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大企業で順風満帆なはずの40歳が、なぜいまHR領域のスタートアップにジョインしたのか

1982年12月31日生まれ。
幼少期から本名の西村を音読みしてsai-sonと呼ばれ続けてきました。
最近はモルックをするときと自分がデザインしたワークショップをファシリテートをするときが最もワクワクします。

モルックもワークショップも狙いを外すとこんな感じになるけど、すべてがワクワクにつながる

なぜこれを書こうと思ったのか

  • 今年で40歳になります。そんな年に、HERPというスタートアップ企業にジョインしました。前職では好きなこともできて仕事も順風満帆だと感じられていた年に、なぜ転職しようと思ったのか。

  • 私は、思いついたら飛び込んで、どうするかはその後決めるという傍目には無計画とも受け取られる行動をとりがちです。でも、本当は単なる思いつきばかりではなく、今HERPにジョインしたこともそれまでの経験が結晶化された結果なのだということをお伝えしたく、この場をお借りして長い長い言い訳を書かせていただこうと思います。

  • ところでみなさん、「コネクティング・ザ・ドッツ」という言葉をご存知でしょうか。これは、スティーブ・ジョブズがアメリカのスタンフォード大学の卒業式におけるスピーチで語った言葉です。すごく端折って書くと、彼が学生のころに「カリグラフィー」という英文字を美しく書く授業に興味を持って潜り込んでいた経験が、後にMac開発において文字の美しさのユーザー体験としての重要性に気づいた時に思いだされ(点がつながり)、世の中に「フォント」という概念が生まれた、というエピソードです。

  • その時は単なる興味でしかなく何の役に立つかわからないが、後にその点が他の点とつながり新しいものを生み出す可能性がある。これが私の考え方の軸、言い換えると自分の行動の言い訳(笑)にもなっています。

  • 最初から偉大な人物のエピソードを引用するという、おこがましい言い訳から始めましたが、私のこれまでにどんな「点」があり、どのように今に繋がっているのかをお話ししたいと思います。


これまでの「点」

最初は弁護士になろうと思って法学部に入ったんだけど、野球にはまってしまった

  • 高校のときVシネマにはまっていた私は、弁護士になりたい、それも歌舞伎町の裏側で「せんせい」って呼ばれるようなアウトローになりたいと思いました。それが、私が初めて自分の仕事について考え、行動したことでした。

  • 「裏」の稼業が好きだったので、大学在学中は神宮球場の裏方であるグラウンドキーパーとして朝から晩まで野球場にいました。ほぼ同時期に、未経験にも関わらず野球をやりたい!と思って草野球チームを作りました。このチームはメンバーのおかげで今でも続いています。

  • 当時は司法試験の予備校と神宮球場と草野球、この3か所をぐるぐる回ってたような感じです。

結果、建設会社に拾われて仕事してたら人が好きになってこの国を良くしたいと思った

  • その後司法試験は突破できず、就職活動に切り替えて法務として色々なトラブル・難題に取り組めるかもと思い、建設会社に就職しました。

  • 建設会社では狙いどおり現場で起きる大小いろんな問題の解決や債権の回収などに追われました。また、手を挙げる人がいないときに自分が手を挙げてしまう性格もあって労働組合の執行部にまでなってしまい、現場の人たちと「せんせい」と呼ばれながらワイワイ飲む日が続きました。

  • 建設会社在職中に東日本大震災が起きました。普段のんびりしていた社員の初動と対応の速さや責任感の強さに驚くとともに誇りに感じながら、私も法務としてできるサポートをしたり、現地に赴いてボランティア活動をしました。

  • その後、人事へ異動して新卒採用担当になり、自社の知名度の低さに苦労しました。電気電子や建築・土木系エンジニア中心の採用で効率的な方法はなく、日本中の大学を訪ね回って多くの研究者や学生と対話を重ねました。自分ともう1人の担当だけでは伝えきれないと思い、社員を巻き込む施策を積極的に採用活動に取り込んだりしていました。

  • 採用活動を通じて会社にいる人たちの思いを聞き、自分で言語化したり、大学で研究する人たちの話をするたび、人で国や会社は成り立っているという思いが実感とともに強くなっていきました。

  • そして、人のためにもっとこの国を強くしたいと思い、同じ思いを持った人が多くいそうなシンクタンクへ転職することを決めました。

  • シンクタンクには法務として入ったのですが、相談を受けているばかりではなく自分でも何かしたい!という思いが高まり、会社に新規事業を開発する部署ができたときにはその部署に居座っていました。

人のためにこの国を強くするためにはやはり人の力が必要だし、それを助けたいと思った

  • シンクタンクには、各分野のエキスパートが多く在籍していました。私がいた法務には社内の多様な分野の相談ごとや情報が集まります。この人たちの力を合わせればもっとすごいことができるんじゃないかといつもワクワクしていましたが、事業開発に携わるようになって、組織の枠を超えてブレイクスルーを生むことの難しさを実感しました。それからは、どうすれば各分野のエキスパートが自分や組織の枠を超えて他者と協働できるか、というのが大きなテーマとなりました。

  • 何をするにもまずは人がいて、他の人と繋がったり刺激しあうことが課題解決に必要不可欠です。同じ組織の仲間でも話せば話すほど違うことがわかってくる。自分とは違う経験・視点を持っている人と繋がることで自分の思い込みも明らかになり、より深い協働が生まれる。今までの法務や労働組合・人事の経験を通じて実感してきましたし、以前私がいた建設会社のような日本の伝統的な大企業という同質な人の集まりのように見える場所も例外ではありません。

  • 組織や自分のカラーにとらわれずに人単位で自分や組織を客観的に見直す、そんな体験を生み出したい、助けたいと思い、必要なのはワークショップデザインとファシリテーションだ!と思い、それを学びに大学に通ったりしました。

  • その後、社内外で組織開発や課題解決に関わる様々な目的のワークショップを行い、前職での最後は法務でも新規事業でもなく、ワークショップの人というイメージの方が優っていたかもしれません。

今もお手伝いしている授業。唯一写っているおじさんが私です


40歳直前、点が繋がり始める

国を強くするために最もインパクトがあるのは組織の管理部門と現場の距離を縮めることであり、そのためには「採用」という共通の課題に対する協働が必要だと感じた

  • シンクタンクでの事業開発はヘルスケア領域に携わっていたのですが、顧客候補である企業人事の方にお話を伺っている中で、そもそも企業にヘルスケアの商材を売る前に人事と現場の距離感の遠さをどうにかしないと何も良くならない、と思うようになりました。

  • 組織が大きくなるほど、人事に限らず管理部門は現場に気を使い、現場は管理部門を敬遠する(何もわかっちゃいないと思っている)状態に陥ってしまう。そうなると、どちらかが熱い思いで良かれと思って打ち込んだ施策も響かず良い効果が続かない、なんてことは普通に起きています。翻って自分のいた会社も例外ではなく、また、企業に限らず行政や学校など、みなさんの身近でも同様のことが起きているのではないでしょうか。

  • 組織が大きくなれば小さな組織を内包することになりますが、それぞれの小組織が自分がいる組織を優先し情報を囲い込むようになる。そこから大なり小なり疑心暗鬼や対立が生まれ距離感が遠くなっていく。距離感が遠のくと、一緒にお酒を酌み交わしたりして仲良くなるだけでは本質的にはなかなか近づけません。

  • 近づくためには、組織の枠を超えて共通の課題・乗り越えられると信じられる課題に一緒に取り組むことが最も効果的です。(同様の話は、米国のサマースクールを舞台にした、「ロバーズ・ケーブ実験」という実験が有名です。ぜひ検索してみてください。)

  • 自分自身の法務や労働組合、採用担当、事業開発等でも、当時は何も考えず最良の結果を求めて取り組んできましたが、組織の枠を超えた対話と協働の連続だったなと実感しました。協働が働く組織の集まりがこの国をさらに強くする、そう考えるようになりました。

  • そして、組織の垣根を超えて簡単に協働に持ち込める課題とは何かを考えた時に、自分の中にもある「採用」が浮かびました。採用を考えるとき、良い人材を採用するという外からの力だけでなく、自組織について真剣に考えることで内からも組織を強くする力が働くという好循環が生まれます。

  • こうして、採用分野で自分が何ができるかを考えるようになりました。


なぜHERPを選んだのか

ミッションに惚れた

  • HERPのミッションは「採用を変え、日本を強く」です。

  • また、HERPはそのための手段として「スクラム採用」というものを掲げています。組織の根幹である人材の採用を全社の課題として捉え、採用活動を全社的なプロジェクトとして、現場が自分たちに必要な仲間を迎え入れられるような活動ができるよう、人事部の採用担当はその中でプロジェクトマネージャー的な役回りを担う、というものです。

  • HERPとスクラム採用を知ったとき、まさに自分が考える協働の姿が重なり、「こんな会社があったのか!」と興奮したのを憶えています。ここなら多くの組織を強くするための仕掛けを作ることができる、と感じました。

プロダクトに惚れた

  • 何よりプロダクトを見たとき、自分が新卒採用を担当していたときにこれがあればよかったのに!と心から思えたし、ファンになりました。

HERPという会社の文化に惚れた

  • 自分自身が採用を受けた体験として、採用に重きを置いていると感じることができましたし、とてもオープンでクレバーなメンバーが揃い、率直な意見から自由闊達な議論が生まれ、協働の重要性を共有できていると感じています。

HERP Culture Deckを見てHERPに魅力を感じてくれた方は、仲間です


HERPで何がしたいのか

「スクラム採用」を広めたい

  • 「スクラム採用」という言葉って、あまり知られていないのではないか。「スクラム採用」という言葉と手法の認知度を高めていきたいと考えています。

あらゆる管理部門と現場の距離を「ゼロ」にしたい

  • 自分の組織の採用について、真剣に考えたり他者と対話をすると、組織や自分について客観的に捉えることができる。管理部門と現場の対話も進んで効果的な施策に繋がり、自分たちで良いと思った仲間を迎え入れられれば職場は活性化される。究極的には管理部門と現場の距離をゼロにできるくらい採用が変わった姿を描きたいと思っています。

既存のツールに拘らず新しいサービスを考えたい

  • スクラム採用を広げるためにもHERPシリーズをより多くの方に使ってもらいたいですが、今あるサービスにこだわらず、スクラム採用をどんな組織でも実現できる手段を考えていきたい。特に、先に述べたような「距離感」という課題を抱えている大きな組織にもスクラム採用を実現していく手助けをしたいと思っています。


最後に

  • ここまでが、私がHERPに入るまでのエピソードです。

  • なぜ私が今ここにいるのか、言い訳を一番に聞かせたいのは今回の転職を受け止めてくれた妻です。そんな妻に感謝しながらこの場を締めくくりたいと思います。

眠気に耐えながら最後まで読んでいただき、ありがとうございます!(わが家の犬)

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