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まいにち子育てヒント#11 Big5の勤勉性について解説

心理学に関するこれまでの研究から、人間の性格には5つの基本次元、通称ビッグ・ファイブが確認されています。その5つとは、情緒安定性・外向性・経験への開放性・調和性・勤勉性とされています。
ここでは、勤勉性について解説します。勤勉性とは、計画性があり、几帳面でまじめな、自己統制のきいた人に見られる傾向です。管理職の人に勤勉性の高い傾向が見られたり、年収と正の相関が見られたりと、職業的な成功に影響を与える可能性の高い因子だと言えます。
特にこれまでの日本では、アメリカと比べてその影響力が大きいとされており、これはまじめさを重んじる日本文化ゆえのものかもしれません。
自己の勤勉性を自覚するにはある程度の発達が必要とも言われており、幼児期には勤勉性よりもむしろ積極性が重視されるそうです。
遊び方についても、満足するまで遊びきっていた・あるいは遊べなかったことと勤勉性の間に関係性は見られませんでした。
勤勉性は、エリクソンのライフサイクル論によれば児童期、すなわち小学生の間の発達課題です。また、統計的には20〜30歳の間に最も伸びるとも言われています。いずれにせよ、幼児期に勤勉であることを過度に意識することは難しいのかもしれません。
勤勉性と関連して考えられる完全主義傾向が幼児期に見られることもあるようです。これは、3〜4歳にかけて自分にできることが増えていく中で、できないことに対して過敏に反応してしまうためとも言われています。

参考文献
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