初めての小説を書こう!〜プロットの作り方編〜
小説を書く環境が整ったから、いざ小説を書こう!
……でも、何から書けばいいんだろう?
書きたいストーリーは頭の中にあるけど、どう形にすればいいんだろう?
ていうか、書き進めていくうちに忘れちゃいそうなんですけど!?
そんな悩みを解決するのが『プロット』の存在。
プロットは小説を書く上で非常に重要な役割を担っています。
簡単に説明すると、『この物語はこう展開していくよ』という自分のためのあらすじ・設計図のようなもののことをそう呼びます。
プロットの重要度は作家によってまちまちで、中には「俺はプロットを書かずにぶっつけで執筆するぜ!」という方もいます。
プロットを書くのって大変ですし、早く本編を書きたくてウズウズしちゃいますからねー。
初心者の方ならなおさら、プロットというものを難しく考えてドツボに嵌ってしまう危険もあったりとか。
しかし私は、初心者の方こそ綿密にプロットを組み立てるべきと考えます。
たとえば、プロットを立てるメリットにはこのようなものがあります。
1.プロットを立てるメリットについて
・ストーリーの矛盾を避けられる
行き当たりばったりで書き進めてしまうと、どうしてもストーリーやキャラクター性に綻びが生じてしまいます。
サブヒロインをメインヒロインに昇華してしまいたくなったり、新たな敵キャラクターを追加したくなったり。
その場では「こっちの方が面白い」と思って書いていても、通して読んだら矛盾だらけでガタガタというのはありがちな話でしょう。
プロットを細かく作り込んでから書き始めれば、そのような事態を避けられることが多いです。
・作品の『テーマ』『展開』『要素』を客観的に捉えられる
その物語の『売り』になる部分はどこでしょうか?
一貫して読者に伝えたいメッセージはありますか?
最初から最後まで綺麗に一本道で繋がる、美しいストーリー展開でしょうか?
必ずしも全ての小説がそうある必要はありませんが、芯のある物語だったと読者を唸らせるためには極力意識した方がいい部分です。
物語の軸に『ブレ』があると、読者を混乱させてしまうかもしれません。
プロットを通して物語を俯瞰してみると、細かな『ブレ』にもいち早く気づくことができます。
・情報が整理され、筋道が迷子にならない
結局何が書きたかったんだっけ。
このシーンはずっと書きたかったんだけど、その展開にどう持っていくのか忘れちゃった。
他にも書かなきゃいけないシーンがあった気がする。
あるあるです。
頭の中に存在するストーリーは日に日に忘れていきます。
今日まで大切に温めていた物語でも、いざ書き始めたら案外飛んでしまうものです。
そんな時にプロットがあれば、最後まで迷子になることなく書き進められるでしょう。
2.基本的なプロットの形
まず、メモ帳アプリを開いてください。
執筆ソフトにプロット作成の機能がある場合はそれでも大丈夫です。
あるいは、紙とペンを用意していただいても構いません。
そこに、まず物語のクライマックスを1行で書いてください。
書けましたか?
それがプロットの第一歩です。
できればセリフなどを使わず、なるべく簡潔に書いてください。
どうしても使いたいセリフが決まっている場合は書いていただいても構いません。
クライマックスとはつまり、物語を通して一番読者に読ませたい部分です。
言い換えれば、読者が『読んでいて気持ちいい!』と感じる部分ですね。
ここの出来具合で物語の評価が決まると言っても過言ではありません。
ストーリーがまだ固まっていない方は、この段階でクライマックスだけでもしっかり決めておくのをおすすめします。
次に、先程書いた1行の真上にクライマックスに行き着くための直前の展開を書きます。これも1行で書きましょう。
書けましたか?
これは所謂、『溜め』の部分に当たります。
ここからクライマックスにかけて一気に盛り上げていくところですので、ここもまた大事にするべきです。
ちなみに、この2行を合わせて起承転結でいう『結』の部分と捉えていただいて大丈夫です。
次に。
今書いた2行の上に数行ぶんの空白を開けて、物語の始まりについて書きます。
例に漏れずこれもまた1行で書きましょう。
お察しのことと思いますが、これは起承転結で言うところの『起』の部分です。
なんだかゴチャゴチャした順番でプロットを作っていますね。
プロットの組み立て方・物語をどのシーンから作るかはもちろん書き手の自由です。
じゃあなぜ今回は、最初に『結』から定め、『承』『転』を無視して『起』を考えているのか。
それは、『最初に結末と冒頭から決めて、そこから逆算的にストーリーを組み立てていった方が物語の破綻が起こりづらい』という理由があるためです。
結末はこうで、物語の始まり方はこう。
だからその間には○○という展開を入れる必要があるよね。
あ、でもそのためには△△という布石が必要で――。
その布石を活かすためには✕✕という役割のキャラクターを作った方がいいかな――。
こんな形で、極力余計な情報を切り捨てた上でプロットを組むと、初心者にありがちな『情報が詰まりすぎてぐちゃぐちゃ』『複雑すぎて作者自身がプロットを参考にできない』『当初の予定から大幅に結末がズレてしまった』という失敗を避けることができます。
もちろん、慣れてきたら好きな順番でプロットを組んでいただいても大丈夫です。
あくまで初心者の方に向けたプロットの組み立て方を説明しております。
ということで、あとは単純です。
今までと同じように、残った『承』『転』の部分を書いてください。
あ、1行ずつですよ。
ハイ。
プロット完成です。おめでとうございます。
このたった数行のあらすじを元に小説を執筆していくわけですね。お疲れさまでした。
3.『大プロット』と『小プロット』という考え方
さて。
前項でプロットを書いていただきましたが、どうでしょうか。過不足ないですか?
そもそも、あなたの物語は何文字程度で完結することを想定していますか?
新人賞に応募するためだとしたら10万字くらいでしょうか。
ウェブ上に公開することを想定していたり、あるいは完全に趣味で書くことを前提としていた場合、ひょっとしたら数十万字から100万字程にもなる壮大な物語のプロットを組み立てた方もいるかもしれませんね。
もう一度聞きます。たった数行のプロットで、あなたの物語を紡ぐための情報として過不足はないですか?
わかります。
不足はあるにしろ間違っても過はないですよね。
もちろんプロットとはそういうものであり、ここから肉付けしていったものが本編になるわけですから、プロットの情報量が本編を超えることはありません。
そうは言ってもこれから長い長い物語を紡いでいく上で、いくらなんだってこれだけの情報量では心もとないですよね。
そんなあなたにおすすめなのが『大プロット』と『小プロット』という考え方です。
まず、先程完成させたプロットをもう一度見てみましょう。
冒頭から完結に至るまで、物語の大筋を全てなぞっていますね。
これはつまり物語の『軸』であり、描写の優先度が最も高いイベントと言えます。
一貫してこのプロット通りの物語を描くことで、読者に『物語の整合性』や『物語の芯』に違和感を持たせず読ませることができます。
ここではこのプロットを『大プロット』と呼びます。
次に、この『大プロット』を大まかに章分けしてみましょう。
『小プロット』とはつまり、この章ごとに組み立てるプロットのことを言います。
簡単に見本を載せておきます。
イメージとしてはこんな感じです。
これを各章ごとにやります。
今回は1行ではなく、どれだけ細かく書いても何回書き直しても構いません。
ただし、『大プロット』の内容から絶対にはみ出さないようにしてください。
もしかしたら今あなたは疑問に思っているかもしれませんね。
「なんでわざわざプロットを二つに分けるの?」「最初から細かいプロットだけを作ればいいじゃん」と。
ハイ。
慣れている方はそれでも構いませんが、当然このような形をとるには理由があります。
その理由。それは大プロットから逸脱しない限り物語が破綻することはないからです。
小プロットをいくら練り込んだとしても、『大プロット』という前提がある以上、物語の『軸』がブレることはありません。
大プロットは細かいプロットを破綻させないための保険です。
予め物語の大筋だけはカッチリ決めておいて、そこから逸脱しないように好き勝手考える。
これが、プロットに縛られずに緻密なプロットを立てるコツだと私は考えます。
4.さいごに
これであなたはプロットを作ることができるようになりました。
とは言っても私がお伝えしたのはあくまで『プロットを立てる手順』であり、その内容や密度は人それぞれです。
プロットとは物語において最も大事な下地。
その出来次第でストーリーの質が大きく変動します。
何度も試行錯誤しながら、自分の納得がいくプロットを作ってみてください。
私が管理・運営するDiscordサーバーでは執筆に関する相談をいつでも受け付けておりますので、聞きたいことや執筆仲間を探している初心者の方はお気軽にご参加くださいね!
ではまた次回!
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