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Guest Talk 11: 鈴木 茜 [料理研究家]

丁寧に重ねた日常の上に、喜びの味がある

料理の魅力をさまざまな角度から捉え発信していく料理研究家。仙台市内で料理教室を主宰し、TVや雑誌メディア、執筆、最近ではYouYubeなどでも活躍する料理研究家の一人が鈴木茜先生。料理の分野もシーンも幅広いなか、どの料理にも「茜先生らしさ」がそこにはある。確かな作法やアイコンとなる装飾があるわけでもなく、特別なレシピで作られているわけでもない。それはおそらく、料理に対して自分に課した「きまりごと」があるのだろう。何かをすることではなく「やらないこと」を決め、料理に対して嘘をつかないようにしているのではないだろうか。茜先生の料理は芯が太い。だから体に元気を与えてくれる。茜先生の歩いてきた道を知ることで、その強さを学びたいと思います。


鈴木 茜さんのプロフィール
Akane Suzuki
宮城県大崎市出身。宮城学院女子大学にて栄養学を勉強後、調理師専門学校にて製菓・製パンを学ぶ。2008年より少人数制の料理教室cookinglaboを主宰。TVやタウン誌・広告でのレシピ掲載、
料理スタイリストとして活躍中。


2024.7.15+7.22放送

自分が食べたいものを作ってみた

酒井:今回の「新しい酒井3」ゲストはこの方です。こんにちは。

鈴木:こんにちは。

酒井:料理研究家の鈴木茜先生です。
簡単に僕から茜先生のプロフィールをご紹介します。

鈴木:はい。

酒井:宮城県大崎市出身。宮城学院女子大学にて栄養学を勉強後、大阪の調理師専門学校に進学して製菓・製パンを習得。その後、独立。2008年より少人数制の料理教室「cookinglabo」を主宰し、料理教室の他にはTVやタウン誌・広告でのレシピ掲載、料理スタイリストとして活躍中。
そんな鈴木茜先生です。

前半は、茜先生が歩んできたこれまでのこと。後半はこれからチャレンジしてみたい「新しいこと」についてお伺いしていきます。出演していただき、ほんと嬉しいです!

鈴木:ありがとうございます。

酒井:今日は、茜先生のお店「喫茶と食事 みどり」にお邪魔しての収録です。とっても天気が良くて、午前中の心地よい時間。開店前の忙しい時間に申し訳ないです。

季節で色が変わる風景(Photo:喫茶と食事みどり)

鈴木:ご来店ありがとうございます!

酒井:普段こちらのお店に立っていることが多いのですか?

鈴木:そうですね。
コロナ騒ぎの前は料理教室ですとか撮影とか、他のお仕事が重なって不在の時も多かったのですが、コロナが落ち着いた後はお店にいる時間が多くなりました。

酒井:自宅の食卓と、線引きが難しくなったりしないのですか?

鈴木:そんなことはありません。お客さまに出すお料理なので、心を込めてお作りしています。

季節の和定食(Photo:喫茶と食事みどり)

酒井:ありがとうございます。では、ここから、あかね先生を深掘りしていきます!
もちろん料理好きだから今のお仕事されてると思うのですが、子どもの頃から作るのが好きで、気がついたら料理のプロになっていましたとか、そんな感じですか?

鈴木:料理を始めたきっかけですが、私の家庭では祖母がメインに料理を作っていたので、普段並ぶお料理は「おばあちゃんの食卓」っていう感じだったんです。子どもだったから、なんかたまには洋食も食べたいな〜って、思ったりしていて。

酒井:ほほう。

鈴木:食べたいもの、あるんだよね〜。作ってほしいな〜って。もやもや思ってたんです。

酒井:子どもなら、尚更ですよね。

鈴木:そうですそうです。
で、そのことを母親に話したらレトルトとかを買ってくれたのですけど、そのうち「じゃあ、作ったらいいんじゃないの?」ってことに。

(Photo:喫茶と食事みどり)

酒井:おもしろいですね。でも、そんなこんなで料理を作っていたなら「わたしは料理人になる!」って気持ちにはならなかったのですか?大学では栄養学ですよね。栄養士を考えた選択の理由ってあるのですか?

鈴木:そうですね。「栄養士の方が将来食べていけるんじゃないか」って、その頃は考えてました。でも結果として、栄養士って栄養学以外にも調理の勉強もするわけで、料理はずっと続けているから料理人みたいな感覚です。

酒井:大学卒業後は、専門学校で製菓・製パンを学ぶ道に進んでますものね。それでも料理人になってお店出すぞ〜って気持ちにはならなかった?

鈴木:大学の時、料理作りの楽しさを伝える研究室にいたのが大きかったかな。食卓を楽しくすることに興味が向いてた。

酒井:いいですね。それで、卒業後には料理研究家の先生のところへ。この頃から今のスタイルが出来上がっている感じ?

鈴木:その時は、いまこんなふうに自分のお店を出すという風景は全然考えてませんでした。料理作りの楽しさをもっと伝えたいと、料理教室の先生として頑張るイメージだけでした。

酒井:なるほど。やっぱり、料理教室とお店って、全然また違うものなのですね。

鈴木:そうです。全然違う。だから、教室は今を続けているんです。
とはいえ、お店の料理と日々のお料理、繋がっているところもあります。それが皆さんの食卓のヒントになってもらえたらなって想いで料理を作り続けています。

酒井:そういう意味では、日常と離れすぎた派手なことには興味が向かないというか、「普通の食卓」にこそ料理の喜びがあるってことですかね。

鈴木:もちろん、「特別な時のための料理」として、そのような演出について教える時もありますけれど、やっぱり、それは基本の延長線。基本としての日常があって、そのなかのアレンジで特別な演出もできるわけです。

酒井:やはり料理も、基礎大事なのですね。

鈴木:はい。

「にんじんしりしり」のレシピはwebで公開している(Photo:cookinglabo)

新しいあかね先生

酒井:この番組は「ラジオ3と酒井で新しいことを考え始める」というコンセプトから、ゲストの皆さんにも新しいことを考えてもらおうと、 無茶ぶり企画を展開しています。いつもはそうなのですが、あかね先生には宿題を出しませんでした(笑)
すごい悩んで普段の料理の味が変わってしまうんじゃないかと思って、渋ったんです。
だから今、お題を出します。

鈴木:え?はい

酒井:お題は「はじめる人への一杯」

新しいことをはじめる人の前に「コップ一杯」差し出すとしたら、何を考えます?
今日これから大事な瞬間に向かう人。ドキドキ超緊張してる人の渇いた喉に、お料理のプロとして何を届けますかというお題です。

鈴木:うーん。「麦茶」ですかね。
気取ったものとかじゃなく、「麦茶」。「いつも通りでいいよ」っていうメッセージかな。

酒井:いいですね。どのような食卓シーンでも、はじめは「飲み物」から接していくと思うので、まず目の前の人に挨拶として何を差し出すのかな?というお題でした。ありがとうございます。

お店では国産紅茶などもセレクト(Photo:喫茶と食事みどり)

食卓に集まるよろこび

酒井:これからのこと。仕事と教室、どちらを重視するとかお考えはあるのですか?

鈴木:料理教室は今後たくさんやっていきたいですね。コロナの前くらいの頻度に戻りたいです。
コロナウィルスが広まったことで、「動画で料理を学ぶ」っていう人が増えてきたんです。オンラインだと食卓に並ぶお皿は画面の向こうですから、料理と食卓づくりが物理的に離れた感じに。ライブ配信じゃない限り、その学んでいる時間もバラバラですよね。

わたしとしては、実際に集まって、作ってみて、お皿ですとか全体で食卓を楽しんでもらいたいという教室のイメージがありますので、従来形の「料理教室」をまた充実させていきたいと思っています。これからの「新しい」とは違うんですけど。

少人数制の料理教室「Cookinglabo」を主宰。(Photo:Akane Suzuki)

酒井:なるほど。食卓ですから、料理だけでなく、器やお花とか、演出も含んで作り上げるものですものね。「料理」だけでは、食卓に起こす変化が弱いですよね。
あかね先生は、器やお花にも興味ありますものね。

鈴木:器やお花は大好きなので、食卓のあつらえですとか、そういう周辺のものも教えながら、皆さんが学んで帰ってもらいたいなって。でもカジュアルに。こんなお皿の組み合わせがおすすめだよとか、このお皿新しく買ったよとか。「このお花、可愛いから私も食卓に飾ろうかな〜」みたいな会話がいい。

酒井:リアルでみんなで集まってワイワイ。画面では体温伝わらないですからね。

鈴木:そういうスタイルが好き。
リアルと配信で、両立させてやっていけたらいいなって。

酒井:器探しにお店巡りするとか、わざわざ買い旅するとか、例えばそんなことはどうでしょう?

鈴木:以前は市なんかに行って、張り切って探すこともしていたのですけど、最近はもう、もっぱらinstagramで探してる。昔は海外旅行でも珍しい器を探し歩いたり、してましたね。

取材後は、季節限定の「レモンクリームチキンカレー」をいただきました。

喫茶と食事のお店

酒井:では最後に、お店のお話を。

鈴木:ありがとうございます!

仙台市泉区黒松に「喫茶と食事 みどり」というお店をやっています。緑豊かな場所で、体にやさしいメニューをご提供しています。
お食事は、和定食やカレー、手作りのパンなど。季節に合わせたメニューをご提供しています。
喫茶と甘味は、ケーキとか焼き菓子とか。コーヒー紅茶も有機栽培のやさしいものです。
だいたい、日曜日、祝日がお休み。

喫茶と食事 みどり
981-8006 仙台市泉区黒松3丁目10-12
TEL 022-702-6132
※営業時間、定休日については、Webで最新情報をご確認ください。
https://midori-sendai.com/

酒井:まだの方はぜひ一度、あかね先生のお料理を楽しんでください。

鈴木:ありがとうございました。

大きな窓の向こうに広がる景色が贅沢(Photo:喫茶と食事みどり)

放送回はPodcastでも配信中

#50 Guest Talk 11: 鈴木 茜 [料理研究家]1/2(2024.7.15公開)
#51 Guest Talk 11: 鈴木 茜 [料理研究家]2/2(2024.7.22公開)

https://open.spotify.com/show/4Lwo8gyWxtxWYLzimj48rA?si=5b80d5fc96494b75


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