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伝統工芸のパンフレットってオシャレ

こんにちは!スタジオサイタマ合同会社の加藤です。
埼玉県の伝統工芸「和竿(竹釣竿)」の販売と発信について日々考えています。

旅行に行ったりすると、地域の伝統工芸のパンフレットを手にすることありますよね。デザインや制作に大きな予算をかけられないだろうに、やたらおしゃれだったり、かっこいいなぁって感じたりしたことませんか?

多分、その工芸をまっすぐ映すだけで、歴史や伝統を裏付けていたものが透けて見えるからなんだろうなぁ、とか思いながら今日は日頃一緒にお仕事させていただいている川口和竿組合のパンフレットができたので、紹介しようと思います。

和竿のふるさと -川口

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和竿のふるさと -川口

江戸時代からつづく伝統と機能美
匠たちの伝統の技と、釣りを愛する人々の心が素朴な竹を気品に満ちた和竿に変える。
長い歳月、脈々と受け継がれた和竿作りの精魂は釣り人の心に映り、いつまでも詩情を求め続ける。

手元、伝統工芸といったら手元。

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組合の活動
職人が時間をかけて丁寧に仕上げた和竿は、末長くお愛用いただけるようアフアーケアも万全です。

和竿の製造・販売
江戸前の和竿からその土地にあった和竿など各種製造・販売しております。

和竿のメンテナンス・修理
長年の経験と技術をもった職人が、メンテナンスや修理を行っています。

教室の開催
日本の伝統工芸品である和竿を少しでも多くの人々にしっていただけるよう、竹釣竿作り教室を開催しています。

このあたりの活動の窓口は弊社でも受け付けますので気軽にご連絡ください。

川口和竿が出来るまで

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川口和竿が出来るまで
竹の伐採から和竿が仕上がるまで、大きく分けて6段階の工程の中におよそ100の作業があります。

竹の伐採・乾燥
伐採した竹材を油抜き、日干しを行い、倉庫で3 年以上ねかせる。和竿は数種類の竹の組み合わ せで作られます。(布袋竹、淡竹、矢竹など)

切り組み
竿の長さ、継ぎ数などにより竹材を選ぶ。選んだ 竹材を寸法に切り、一本の継ぎ竿として組み合わせる。

火入れ(矯め)
切り組みを終えた竹を、火であぶり柔らかくして から、矯め木を使い竹をまっすぐにする。

糸巻き、継ぎ
つなぎの受け口部分に絹糸を巻き漆で固め、内 側を錐でくりぬく。つなぎの差込み部分をヤスリで 丸く削る。受け口部分と差込み部分をつなげる。

漆塗り
竿全体に漆を塗る。金箔、銀粉、貝などを使い装 飾をほどこすこともある。

仕上げ
竿に作者の銘を入れ、仕上げの火入れ(上げ矯 め)でで和竿は完成する。(海竿の場合はガイド など金具を取り付ける)

これは日頃から職人さんとお話ししていることですが、今後、こういった職人技術はなるべくオープンにできる仕組みづくりができればいいなぁと思っています。師弟制などではない、誰もが職人になれる世界。

川口和竿の歴史

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川口和竿の歴史
この地の和竿づくりの発端は、江戸時代・天明年間(1780年代)、 芝川流域を中心に良質の布袋竹が多く自生しており、これを用いて魚釣り用の「延べ竿」を製作したことに始まるといわれています。 その後、釣竿用の竹材として布袋竹の栽培を行い、全国に出荷されました。安政四年(1837年)の「議定書」には、15人の竿師が「延べ竿同業組合」を結成したことが記録されています。 その後、1860年代に2、3本に全ての竿が収納でき、持ち運びに 便利な「差込み式継ぎ竿」の技術が加えられ、1900年代に入ると 川口市で生産される釣竿は年間4万本となりました。 1940年代には組合数も400件ほどになり、日本における釣竿の9割が川口産でありました。また、同時に欧米、アジアなど海外に も毎年数万本単位で輸出されていました。 一方、和竿づくりに必要な道具の大半は川口市の職人により 製作・改良され、数多くの名品を生み出し、全国有数な産地を形成しました。

・1978年に埼玉県伝統工芸品に指定される。
・1992年に江戸和竿が国の伝統工芸品に指定される

200年あまりの歴史があるわけですね。一つの地域で4万本、川口で全体生産量の9割。それが現在は組合はほとんどなくなり、職人さんも片手で数えるほどになってしまいました。伝統を守れるかどうかは、ここ数十年が勝負。

川口和竿の紹介

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①川釣りの部
川釣り
  タナゴ竿、マブナ竿、コイ竿タナゴ竿、マブナ竿、コイ竿
清流釣り アユ竿(どぶ竿、とも竿)、ハヤ・ヤマベ竿
渓流釣り ヤマメ竿、イワナ・マス竿
テンカラ竿
フライ竿
ルアー竿

②海釣りの部
船・ボート釣り

ハゼ竿、シロギス竿、カワハギ竿、ヒラメ竿、カレイ竿、マゴチ竿、マダイ竿、アナゴ竿、 メバル竿、フッコ・スズキ竿ハゼ竿、シロギス竿、カワハギ竿、ヒラメ竿ハゼ竿、シロギス竿、カワハギ竿、ヒラメ竿、 カレイ竿、マゴチ竿、マダイ竿、アナゴ竿、 メバル竿、フッコ・スズキ竿

防波堤釣り クロダイ竿(へち竿) 
磯釣り   メジナ竿、イシダイ竿、ブダイ竿

③ヘラブナ釣りの部
ヘラブナ竿
竿掛け、玉の柄、浮き入れ

④湖沼釣りの部
ワカサギ竿、ヒメマス竿

ここまで詳細化されてそれぞれに最適化しているのがスゴイですよね。笑
和竿は和竿でも紀州はヘラが大半だったり、職人も全てのジャンルに対応できるという方はなかなかいないそうです。川口和竿組合の主体であり、僕たちの釣り事業WAZAO-IPPONを監修してくれている山野さんは数少ない(もしかすると唯一の?)オールラウンダーです。

川口和竿の魅力

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川口和竿の魅力
天然素材のあたたかみ、使い勝手のよさ、見た目の美しさは長い伝統に培われた川口和竿の特徴であります。

①唯一無二
釣り人が「対象魚や釣り場」「竿の長さや調子」「装飾」など、 自分好みに誂えることができます。和竿師のもとを訪れ、 作りたい竿の細部まで好みを伝え注文できます。

②釣り味
竹は繊維が縦方向に走っているため、鈎に魚がかかったとき の微細な振動まで手に伝わります。また魚の動きを吸収する ため、暴れていた魚がおとなしくする特性があります。 見た目の美しさを兼ね備えた和竿は使い込むほどに手に なじみます。

③天然素材
竹と絹糸と漆の天然素材で作られる和竿は環境にやさしいと いえます。竹は木材の10倍以上の速度で成長し、わずか三年 程度で和竿の素材として使えます。装飾に使う漆は防水効果 があり、また火にも強く、メンテナンスで行う火入れにも耐えう る性質をもっています。和竿は丁重に使用すれば長く使え、破 損しても修理が可能であります。

古代の知識と技の結集である「和竿」は、未来の釣竿でもあるのです。

ぼくたちの平成世代からすると、竹って新しい素材なんですよね。さらに下の世代からすると、本当に新鮮だと思う。ちなみに、魅力ページの写真は、「渓流和竿ベイト」といって(釣りをやらない人からしたらなんだそれって感じとおもいますが笑)、埼玉産の釣りスタイルをテーマに僕たちが撮ってきた写真です。使ってもらえて嬉しい!

以上です!

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