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まいにち子育てヒント#6 海外の幼稚園③ モンテッソーリ教育を実施するには

前回は、取材先のVilla Montessoriの基本情報と教室でのできごとについてレポートしました。今回は見学後に行ったインタビューを掲載します。

インタビューを受けていただいたのは、Villa MontessoriのHead TeacherであるLeung Estella先生です。

☆モンテッソーリ教育を高い質で実践するための取り組み

登阪)まず、園での教育の子どもの評価はどのようにされているのでしょうか。

Leung先生)基本的に、私たちはペーパーテストのような数値的な評価はしません。子どもたちの達成度は、彼らの「ふるまい(behavior)」を観察することで見極めています。例えば、どれくらいの重さのものを運べるようになったのか、あるいはどれくらい細かく指を動かせるようになったのか、などです。他にも、彼らが算数をやりたくなったときに、どれくらいの内容のことをやっているのか、あるいはどれくらい集中しているかなどを観察しています。それらを写真や文章で記録し、変化を見ることで子どもたちの成長を読み取っています。

登阪)その観察をもとに、一人ひとりに合わせたカリキュラムを作っていくのですね。

Leung先生)基本的にはそうです。子どもたちはそれぞれ発達の順番が違うので、それぞれの発達に合わせて導き方を変えます。ただし、授業自体は子どもたちの観察を踏まえて、全員に対して提供するものを準備します。今日の誕生日会もそうです。

登阪)カリキュラムを作る際に特に意識していることは何ですか。

Leung先生)子どもたちの学ぶ姿勢を、より前向きにしていくことです。”Love to learn(学ぶことを愛する)”が実現できるように、様々な工夫を行っています。また、自立心が育まれるよう、子どもたちと話すときは対等な関係性で接するように心がけています。

登阪)それらを実現するに当たって必要な教師の能力・素質は何ですか。

Leung先生)何よりも経験が大事です。子どもたちを長い間観察する中で、わかることやできるようになることが非常に多いです。それに加えて、特に幼児教育においては熱意が重要になってきます。ペーパーテストなどがなく成果がわかりにくいので、子どもたちの成長を信じるという感覚がなければ務まりません。

登阪)AMI(American Montessori institute)やAMS(American Montessori Society)に加盟していることはどのような意味を持ちますか。

Leung先生)教師のトレーニング面と教具の購入において助かっています。特に、モンテッソーリ教育の基本的な理念を共有できているのが、教師を採用するうえでも役に立っています。一方で、私たち独自の考え方があり、園の雰囲気もそれぞれ違うと思うので、実際の授業自体は私たちの判断で行っています。

登阪)保護者の方々との関係を教えてください。

Leung先生)保護者の方々もそれぞれに理想があるので、常に完全に円満というわけではありません。意見がぶつかってしまうこともありますが、それでもお互いへの信頼関係は維持しています。一緒に子どもを育てていくパートナーとしての意識が強いです。また、私たちは家庭での子どもたちの様子を知らないので、保護者の方々の視点を取り入れることは子どもたちの成長にも役立っています。

登阪)ありがとうございました。

次回は、これらをもとに得られた知見を、近年のデータとともにまとめます!


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