はぐれ蟹座

maverick cancer

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最近の記事

「コスメ」

 とある会議で「コスメ」という単語が出てきたとき、私はそれを空想のお話でしか存在し得ない妖精のように感じた。そう思ったのは自分が化粧品のことを「コスメ」とあまり言わないからで、言った人物が化粧と何の関わりもない人生を送ってきたはずだからだった。使い慣れない言葉を使ってる、と思った。  あんまり「コスメ」って言わなくないですか。自分だけがそうで、みんなコスメって思ったり、言ったりしてるの? 少なくとも私は今まで人生で化粧品のことを「コスメ」と呼んだことはないと思う。それよりかは

    • 「バレンシアの火祭り」

      ここのところ妹との予定が合わず帰省もばらばらにしていたのだけど、やっとそれを合わせることができて、この前の土曜は実家に家族が揃った。 実家にはご飯を食べる場所が二箇所ある。朝食は日当たりがいい部屋。夕飯はテレビがある部屋。いつの間にかそういうことなった。ご飯を食べ終わると、なんとなくテレビをつけて見る。でも大抵みんなで見れるおもしろい番組はやってないので、録画されている番組から選ぶことになる。 その日は「世界ふれあい街歩き〜バレンシア編〜」がとってあったので、それを見るこ

      • 「健康診断」

        健康診断はウォークラリー大会のようでたのしい。受付に行って、次はどこそこに行ってくださいと言われて行くのがたのしい。次は5階へと言われて5階に行く。待合室には3色のソファがあって、その中の青いソファに座ってお待ちくださいと言われて青いソファに座る。一つひとつやっていく。簡単な指示に従うたのしさ。 検査の中で前回は冷たかったのに今回はあたたかいと思うものがあったから、これはも元々あたたかいものだったか聞くと元々あたたかいとのことだった。あのひんやりした記憶は宙吊りになった。そ

        • 「十二星座に鳥がいない」

          口ぶりが全ての挙動が手品師だ今に奴は鳩を出すね 鳥にもさ十二星座があるだろうかに座の鶏鵡やぎ座の鴉 そうやって型にはめるの良く無いよ言われてめくる鳥類図鑑 そんなにもめずらしいかと言いながら知らない鳥が通りすぎてく その顔は何もわかっちゃいない顔ものが言えない鳥籠みたい 浮いているどこにも行かない動かない宙吊りのカモメ真下から見上げ 想像のカモメの触り心地なら想像できる白い弾力 ふっくらと鳥が膨らむパンみたく飛べなくなって一緒に眠る 噛が邪魔で飲めない見てごら

          「口調の話」

          今の会社では、ですます調だけで話が済む。上司も基本的には敬語で話してくる。事務的な会話。敬語で話されるとうっすらと無関心と距離を感じることがないですか。温度がない。味がない。あ髙橋さん、ちょっといいですか? それは考えすぎかもしれない。そういうのが社会ではふつう。思い返せば、もっと砕けたシチュエーションもあった。敬語でも魂の会話できてた。敬語と一括りにして話をわかりやすくしている。言い切りたくなっている。よくない。 だけどもうちょっとだけ言い切りたい。その方が言いたいこと

          「口調の話」

          「上野動物園のコンドル」

           上野動物園に行った。自分は動物好きと名乗るほどのものではないけど、街ですれ違う犬は目でしっかり追いかける方だと思う。気になる犬は、通り過ぎても振り向いてまで見る。飼ったことはないけど、服を着ている犬のその背中が好き。生前の、祖母のまるまった小さな背中を思い出す。ちゃんと動物園に行ったのは、高校の修学旅行ぶり。  今回動物園で気づいたこととしては、自分の中で、何も考えてなさそだなという動物と何か考えてるにちがいないという動物の二つに分類されているということ。  特にフラミ

          「上野動物園のコンドル」

          「餃子とさくら緑茶の話」

          餃子の話  今日は旧正月ということもあって、妹と朝からはりきって餃子を食べちゃおうという話になっていた。餃子は冷凍餃子。この前スーパーに行ったら、発注ミスか何かか知らないけど、冷凍食品コーナーに見たことがないくらい冷凍餃子が並んでいた。しかも、店内放送で餃子について熱く店員さんが語っている。こういうのに弱いから、餃子は買うことになった。  このとき、餃子以外の話題に変わるときにつなぎの言葉が「え〜餃子も大切ですが〜」だったので、もう私は家に帰るまで心がいっぱいになった。今は

          「餃子とさくら緑茶の話」

          「雑感」

          社会人になった2021年から毎日欠かさず日記をつけていた私だったが、今年2024年は日記に残さない日がぽつぽつ出てきた。週に一日二日は空欄になっている。投げやりな態度。書いたとしても、夢で印象に残ったもの(単語)だけしか書いてない日もある。私としては悲しい。これは書かなければ……!!というパッションが無いことが悲しい。この日のことは絶対に忘れないぞ、という情熱。今は別に忘れたって構わないと思っている自分がいる。 去年はそれはもう執念深くって、その日に起きたことや会った人が言

          「嘔吐」

          今週は嘔吐からはじまった。原因はおそらく食あたりで、潜伏期間一日を経た月曜日に吐いた。最初の嘔吐は仕事中の会社であり、早退して病院〜家に着くまで計五回の嘔吐がまたあった。もうお腹に何もないからこれ以上出ないよというところで嘔吐はおわった。 嘔吐はおそらく小学一年生ぶりだったので、吐き気という予感と嘔吐自体の感覚に自分がすごくびっくりした。福引のガラガラのような感じ。沸騰して湯が沸くような感じ。グラグラして抑えられず、急に出る。 症状は軽く、次の日にはなんとなくだるいという

          「冬には役に立たない身体」

          今朝みた夢は、インフルエンザなど熱が出た時にみる夢のそれで、思っていたより自分の身体は疲労とショックを受けていたことを知る。その原因は、気温差や気圧、年齢的なものやホルモン、PMSその他諸々あるだろうが、思い当たるのはひとつだった。どうしようもない。とりあえず気を紛らわすために、命の母ホワイトを久々に薬局で購入した。 それにしても今日も夕方からさむくて、本当に嫌だった。日中は楽しくやっていたはずなのに、会っていた人と別れて暗くなってから魂が抜けたような私だった。夏には元気だ

          「冬には役に立たない身体」

          「はぐれ射手座」

          この前の土曜は久々に映画館で映画をみた。maverick sagittarius (字幕では「はぐれ射手座」)と言う単語が引っかかった。その映画を最初にみた当時は気にも留めなかった。家に帰って、あれはなんだろうと思って調べると造語のようで、その単語では出てこなかった。maverickは一匹狼、異端者などの意味らしい。 ちなみにストーリーでは、忘れられない恋相手と「はぐれた」文脈で使われている。占星術的にも射手座をはぐれ者としても解釈できるので、特定の人物との行運的な「はぐれ

          「はぐれ射手座」