消しゴムを消す描写
さて、お読み頂いて参りましたこの【すぐ使える物語講座】も残り五回です。
今回は説明と描写について語ります。
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物語は説明と描写から
結局のところ、表現というものは説明と描写の二つしかないと、私は考えるのです。
もちろん、私の独断と偏見に過ぎません。
そこで、私が考えます説明と描写の相違について掘り下げてみましょう。
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あたしは嬉しい
この一文って、あなたにとっては説明と描写のどちらになりますでしょう?
私の感覚では説明です。では、描写ならどうなるか。例えばそう──
込み上げる喜びで胸が一杯になった。
この表現もまだ説明ですね。喜びという抽象的な言葉が入っておりますから。
つまり、抽象度の高い言葉が入ると説明だ、というのが私の考えです。
では、抽象度を下げます。
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胸が震える。弾けそうだ。体は火照り、血が熱い奔流となる。ぐるぐると駆け巡った。
これなら、描写と言えるでしょうか。
いえいえ~まだ具体化できます。
声が上ずる。言葉を出しても自分の声に聞こえない。ぼうっとする。口の中は乾く。唾を飲み込む。肌は粟立っていた──
🍇 🍇 🍇
描写は五感を使います。
五感へ訴える表現ならば、抽象度は下がってより具体的になるのです。
読み手が肌身に感じて、想像しやすいので、物語世界へ入り込んでくれます。
さあ、ここで在り方が大切です。私は常に、在り方を強調致して参りました。
書けるという在り方で取り組むのです。
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きっと書けるという在り方が確認できましたでしょうか。次は言葉を隠す訓練です。
言葉を隠す?
例えば、消しゴムという言葉は使わないで、消しゴムを描写するのです──
直方体である。面が六つ。それぞれの面は長方形。全ての面が平らで白い。触ってみる。すべすべと滑らか。大きさは全体でも親指と人差し指で摘まめる程度。軽い。持つという感覚すら生じないほどの軽さ。使う。シャーペンで書いた文字へ当てる。紙に沿って擦れば消えていく。紙から消えた黒い文字は白く滑らかな面に削り取られた。材質がゴム。私はゴムについて知識が──
スビバセン。長くなりました。書き始めると面白くなります。延々と続きそう。
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いくつか工夫しました。
例えば、文末は揃えません。単調にならない配慮です。文の長短でリズムを出す。
同じ助詞は続けません。
助詞とは、を・に・が・へ・や・は・で・てなどで例文の太字です👆
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人物でこうした描写訓練をするのも面白いですね。例えば、ご家族や友人知人の中から、どなたか描写してみます。
相貌、身体形状、性格、物言い。当然、名前は伏せますが。
描写が楽しくなります。
そのような在り方を設定するのです。私は描写できる。面白がって上手くなる──
実況中継もよいでしょう。電車に揺られつつ周囲の方や窓外の風景を描写する。
少しは気が紛れるかもです。
ではまた💚
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