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御代替わりの儀式──践祚、大嘗祭そして改元まで

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平成の御代替わりでの議論は徹頭徹尾、政教分離がテーマでした。そして令和の御代替わりもまたしかりでした。天皇がなさる儀礼には宗教性があるということなのですが、それは如何なるものなの…
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#所功

「昭和天皇の忠臣」が語る「昭和の終わり」の不備──永田忠興元掌典補に聞く(「文藝春秋」2012年2月号)

「昭和天皇の忠臣」が語る「昭和の終わり」の不備──永田忠興元掌典補に聞く(「文藝春秋」2012年2月号)

 昭和から平成への御代替(みよが)わりから20年あまりが過ぎた。今上陛下は78歳(当時)。推古天皇以後では、江戸期の霊元天皇と並ぶ、歴代第4位の御長寿となられた。歴代天皇は若くして退位されており、75歳を超えてなお皇位に就かれているのは、昭和天皇と今上天皇以外にはない。

 陛下はまだまだお元気だが、ご高齢なうえにガンを患われ、療養中だ。15年には前立腺ガンの手術をお受けになり、20年には不整脈を

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ご意向=「生前退位」と解釈する所功先生の根拠 前編──非歴史用語をあやつる歴史研究家(2016年9月16日)

ご意向=「生前退位」と解釈する所功先生の根拠 前編──非歴史用語をあやつる歴史研究家(2016年9月16日)

 前回は、漫画家・小林よしのり先生のブログをテキストに、陛下のお気持ち=「生前退位」(「退位」「譲位」ではない)と解釈する根拠と問題点について考えました。結局のところ、根拠らしいものは何も見出せませんでした。つまり、メディアの報道を鵜呑みにしているとしか受け取れないのです。

 いや、本当にそうなんでしょうか。5年前、読売新聞の「特ダネ」に端を発した「女性宮家」創設論議でも同じようなことが起きまし

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所功先生、いまさらの「政府批判」の真意──もしかして矛先は男系男子継承維持派に向けられている(2018年9月24日)

所功先生、いまさらの「政府批判」の真意──もしかして矛先は男系男子継承維持派に向けられている(2018年9月24日)

(画像は新元号を発表する菅官房長官。官邸HPから拝借しました。ありがとうございます)

 新元号論議について、書きます。

 報道によると、9月22日、京都の大学を会場に開かれた、元号がテーマの公開シンポジウムで、敬愛する所功京産大名誉教授が、新元号の事前公表について「ルール違反」と指摘したとされます。先生が政府を批判されるとは、驚き桃の木です。

 記事によると、所先生の指摘は以下の通りです。

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「翌年元日」改元か、それとも「践祚の翌月」改元か──30年で一変した所功先生「改元論」の不思議(2018年10月7日)

「翌年元日」改元か、それとも「践祚の翌月」改元か──30年で一変した所功先生「改元論」の不思議(2018年10月7日)

 平安時代以降、代始改元は践祚の翌年に行われる踰年(ゆねん)改元が習わしでした。「同じ年に、臣下が二君に仕えるのは忍びがたい」(『日本後紀』)とされたからです。ところが、明治維新期に一世一元の制が採用され、さらに明治42年の登極令では「践祚ののちは直ちに元号を改む」(第2条)と明文化され、践祚同日改元に改められることとなりました。

 千年以上続いてきた踰年改元の制度が、どのような経緯で践祚同日改

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所先生、葦津「大嘗祭」論の前提を見落としてませんか──葦津珍彦vs上田賢治の大嘗祭「国事」論争 4(2019年10月22日)

所先生、葦津「大嘗祭」論の前提を見落としてませんか──葦津珍彦vs上田賢治の大嘗祭「国事」論争 4(2019年10月22日)

◇日経に掲載されたインタビューへの疑問

 即位礼正殿の儀を目前にして、18日の日経(電子版)に、「儀式は持続と変化の象徴」と題する所功・京都産業大名誉教授のインタビュー記事(聞き手は井上亮編集委員)が載った。

「古代(の儀式)はもっと豪華盛大で、平城宮や平安京における即位儀式の規模は近代を凌いでいます」「明治以降、それまでの中国式を改め、日本式のものを工夫して作り上げた知恵は大切にしてほしい」

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3段階で進められた御譲位の儀式?──所功「光格天皇の譲位式と『桜町殿行幸図』」を読む(2017年8月17日)

3段階で進められた御譲位の儀式?──所功「光格天皇の譲位式と『桜町殿行幸図』」を読む(2017年8月17日)

 敬愛する所功先生(京都産業大学名誉教授)が、「〈資料紹介〉光格天皇の譲位式と『桜町殿行幸図』」と題して、光格天皇の御譲位の儀式の具体的な中身について、「藝林」4月号(財団法人日本学協会藝林会)に執筆されていますので、ご紹介します。

 いうまでもなく、光格天皇は200年前に譲位された歴史上最後の天皇です。報道によれば、今上天皇の御譲位が来年末もしくは来年度末に予定され、政府・宮内庁は譲位の儀式の

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