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著作権は権利界の“箱入り娘“⁈

ここのところ「ライツビジネス」にまつわることを書いておりますが、ありがたいことに、興味を持って頂いた方から色々と知識や体験談などを教えていただく機会が増えてきました。
本当に勉強になりますので、今後そうして得た知見をここで共有していきたいと思います!

ところで“著作権“ってなんだ⁈

「ライツビジネス」の話をしていると、一番出てくる単語は「著作権」ではないかと思いますが、これの定義を詳しく教えて、と言われたら意外とモゴモゴしちゃう人は多いかと思います。
「著作権」はシンプルに言うと、「著作物」を保護するためにあります。
ここまでは多くの人が分かっていることだと思いますが、では、その保護の対象となる「著作物」の定義は何でしょう?
正直私もこれについてはうまく言語化出来ていなかったな、と思います。

著作権法2条1項1号によると、「著作物とは、思想または感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術または音楽の範囲に属するもの」だそうです。
整理しますと、
①    思想又は感情を含むこと
②    創作したものであること
③    表現したものであること
④    文芸、学術、美術又は音楽の範疇に属するもの

という4つのポイントを満たすものが「著作物」ということになります。
ここにおいて個人的に面白いな、と思ったのは①。
これ、言い換えると「魂」かな、と。
さらに言い換えると作者の「人間性」が根底にある、そこから湧き上がって来たもの、が著作物であると言うことです。
そうしますと、ヒット作品をデータ分析し、それをディープラーニングさせたAIが作った作品というのは「著作物」では無い、ということになります。
ただ、これからAIが人間と同じように感情を持ったりした場合は、これはどうなるのか?
また一方、人間自身が作っているのだけど、その創作においてその人の思想や感情などが無く、ただマーケット分析のみに基づいて作られた作品(生身の人間の創作活動において純粋にこの行為が行えるのか?はさておいて)は、「著作物」ではないのか?
これも議論のポイントとしては面白いですね。

知的財産界で“別格“扱い

ちなみに、我々が通常「著作権」と呼んでいるものは、著作権法上の権利としては「著作財産権」と呼ばれ、「知的財産」の種類の1つとなります。
知的財産は大きく分けると、
・知的創造物についての権利等
・営業上の標識についての権利等

の2つになるそうで、著作権は前者に含まれます。
後者でメジャーなものは「商法権」ですね。
そして、どこが別格かと言うと、「保護される期間」です。
著作権同様に前者に規定される権利としては「特許権」「実用新案権」「意匠権」などがありますが、一番長いもので保護される期間は25年。
それに対して、著作権は作者の死後70年!
(法人や映画などは公開後70年)
破格の⁈扱いです。

これは、ある意味、それだけ人類が文芸、学術、美術、音楽などが自分たちが生きる上でかけがえのないモノなのだと感じている、という現れ。
その理由は、前述の著作物の4つの要件の①にもあるように、そこに思想と感情という“人間を人間たらしめるもの“が含まれているから、ということではないでしょうか。

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