市長に手紙を書いた話。
おはようございます。
さいとうは猫の生きざまを学ぶ獣医師です。みなさま、いかがお過ごしでしょうか。
今日は、「市長に手紙を書いた話。」
かれこれ、20数年ほど前のことですが、いまだにふと思い出すことが多くあります。
さて。
中学校に通っていたある日、「市長にお手紙を書きましょう。」と突然、先生から話がありました。
どうも、市長が市内の中学生の素朴な疑問、意見、要望に1つずつ答えちゃうぞ☆という企画だったよう。
半ば強制的に市長へのお手紙を書かされたのでした。
周りはみな、何を書けばいいんだ?言いたいこともないし、という状態。
でも、私は、書いた。
すぐ書きました。
「まともな」図書館が欲しい。と。
当時、私の住んでいたM市には、たいそうボロくて、狭くて、暗くて、アクセスの悪い図書館がポツンとありました。
親は、図書館によく連れて行ってくれていたので、他の友人よりもそのボロ図書館には行く頻度は高かったと思います。
イメージ的には、大正浪漫を彷彿とさせる、おもむきある図書館。
ただ、置いている本の数はとても少なく、狭くて窮屈。そして何より、会議室によくある長テーブルが無造作に2つ、3つ置いてあり、そこが自由に本を読んだり勉強する場所となっていました。
一方、隣の市町は、ちょうど新しい図書館が数年前にできた状態。新しくて、広くて明るくて開放的。そして漫画や、雑誌、ビデオなども自由に見ることができ、カフェなんかもあったりして、いわゆる「憩いの場」がありました。
ですので、書きました。がっつり書きました。
「H市やO町には大きな図書館がありますが、M市には使い勝手が悪い図書館しかありません。同じような環境で暮らしているのに、勉強するスペースもない図書館しかないなんて不公平です。市民の憩いの場となるような図書館を新しく作ってください。」
と、まあこんな感じだったと思います。
なんと、至極まっとうなことを書いたんだ、すばらしい自分!、むしろ市長に届くとは!と興奮した記憶があります。
・・・・・・・・そして、数ヶ月後・・・・・・・・
待っていた回答が市長から届きました。
授業で、互いが出した意見、回答を発表・・・するかと思いきや、単に配布されました。なぜ?
ただ、わくわくして中身をみると・・・・
「いまの図書館は、大正9年に建設された歴史がある建物です。この建物はとても貴重なものなので、大切にしましょう。」
・・・・・え?
・・・・・・・・・・・ん?
目を疑いました。
まっっっったく、回答になっていない。
と、中学生でも思いました。
今ある建物を壊して欲しいとは一言も言っていないし、別の場所に場所に立てれば良いじゃん、と。その上で、そんなに貴重な建物なら、別に保管すればいいじゃん。と。
中学校の先生が、授業で皆の質問・回答を共有しなかったのは、この回答のクオリティの低さが理由だったのでしょう。
当時、中学生だった私にとって、とてもかなしい気持ちになる回答でした。
一生懸命期待して書いたのに。
あ、何を言っても無駄なんだと思わされました。
今考えると、市長が回答を作ったとは思えず、おそらく、職員が回答案を作って、市長に見せたのではないかと考えてしまいます。
それ自体は仕方がないとしても、数人で回答を見て、「回答になってなくない?」と思う人はいなかったのか、また、「せめて、別の回答をしようよ」と誰も思ってくれなかったのか、と、考えては、悶々とする日々を過ごした記憶があります。
個人的には、すぐに図書館ができなくても、せめて、
「貴重なご意見、ありがとうございます。たしかに、他の近隣の市町村には新しい図書館が作られたということは認識しています。ただ、M市にはすぐに新しい図書館を作る財政的な余裕や、そのほかたくさんの課題があります。一方で、図書館も老朽化が進んでいることから、今後、新しい図書館の必要性、建設の可能性について検討していきたいと思います。」
くらい欲しかった。というか、これくらいなら、いくらなんでも書けるはず。
・・・と、中学生に思わせてしまった市長。
市長!!!!
この件で学んだのは、
①中学生だからと言って馬鹿にしてはいけないこと。
→ 数十年後、地域を支えるのは今の子供達。
②回答は、ある程度、意見を出した人の気持ちに、できる限り、よりそってあげること。
→ 期待を裏切られた側は、どんな気持ちになるでしょう。
の2点でした。
学ばせてくれた市長よ!今となっては感謝しています。
そして、最後に、気になる図書館の行方は・・・・・
私が意見をだしてから、約20年後。
アクセスの良い、市民の憩いの場になる図書館ができました。
カフェもあります。十分な勉強スペースもあります。託児所もあります。明るいです。漫画もあります。
まさに、20年前に欲しかった「あの」図書館です。
ちなみに、市長が「大切にしましょう。」と言っていた、あの古い図書館は、無残にも取り壊されました。
なんと。
世の中の無情について、20年経ってからなお、市長から学ばせていただきました。
ありがとう、市長。
ただ、いま、市長にひとこと言えるならば、
「20年前に理想とされていた図書館を今さら作っても、時代遅れだよ。」
「大正浪漫あふれる貴重な古い図書館を、活用する術はなかったの。」
の2点です。
大正浪漫あふれる建物に、看板ねこがいたら・・・それだけで最高じゃないですか!
今日もお付き合いいただき、ありがとうございました。
今日もいい日でありますように。
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