても、その声が私に向かってかけられる言葉を発したことは一度だってなかったし、これからもないと思っていたから。それに一切の接点のない阿賀野さんが、私の名前を知ってること自体、意味が分からなかった。阿賀野さんは私に声をかけたあと、不思議そうな顔をしながら私の事を見つめていた。
「あ、あの、どうして?」

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