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【フリーランス仕事図鑑】広告漫画家:柚木ロウさんの場合

皆様こんにちは!フリーランス主婦のサイトウさんです。

今回のテーマは「フリーランス仕事図鑑:広告漫画家編」です。

フリーランス仕事図鑑とは…
様々な業界で活躍中のフリーランスの方に仕事関連の話を聞きまくる企画
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スペシャルゲスト:柚木ロウさん
美容・人事・ビジネス分野等の実績豊富なフリーランス広告漫画家。
広告漫画家を目指す人向けの記事「広告漫画家1年生!」連載中。
夫婦ユニット「ゆずさくらや」としても活動中。1児の母。
→ポートフォリオサイト

聞き手:サイトウナツミ
ゲームやアプリのUIデザインを中心に活動中のフリーランスデザイナー。
出産育児のため5年間専業主婦として悶々と過ごした後に開業。
→やってることまとめ



Q1 広告漫画家ってどんなお仕事ですか?


柚木ロウさん

「商品やサービスをお客様にPRするための漫画」を描く仕事です。

以前描かせていただいたセコム損害保険株式会社様の冊子用の漫画を例にお話しますね。

△ 画像クリックで外部サイトの漫画ページに移動します △

この漫画には、商品のターゲットである20代から30代以上の子持ち世帯のご夫婦に「もし同世代の身近な人がガンになってしまったら?」を自分ごととしてシミュレーションしてもらえるような工夫を随所に盛り込んでいます。

ただキャラクターに商品の説明をさせるのではなく、つい興味を持って読んでしまう「ストーリー」や「感情表現」が重要ですね。

あくまでも広告なので、クライアントの「売り上げ」や「成約率」、Webなら「クリック率の促進」など成果に繋がる漫画を描くことが一番の目的になります。


──ただ読者を獲得しても意味がないということでしょうか?


柚木ロウさん
そうなんです。「面白かった!」で終わっちゃったら広告漫画はダメなので、ターゲットにその先の行動を促すような仕掛けを常に考えながら制作しています。



Q2 広告漫画家になったきっかけは何ですか?


柚木ロウさん

子供ができる前の話なんですけども、色々あって会社勤めからパートに変わったんです。

その時にSNSで仲良くしてくださっていたフォロワーさんたちがアバターイラストを描くお仕事をしていたので、「じゃあ私も真似してみようかな」みたいな軽いノリで副業イラストレーターになりました。

でも結論から先に言っちゃいますと、私の場合はイラストを描くよりも漫画を描く方が合っていたようで…。

他のイラストレーターさんみたいにすっごい可愛いイラストを描くみたいなのが全然できなくって…キャラクターデザインとかすっごい苦手で笑

そんな中でも「柚木さんの描く漫画はどれも表情が素敵!」って褒めていただけることが多かったので、「素敵なイラストを描く」のではなく「漫画で伝える」方向に自分の売り方をシフトしていきました。


──弱みを無理に補強せず、強みを活かせる場所に移動したのですね!


柚木ロウさん

そうです!でも最初は当たり前ですが実績も何もなかったので、パート先のお客様案内用のサービス紹介漫画を描いて店長に提案したりしていました笑


──勢いと行動力のカタマリ…!



Q3 やりがいを感じるのはどんな時ですか?


柚木ロウさん

自分の担当した漫画が公開された時ですね!
Web媒体の場合、サイトトップなどの目立つ位置に漫画ページへのバナーを貼っていただけたりするんですよ。


──それは嬉しいですね!


柚木ロウさん

たまに担当営業さんから「クライアントさんからも好評でしたよ!」と教えていただけることもあり、「頑張って良かったなー!」って思います。

あと最近は漫画の中で登場したキャラクターを使ったポスターとか、漫画動画とか…横展開のご相談をいただくことも増えてきたので、それもありがたいなって思っています!



Q4 広告漫画家に向いているのはどんな人ですか?


柚木ロウさん

「作画スピードが速い人かな?」とか色々考えたんですけども…それはそれとして、広告漫画家限定で言えば「企業勤めの経験」はあった方がいいかなって思います。


──確かパートの前にも複数の会社にお勤めの経験があるんですよね?


柚木ロウさん

はい!イベント業、接客業、事務職、総務・人事など多様な職種経験があります笑

ビジネスマナーやスケジュール管理能力などをがっつり鍛えられました。仕事を依頼する側も経験しているので、どういう人が求められているのかもなんとなくですが分かります。

広告漫画家といえど、資料集め・打ち合わせ・営業・事務作業などなど「漫画を描く」以外の業務も多いので、企業務めで培ったビジネススキルのあれこれは今でもものすごく役に立っています!

なので広告漫画家は「漫画も描けるビジネスマン」に向いてる職業かなと個人的には思っています。


──会社員の副業としても良さそうですね。


柚木ロウさん
会社勤めしながら広告漫画を描いているママ友さんいますよ!
「ちょっと副業やってみたいな」っていう人にも広告漫画はおすすめです。

あ、あともうひとつ!「柔軟に対応できる人」も向いていると思います。

広告漫画って様々な媒体で展開されているので、掲載媒体に応じた制作の仕方だとかが変わってきているんですよ。

「ホームページ掲載用にA4サイズで作ってほしい」とか「スマホ用に縦読み漫画に再構成してほしい」とか「動画にして動かすのでレイヤーを分けてPhotoshop形式で納品してほしい」とか…。


──それは大変そう…。


柚木ロウさん
大変です笑

でもそういった依頼を敬遠せずに、媒体によっての見せ方や制作の仕方を勉強しながら柔軟に対応できる人には向いてるんじゃないかなって思います。



Q5 仕事はどうやってもらっていますか?


柚木ロウさん
私の場合、依頼割合は8割ぐらいが編集プロダクション(以下編プロ)さんで、2割ぐらいが自分のサイトからのお問い合わせになります。


──2パターンあるのですね。編プロからの依頼はどのようにくるのでしょうか?


柚木ロウさん
指名されてそのまま決まることもあれば、何名かの候補者の内のひとりとしてスケジュールや原稿料を提示後に決まることもあります。コンペ形式だったこともあるので、クライアントや案件によってまちまちですね。


──価格交渉やスケジュール調整などは編プロの担当になるのでしょうか?


柚木ロウさん
そうですね、営業関連は基本的におまかせしています。
「ちょっとこの原稿料だとな…」っていう時は編プロさんに相談しています笑

あと営業以外にも、作画に入る前のラフ制作まで編プロ所属の漫画家さんが担当してくださっていて、私の作業は清書だけ、ということもあります。


──至れり尽くせりですね。広告漫画家を始めたいなっていう人は、まず編プロと繋がるのが良さそうですね。


柚木ロウさん
安心ですよね。「広告漫画家1年生!」の記事でも、

① クラウドソーシングサビスでとりあえず初めてのお仕事を獲得する

② 実績とサンプルを作る

③ ②を携えて編プロさんのお仕事に挑む

という流れをおすすめしています。


──編プロに挑むには、実績がないと厳しいんでしょうか?


柚木ロウさん

編プロさんに作家登録するために試験がある会社もあるんですよ。手ぶらで行くよりはサンプルをしっかり携えていった方が良いと思います。


──編プロに複数所属することは可能なんですか?


柚木ロウさん

私、してますよ!A社さんの案件をやりながらB社さんも並行して、それが終わったらC社さんの案件みたいなことも普通にあります。

スケジュールについては提携している編プロさんと常に共有していて、「現時点だったら来月の中旬着手のものであれば対応可能なのでお気軽にお声掛けくださいね」みたいな感じで伝えています。

その甲斐あってか、今のところお仕事の依頼が途切れたことはないです。


──相手の手間の1つを軽くする行為ができると強いですよね。


柚木ロウさん

担当営業さんからも「”今対応可能な作家”として提案しやすくなるので助かる」と言われたことがあります。


──先ほどサイト経由でもお問い合わせも来るとおっしゃっていましたが、お客様がどうやって柚木さんのサイトにたどり着いたのか分かりますか?


柚木ロウさん
全部を把握できているわけではないのですが、「広告漫画」などのキーワードで検索して、どこかで私の作品サンプルを見かけて、作家名で検索して…という話は聞いたことがあります。

どこで見ていただけるか分からないので、「自分の作品の絵柄の露出が多い」のは1つのポイントだと思います。

SNSでもどんどん実績公開して、編プロさんの作家登録ページもできるだけ最新の作品サンプルに更新しています!



Q6 フリーランスを選んだ理由は何ですか?


柚木ロウさん

立派な理由ではないので、この記事を読んでくださっている人をがっかりさせちゃうかも…。先ほどお話した通り、元々広告漫画家って育休中に始めた副業だったんです。

育休が終わる頃には広告漫画の方が軌道に乗ってきていて、途切れることなく案件をいただけるようになって、制作ボリュームもちょっとずつ増えてきて…そんな状態で育休から復帰してしまい…。


──無謀では!?


柚木ロウさん

はい…本業と副業と保育園の送迎と家事のコンボがキツ過ぎて…「私には無理!」ってなりました。

勤務中の暇な時間帯に「今抱えている案件進めたいなぁ。時間もったいないなぁ」とか考えるようになっちゃって。

そんな時に、以前から「一緒に仕事してみたい!」と思っていた企業の営業さんから「一緒にお仕事しませんか?」ってサイトのお問い合わせから直接お声掛けいただけたんです!

もう嬉しくって…速攻でポートフォリオを送って、電話でお話して、すぐにお仕事でご一緒できるようになったんです。

副業から本業に切り替えるいいタイミングだなと思ったので、「まずは旦那の扶養内でやってみて、軌道に乗らなくなったら外で働けばいいや」って割と軽い気持ちでフリーランスになっちゃいました。


──「フリーランスの仕事がたくさんいただけるようになったから」は真っ当で立派な理由だと思います!



Q7 フリーランス主婦の大変なところは何ですか?


柚木ロウさん

時間が足りないですね…。もっと仕事したいです。

気が付いたら「あ、もうお迎え行かなきゃ」とか、夜に寝かし付けてから仕事しようかなって思ったら「寝ない…」とか。じゃ朝活しようかなって思ったら「起きてきた…」とか笑


──時間が足りないというか、自分の思い通りになる時間が仕事の時ぐらいしかないって感じですよね…。


柚木ロウさん

分かります…。「在宅ワークは子供を見ながら仕事ができる!」みたいな宣伝が出た時期とかありましたけど「そんなことないから!」って。


──違和感ありますよね。ただ私の場合、そういう広告を見ると「昔は私もそう思っていたな…体験するまで分からなかったな…」と申し訳ない気持ちになります…。


柚木ロウさん



Q8 夫婦で仕事をするのってどんな感じですか?


柚木ロウさん

私は漫画やイラスト、旦那はロゴやポップのデザインが得意なのでちょっと畑は違うのですが、お互いの制作物や見積もりの内容をチェックし合ったり、今後の活動について話し合ったりしています。

旦那の方がAdobeソフトを使っている歴が15年以上と長いので、分からないことをすぐ相談できるっていうのは助かりますね。

その代わりと言うわけでもないのですが、営業やお金周りについては私が相談にのることの方が多いです。ビジネスメールとか堅苦しいのが苦手な人なので笑


──楽しそうです!「パートナー」という言葉がぴったりですね。


柚木ロウさん

んー、それよりも「仲のいい同僚」とか「チームメイト」って感じです笑



Q9 家事育児のおすすめワザを教えてください!


柚木ロウさん

我が家は「無理しない」がモットーなので、得意な家事はお互いに任せる傾向があります。

例えば旦那は料理が得意なので、早く帰ってきた日は「旦那が料理」で「私は娘の相手」みたいに自然と分業しています。でも洗濯物を干すのはキライらしいのでそこは私が担当したりとか。


──お互いの「好きな家事」と「苦手な家事」を把握できているのですね。
「無理しない」で過ごせるのはよいですね。


柚木ロウさん
無理しないために、疲れている時は宅配やお惣菜を遠慮なく頼っています笑


──毎日の料理って大変ですもんね。我が家では「夫が出社する日は惣菜を買ってきてもらう」って決めちゃってます笑


柚木ロウさん

全然いいと思います!頼れるものは頼った方がいいです。



Q10 駆け出しの頃の自分にアドバイスするとしたら何ですか?


柚木ロウさん

「発注側の目線を考えたサンプル作りをしようね」って言いたいです。
「広告漫画の仕事したいんだったら、30代以上の日本人のキャラクターとかスーツの練習しといた方がいいよ」って。

というのも、広告漫画で登場するキャラクターってサラリーマンとか主婦とか家族とか中高年が多いんです。上司とかお父さんとか…とにかく「おじさん」の登場率が高いので、そういう年代のキャラクターを描く練習をして、サンプルも作っておいた方が良いです。


──「自分が発注したら、こういうのを作ってくれるんだな」って想像してもらいやすいサンプルがあると強いですよね。


柚木ロウさん

駆け出しの頃は「私の自信作を見てください!」みたいな感じでサンプルを掲載していて…見る側の気持ちを全く考えてなかったんです…。

趣味で描いていたファンタジーとか美男美女とか、そういうのを絵柄サンプルにしてて…。でもそれらを見せたところで「へー上手だね」で終わりなんですよね…。

幅広い世代で受け入れられるようなビジネス向けの絵柄の開発をして、サンプルをスーツ着用の大人を中心に変更していったら、ちょっとずつですがお仕事の受注率が上がってきました。

「上手い下手」よりも、「絵柄が『ウチの』商品サービスにマッチするかどうか」の方がお客様にとっては重要なのかなと思います。



Q11 今後の野望を教えてください


柚木ロウさん

この仕事を始めてから「ビジネスコミックの作画担当になりたい!」っていう夢をずっと持っています。

ただ、まだまだ幼い娘を育てながら大ボリュームの案件を担当するっていうのはちょっと無理があるので、娘が年中~年長ぐらいになってから、本屋さんに私の担当したビジネスコミックが並んだら嬉しいなって思っています!


──本屋さんに自分の絵が並ぶところ、見たいですね!


柚木ロウさん
見たいです!

それとは別にもう1つ野望があって…娘が将来通う小学校や中学校の図書室に置かれる「児童書の挿絵担当になりたい」です!


──「広告漫画家として」ではなく「イラストレーターとして」ですか?


柚木ロウさん
そうです。今でこそビジネス向けとかファミリー向けの広告漫画を中心にお仕事させていただいているのですが、教育や学習系など学生さん向けコンテンツのお仕事を獲得するために、いま営業を頑張っているところです。


──すごい!活躍の場をさらに広げるべく動き続けているのですね。


柚木ロウさん

はい!その手始めとして、2021年9月28日に発売された「CUT2021」という102人のイラストレーターの作品集に私のイラストを掲載していただきまして…。


柚木ロウさん

学生向けのイラストサンプルも掲載していただけました。本屋さんで見かけたらお手に取ってもらえると嬉しいです!



Q12 視聴者さんにメッセージをお願いします


柚木ロウさん

「フリーランス主婦って結構働きやすいな」っていうのが率直な感想です。働き方を自分で選べる点が良いですね。

私の場合はiPadがあればいつでもどこでも仕事ができますし、娘の急な熱や平日の用事にも柔軟に対応できるのでありがたいです。

もし「フリーランス、良さそうだな」って考え中なら、「まずは扶養から始めてみるか」みたいなある程度の準備が整ってから、思い切って飛び込んでみるといいんじゃないかなと思います。




インタビューは以上です。

動画版には収録後のオマケトークも付けているので、興味のある方はそちらも是非ご覧ください↓

スペシャルゲスト:柚木ロウさん
美容・人事・ビジネス分野等の実績豊富なフリーランス広告漫画家。広告漫画家を目指す人向けの記事「広告漫画家1年生!」連載中。夫婦ユニット「ゆずさくらや」としても活動中。1児の母。
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