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8.カスタマーサクセス立ち上げに1人で挑戦して解約率を半減させた話。
こんにちは!Trimの齋藤です。
ベビーケアルームmamaro™を手掛けるスタートアップでCOOをやっています。
今年の5月からmamaro事業における"カスタマーサクセス"の部門立ち上げをしています。
この半年の挑戦の記録、そして得た学びを体系化してみよう、という事で
今回記事を書いています。
こんな方に読んでほしい!
- CSをこれからやるという方や、注力するぞっという企業の方
- 有形商材を取り扱っている方
- mamaroやTrimに興味のある方
以前少しTwitterで呟いていたのですが、
有形商材 × カスタマーサクセスの大まかな体系化が自分の中で見えてきたので、少しまとめてみようと思います。
▼前編となる記事はこちらです。
CSが必要になったきっかけ
前回も少し触れたのかもしれませんが、再掲です。
mamaroは設備としての機能(ハード)とアプリ連携や内部モニター活用による情報連携などの機能(ソフト)の両面を持つIoTベビーケアルームです。
提供形態もレンタル / 販売と2つのパターンを持ち合わせているのですが、
幸いにも契約期間内における途中解約、は今まで発生していません。
一方でトライアル的に導入した結果、やはり不要、となるケースはあり、
導入件数が飛躍的に伸びていくにつれて、
比例する形で撤去案件も僅かながら発生していました。
まずやったこと
そんなこんなで、2021年5月に行われた経営合宿内で
「CSやろう!」「担当は齋藤ね、よろしく」的なコミュニケーションがあり、以降CS部門立ち上げをほぼ1人でやってきました。
時にはこれから導入予定となる店舗に平日・土日と通い、
店頭に立たせてもらって実際にユーザーとなるであろうママ・パパに
アンケートを取り、導入後のデータと比較したり、、
内部モニターで多数のコンテンツを流して印象調査をしたり、、、
来店動機などのデータを取って分析したり、、、、
足を使って・頭を使って、持てるアイディアとリソースを投下しまくりました。
そして分かってきました、、、有形商材のカスタマーサクセスは難しい!
そう感じるポイントは以下の通りです。
1. シンプルなプロダクトほど、"オンボーディング"という概念がない
2. 導入後のサクセスの定義を定量的に表現しにくい
3. ヘルススコアの設定・計測がしにくい
4. (プロダクトによるが)対峙する顧客がアナログ文化
そんな中で、「なるほど、こういうステップになるのかな?」という
個人的な解が出来た感があります。それが以下です。
mamaroに限らず、有形商材に当てはまりそうな形で書いてみました。
0. 導入前
これはいわゆる営業時における期待値確認や、
導入における意義のコンセンサスを得ましょう、という
カスタマーサクセスとは違う分野の話なのですが、連動性が高いので記載しています。
このフェーズでは意思決定者・運用者……という登場人物のロールを確認しておくことが非常に重要で、可能であればどのような情報や効果を欲しているか、まで把握しておきたいところです。
余談ですが僕がTrimに入った当初戸惑ったのはココで、
通常のBtoBのセールスシーンでは社内ロールを確認する、レベルなのですが、施設への設備導入時には多い時には4,5社が導入時のフローに絡むことがあり、プレイヤーの多さと複雑に苦戦しました……。
営業とCSが分離している組織であれば、この情報整理は結構死活問題です。
僕は幸いにも営業からCSに移っているので感覚値を持っているのですが、
そうでない場合は営業経験を積んでからCSに、というメンバーオンボーディングも有りなんだろうなぁ、と思います。
1. 導入
導入時におけるポイントは言ってしまえば「当たり前のことを当たり前にやる」の一言に尽きるのですが、、、、
例えば製品が期日に無事に到着し、すぐに使える状態になっている。
説明書や仕様書が分かりやすく、誰でも理解しやすい状態になっている。
今後トラブルがあった際の連絡先が明確で分かりやすい、などなど……。
toCのシーンでもこれらが問題になることが多くあって、
Amazonの低評価の理由って大体が初期不良なんじゃないかって感覚があります。★1-2の評価除くと「不良品だ!」ばっかりなんですよね。
ドキュメントの分かりやすさ、は主観での改善に限界があるので、
実際の顧客や社内の別部署にヒアリングしつつブラッシュアップしていく等で常にアップデートしていく形が望ましいです。
こう書いておきつつ、Trimでも至らない点は多くあるので、
今期(11月から7期です)どんどん改善していこうと思います。宣言。
2. 導入後の安定運用
このフェーズも引き続き「当たり前」の内容になってくるのですが、
トラブルなく安定した運用をしましょう、という話です。
アクションとして実施できるとなお良しなのは、
「一定期間(ex. 導入3ヶ月後、など)経過時点で顧客との接点を持つ」です。
例えばSaaS系のシステムであれば利用頻度や活用度合いによる
ヘルススコアがあって、その点数で離反の可能性を探っている、という例が多いのですが、
特にIoT要素を持たない有形商材の場合はオンラインでの接点が基本的にないため、尚の事このような接点を持ち、評価のスコアや傾向を計測しておいた方が良いです。
このステップが抜けると、"導入したあとは接点がなくそのまま"という状態になりがちです。
………………が、有形商材の特異な点としては、
この2までのフェーズがクリアできていると、接点創出をしなくても顧客が成功状態にある、というケースも多々あります。
例えば家具なんかをイメージしてほしいのですが、
欲しかった椅子・デスクを買って、
期待通りの物が届き、特に壊れたりすることなく使えている、という状態であれば不満要素は恐らくないハズなのです。
顧客の期待値を正しく把握できていて、
当たり前のことを当たり前にやれていれば、この時点でCSのミッション完了、というお客様も多いと思われます。
※但し、今後のアップセル/クロスセルなどの可能性を上げるためにも接点創出は定期的に行ったほうがベターではあるのですが(解約率という意味では無くてもOKというケースはある)
3. 製品の機能活用
ここまでのフェーズで満足されていない顧客に対して実施していくのが、
この"製品活用"になります。
必然的に製品の機能・効果が明確にあり、
導入におけるメリットや他社と比較した際の"強み"がある製品が進むフェーズです。
上述の椅子・デスクの例で続けると、
例えば姿勢が良くなる座り心地で、目への負担が減少できる椅子、みたいなものがあったとします。
※本当にあったらほしいけど、あるのかなあ……
ここでアウトプットとして顧客に提示したいのは
目の疲労の減少がどの程度のものなのか、
場合によってはそれによる波及効果、まで情報が必要なこともあります。
定量データで出せれば◎、
定性データを定量化して出す、でも◯です。
実際に僕もmamaro導入前後で様々なデータを取得・分析し、
数値の可視化を試みました。
一例ですが、施設内の滞在時間は
mamaro導入によって約40分増加するという結果が出ました。
赤ちゃんは2時間に1度のペースで泣いてしまうので、
授乳室が無いとそもそも長く施設に滞在しよう、という計画になりません。
また、買い物途中で赤ちゃんが泣いてしまい、
中断して授乳のために外へ出る(=他の施設へ行ったり、車へ戻って授乳したり)という事もあります。
mamaro自体の利用は10-20分ですが、
その前後時間も含めて長く施設に滞在でき、結果として買い物に費やせる時間が長くなる、という事でmamaro導入の効果を可視化することができました。
※実際に滞在時間が長いほど購入率や購入金額が上がる、というデータもあります
EKISUMER Vol.37 「駅ビル回遊行動調査」- 株式会社ジェイアール東日本企画
CSの体制・リソースの問題や、
顧客の製品への期待値によって3のフェーズまで伴走するのかは検討が必要ですが、逆にここまでをやり切る(効果を可視化できている)と離脱の可能性は一気に下がります。
Trimでの結果・成果
もうタイトルに書いてしまっているので今さら、、、、なのですが、
結果として半期でChurn Rateを半減させることに成功しました。
TrimはIRを公開していないので詳細数値は伏せますが、
上場しているSaaS事業のそれと比較しても結構イイ線いく数値になりました。
mamaroの撤去=利用回数の大小に関わらず、その施設を利用するママが不便な思いをすることになるので、目指すべくは0%です。
(当初から有期の案件もあるので0%は理論上難しいが、それでも限りなくそうしたい)
まとめ
カスタマーサクセス、という職種の認知が広がってきて、
"経験者"も市場に増えてきたな、という感覚があります。
ただ蓋を空けてみるとカスタマーサクセスの業務領域も非常に広く、
サポート寄りの製品・組織もあれば、事業開発寄りもあります。
有形商材は僕の中では"事業開発"や"データ分析"、"特化型コンサル"に近いイメージを持っているのですが、
一方で何が正解という事も無いとも思っており、
最終的には顧客が満足するプロダクトが正しいコスト・リソースで提供できているか、に尽きると感じています。
CS職の皆さん、今後も顧客第一志向でがんばりましょう!
そして、TrimではCSを大募集しています。
顧客が喜ぶと、その先にいる子育てママがHappyになる。
その輪が広がって社会がより良くなる。
そんな世界を創りませんか、という事でぜひ気になったらDMでも何でも良いのでお声掛け下さい。
COOである僕直下なので"経営目線でのCS"を体感できると思います。
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