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家庭での子どもとゲームとルールと(2)

◆こんにちは!小学校教員のねこぜです。家庭におけるゲームとの向き合い方について第2弾を書いていきます。よろしくお願いいたします。参考図書は前回記事にも挙げました吉川徹著『ゲーム・ネットの世界から離れられない子ども』です。ゲームに魅了される仕組みや、なぜ課金が行われるのかなど、子ども以前に大人がゲームやネットの世界について知り、どう向き合えばよいのかが丁寧に記されています。興味のある方は是非そちらをご覧ください。前回同様、教師目線で家庭での子どもとゲームとルールの在り方を少しばかりですが述べていきたいと思います。


1.悪影響を心得る

 前回示したように、禁止は逆効果である。香川県の条例が一時期話題になったが、その後の経過を見ると制限や禁止による正の相関関係が見られないどころか、マイナスではないかとの見方もあるようだ。しかし、だからといって好き勝手の野放し状態でいいはずがない。まずは、ゲームやネットに傾倒することでどんな影響が見られるのか確認しておこう。
 一つは身体に現れる影響。大きく3つあると著書では指摘されている。下記に挙げるが、詳しくは各自で調べてもらいたい。
 ①座位時間による肥満や心血管系への悪影響
 ②目への影響
 ③睡眠への影響
 次に行動に現れる影響である。主に、①暴力性 ②いじめ である。暴力性はそのまま、暴力性の高いゲームは日常生活においても攻撃性が高まりやすいという。大人がプレイ中の様子を一緒に見ておくなどの注意が必要である。そして、ネットにおけるいじめ。これはゲームに限らずSNSなど大人も十分想起しやすいのではないだろうか。

・挑発行為
・迷惑行為
・ネットストーカー
・中傷行為
・なりすまし
・拡散
・騙しと拡散
・仲間外れ
『ゲーム・ネットの世界から離れられない子ども』

 極端な話、学校や職場でのいじめはその空間を離れることで避難することができるかもしれない。一方、ネットでのトラブルは学校や習い事を離れても、家庭まで追いかけてくることが特徴的だ。そうなると安心できる場所や時間を失われてしまう。

2.ルールづくりに向けて

 悪影響があることは言わずもがな、保護者にとって最たる懸念は依存症とも言うべき長時間ハマることではないだろうか。そこで、どうにかこうにかルールを作ろうとするのだが、上手く立ち行かない。
 前回の記事で「①宿題などやるべきことを先にやるかどうかは子どもの選択にある程度委ねてみる ②ゲームを取り上げる、禁止は逆効果 ③ゲーム機の所有権は保護者にある」というような話をした。次に僕が保護者によく言うのは、「必ずお子さんと話し合って、一緒にルールを作ってください」ということ。これは学校でのクラスの約束事も同じで、子どもたちが自分たちで決めたことの方が守られやすい。保護者としての思いと子どもの欲求との折り合いをつけながら上手に決めてほしい。その時に役立つのが上述した「悪影響を心得る」ことである。子どももやりすぎたらどうなるか分かっている。それでものめり込んでしまうのがゲームでありネットの世界なのだ。だからこそ、どんな危険が潜んでいるのか十分に情報を共有しながら子どもの納得感のあるルール決めをしていきましょう。

 次に大事なことは保護者が余裕をもつことだ。これは時間的な余裕も精神的な余裕も含む。しかし、残念ながら余裕のない家庭ほど子どもにゲームやスマホを持たせてしまう現実がある。これも上述したように、子どものプレイ中の様子を見ておくこと、できれば最初は一緒にプレイすることに尽きる。そして、「子どもは約束を守れない」存在だと思っておくこと。どれだけ入念にルールを決めたとしても守れないもの。そこで親が怒り狂って没収すると負の連鎖。だから余裕をもつことなのである。

 最後に、上手なおしまいのしかたを身に付けさせることだ。具体例を出すと、我が家では1日30分にしている。20分で終えたら翌日40分できる、というように繰越制度を導入している。しかし、今日40分やるから明日は20分はダメ。前借はナシにしている。習い事で忙しかった場合は、その日0分で翌日1時間。その際に、目に悪いから1日のうちでも30分を2回にしようなど悪影響を踏まえながら提案しながら決めている。
 それでも上手くいきそうにない場合は、30分ピッタリでやめられたら翌日+10分クーポンを発行するというのも手である。上手におしまいできるようになったら毎日40分、大変お得である。上手におしまいにできたという成功体験を重ねていくことで上手に向き合えるようになるのではと考えている。


◆最後までお読みいただきありがとうございます。ゲームやネットの家庭での悩みは尽きないと思います。そしてそれらが学校にもすごい勢いで波及してきていることも事実です。正しいリテラシーを大人も子どもも身に付けていきましょう。

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