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お前の選書をみせておくれよ

自分の本棚がいっぱいで、最近はもうそこら辺に本を置くようになってしまいました。

こんにちは、嫁です。

やっと、選書しました。遅くなりました。

選書してみた感想は、想像以上にカオスな結果になりました。

これ実在する書店だったらボツ企画かもしれません。

いや、きっとそうです。ですが失うもののない我々は強行します。

では、さっそくですが怖いもの見たさでいってみますか。

一応、前回分はこちらに置いておきますね。

◇◇◇

嫁 ああ、気がつけばもう10月ですよ。寒いです。

夫 ほんとね。早くしないと冬になっちゃうよ。やろうやろう。

嫁 そうだね。ではさっそく、どうなりましたか。

夫 ほい、こんなもんですわ。

嫁 えーと、埴谷雄高『死霊』、円城塔『これはペンです』、佐々木敦『あなたは今、この文章を読んでいる。』、ニコルソン・ベイカー『中二階』、井筒俊彦『意識と本質』、佐々木中『切りとれ、あの祈る手を』。ちなみに埴谷雄高が全三巻ですね。

夫 はい。で、嫁さんのは、予告通り坂口安吾『桜の杜の満開の下・白痴』、林芙美子『下駄で歩いた巴里』、ジュンパ・ラヒリ『停電の夜に』、高野秀行『世にも奇妙なマラソン大会』、阿佐田哲也『麻雀放浪記(一)青春編』、向田邦子『阿修羅のごとく』。『麻雀放浪記』は第一巻しかないけれどいいの?

嫁 うん、全巻あるんだけどまだ第一巻しか読んでないから。あと向田邦子のは又吉直樹『第2図書係補佐』と迷ったけど前者にしました。でも『第2図書係補佐』はいいよね。たいして仲良くない奴に「へー本とか読むんだ」とかスマホシュッシュされながら言われたことのある人は読んだらきっと救われるだろうな。

夫 スマホシュッシュ(笑)。で、これはどういうラインナップなのよ。

嫁 私のは結構シンプルで、まず一本目は砂だから砂漠、ってことで高野秀行。そこから旅行記で林芙美子、高野秀行の本に、インドに入国するために名前を変えようとする話があるんだけど、インドってところでラヒリにした。もう一本は、『砂の女』は男女の話だから同じ感じで坂口安吾、最後に女をよすがにしている感じも似ているかなと。で、そこから無頼ってことで阿佐田哲也、これはちょっと苦しいかもだけど女がメインのものにしようと思って『阿修羅のごとく』。向田邦子はいつ読んでも面白いよね。映画しか見てないけどドラマもいつか見たいなあ。

夫 なるほどね。ディテールから引っ張ってきた感じか。

嫁 ディテール…なるほど。そう言われると他の発想はむしろなかったかわ。夫さんのはどうやって選んだ感じですか。私からしたらつながりがまったくわからないのだけれど。

夫 んー、選び方は違うからね。『砂の女』を読んで面白かったんならこれも読んでみれば?っていう視点ではあるんだけど、個別のディティールとしての「男女の話」とか「砂にまつわる話」とかいった直接的なテーマではなくてもうちょい、こう大局的な感じで選んでみたんだけど、なんかまぁ、『砂の女』から始まるというよりは「安部公房を読んだら次は!」みたいな風になってしまったかも知れない。

嫁 いいんじゃない。人によって捉え方が違うフェアって楽しいじゃん。「あ、そうくる!?」みたいな。こんなカオスな選書はamazonじゃなかなか出てこないぞ。ちなみに私には夫さんみたいな発想はまったくなかった。で、リンクをもうちょい詳しく教えて。

夫 んとねー、読むことと書くことの曖昧さと隔たりをずっと意識して書いている、というか、そういうものを読まされているというか、安部作品にはそんな印象を持っていて、それってどんなだろう?っていうのを軸にして選んだわけですよ。そういう視点でぜひ読んでみてほしい、と願って。
円城塔や佐々木敦はテクストについてこれに近い実験を繰り返していたりする人達。もちろん作家と批評家という意味で立ち位置は大きく違うんだけれども、文庫の解説を書いたりしているし大きなくくりでまとめて読んでみてほしいですかね。

嫁 ふむふむ。『砂の女』だけじゃなく安部公房作品全体から、って感じか。たしかに私よりもかなり読んでるもんね。私も冊数読んでる作家だったら同じ考え方になるかも。

夫 これに対して佐々木中氏の『切りとれ、あの祈る手を』はもうちょい視座が広くて本を出版すること、それを読むことについての意味づけとかが語られていて、とにかく印象的だったのは「著者が怒っていること」だったな。何に、何故怒っているかはぜひ確かめていただきたいな、と。

嫁 なるほどね。ちなみに埴谷雄高はどんな感じで?私は読んだことがないから表紙とあらすじからイメージするしかないけどこれはなんだかすごそう。講談社文芸文庫っていうところも含めて一筋縄じゃいかない気がする。

夫 埴谷はねー…きっと読みづらいよねこれ。なんで選んだかというと、人間に対する分析、その洞察の深め方、かな。安部の人間描写の細かさは本当に特筆すべき的確さだと思うんだけど、それよりもずっと深くて閉じた環境で議論を進めていて。その面で安部が読めるのであれば他にもこんなことを考えていた作家がいたよ、ということで。それを人文的哲学的語彙を使って説明するとしたら、もっと現代的な人でも良かったかも知れないけど、井筒俊彦もどうかな。とか。

『中二階』はこれらに比べると肩の力が抜けていて、ミクロの描写を重ねまくるところが面白くて。でもびっくりするような書き方なんだけど。
全体としてはそんな感じかな。

嫁 描写いいよねー。描写を楽しめるって言うのは文学を読む醍醐味だよねえ。すごいのを読むと、そこをそうやって言語化するのか、その手があったか!って思わず叫び出しそうになったりする。ま、叫ばないけど。サイレント絶叫。悶絶。

夫 落ち着けよ。

嫁 っていうか、こうやって見てると単行本の装丁ってやっぱかっこいいなあ。今度かっこいい表紙の本集めようよ。

夫 それ楽しそう。でもとりあえずはこれが終わってからだな。

◇◇◇

長くなってきたので一旦ここで切ります。

続きは、もう少し本の話をするのか、POPとかを考えるのか。どうなるかわかりませんが、適当にのらりくらりやっていくつもりです。

目標は冬がガチ到来するまでに完結させることです。

ただ、雪の降る地域に生まれ落ちた私は、雪の降らない地域はいつからが冬なのかよくわかりません。

とりあえずがんばります。あー、「99人の壁」楽しみだなあ!!


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