まいにち子育てヒント#19 海外の幼稚園⑦ニューヨークの幼稚園 先生インタビュー
前回に引き続き、Riverdale Country SchoolでLower schoolの校長のアシスタントをされているMary Ludemann先生にインタビューしました。
―まず、この学校が子どもを教える際に重視していることを教えてください。
私たちはCharacter Education(人格教育)をとても重視しており、子どもたちの前向きな心・自分を律する力・リーダーシップ・好奇心などを育もうとしています。そうすることで、彼らの将来における成功を手助けできると考えています。これらの力を伸ばすのには、幼少期が最も適しています。
―そのために、どのようにカリキュラムを作っていますか?
私たちはChild-centered Curriculum、すなわち「子どもが何をしたいか、どうなりたいか」に合わせた教育を行っています。小さな子どもだからとこちらですべて決めてしまうのではなく、彼らの意見を聞きながら授業を作っていきます。そのため、基本的には各クラスの先生に授業の内容を決める裁量が与えられています。
学校としては、子どもたちにとって必要になる能力を最大限に伸ばせるよう、設備や専門家の先生をそろえています。
―例えばどのような形ですか?
ITに関する教育がわかりやすいです。ITの授業では、子どもたちにまずはタブレット端末を操作することを覚えてもらい、情報を電子端末で扱う感覚を身に付けさせます。学年が上がると、パソコンを用いたインターネット上の情報へのアクセスの仕方や、得られた情報の信ぴょう性の判断方法などを教えます。これにより、彼らの他の学びにインターネットを活かせるようになります。
―子どものリーダーシップをどのように伸ばしているのか教えてください。
リーダーシップを小さな子どもに意識させるのはとても難しいです。そこで私たちは、「コミュニティへの責任感」という形でそれを伸ばそうとしています。そのため、日常的なグループワークや、学校や地域でのイベントにかなり力を入れています。また、各クラス内での結びつきが強く、チームとして常に一緒に行動していて、悪いことをすればみんなに迷惑をかけてしまうということを教えています。こうして培った責任感はのちに中学生や高校生になった時、クラブなどでのリーダーシップとして発揮されるようになります。
―保護者の方との関係について教えてください。
保護者の方とは密に連絡を取るようにしています。担任の先生が保護者の方に写真を送ったり、家での様子を聞いたりするために日常的にメールを送っています。また、カリキュラムについて話し合うためのミーティングを行うこともあります。
―高校までの一貫校ということですが、幼稚園とその後の高校までの教育の間にはどのような関連性がありますか?
教育自体は、Character Educationを一貫して重視しつつ、学年が上がるにつれて学力を伸ばすことにより時間を割くようになっていきます。
より重要なのは、縦のつながりが強く、他学年間での対話による成長が得られることです。例えば5歳の子と8歳の子が会話しているとき、5歳の子は8歳の子にいろいろなことを問いかけます。そして、8歳の子は真剣に考えてそれに答えようとします。その中で、5歳の子は様々な知識が身に付くだけでなく、年上の人の考え方に触れることができます。8歳の子は、自分の知識をかみ砕いて説明する能力が身に付き、自分が何を知っていて何を知らないかがわかるようになります。こういった学び合いが生まれるのが一貫校の特徴です。
つづく
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