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リレーストーリー「どすこいスパイ大作戦#1」

リレーストーリー第2弾。
前回もご一緒したロンブー番組時代からのお付き合い、元新宿西口プロレスのレスラー“ゴージャス染谷“さんに加え、今回は新たに情報番組系の構成作家“槙田英司“さんが参加。
バラエティ系×情報系のコラボ?でリレーストーリーにチャレンジです!
今回の分担は1-2話がゴージャスさん、3-4話が槙田さん、5-6話が私。
その後、再びゴージャスさんに戻ってもう一周というブーメラン形式。
物語の主人公は、モンゴル出身の力士:蒙古龍。
実は彼、力士の他にもう一つの顔が・・・それは「スパイ」!
怪しまれずに日本に馴染み、そして滞在する策として力士になった
「ドスコイスパイ」がある重大事件の解決に大活躍
・・・するかも⁈

あらすじ

第1話「パラドックス」

朝6時、今日も日の出とともに1日が始まった…。 

「福錦!腰が高い!もっと重心を低く!」

「土佐嵐!休んでないで四股を踏め!」

 朝から激しい熱気。

そう、ここは“大相撲の聖地”両国に部屋を構える「花(はな)砂(さご)部屋」。
“土俵の鬼”と呼ばれた元横綱、富士乃湖が親方を務める相撲界の名門。

 「よい!いい相撲だ!その調子で押し込んでいけ!」

 怒号から一転、厳しい指導で有名な親方が笑みを見せる。
その力士は幕下のホープで、“富士乃海2世”の異名を持つ蒙古龍。
しこ名の通り、モンゴル人力士である。
 親方は時代の流れに沿って、創設以来初となる外国人の弟子も受け入れた。それが蒙古龍なのだ。

蒙古龍は期待に応えて稽古に励み、順調に番付を上げて幕下上位へ。
もう一息で十両へ昇進し、念願の関取に!
そして、横綱を目指す!
と、行きたいところだが…
この蒙古龍、親方を始め、女将さん、部屋の仲間はもちろん、誰も知らない、知られちゃいけない秘密があった…。

実は、蒙古龍の正体とは、モンゴルの機密組織「MGB」から派遣されたスパイ!
その名も「ドスコイスパイ」
そう!
相撲部屋に入門したのは日本で生活するための名目で、真の目的は調べた情報をモンゴルに伝えること!

 しかし、なぜ、ドスコイスパイなのか?

MGBは以前、別のスパイを日本に送ったが、任務中に正体がバレる失態を犯す黒歴史があった…。
日本で怪しまれずにスパイ活動するにはどうしたらいいか?

同じ過ちを繰り返してはならないと、MGBが知恵を振り絞った結果、編み出したのが、
「目立たないルックス」「シャープな体型」「機敏なアクション」
という今までのスパイのイメージを180℃覆した、
「目立ち過ぎるルックス」「ぽっちゃり体型」「すり足アクション」
がトレードマークの力士に扮した“ドスコイスパイ”!
MGBはイチかバチかの賭けで、国の威信を蒙古龍に託したのだ!

さて、そんな事情は露知らず、朝稽古も終わり、みんなでちゃんこをつつく。

「カーンちゃん、今日もよく食うねー!」
「いやいや!マル関(ぜき)には叶わないっすよ!」

カーンちゃんとは、部屋仲間が付けた蒙古龍のニックネーム。
モンゴル帝国皇帝の称号「カーン」が由来。
そして、このマル関というのが、幕内の越後丸。
モンゴルから来た蒙古龍の世話をしてくれた優しい兄弟子で一番の仲良し。
カラオケが大好きで、一緒に行くたび“デブルマン”と称して、「今日もどこかでデビルマン」を歌うのがお約束だった。

 ♪誰も知らない知られちゃいけな~い デビルマンが誰なのか~

来日前、日本語の勉強を受けていた蒙古龍は鳥肌が立った。 
「待てよ!これは、スパイの俺にピッタリの曲じゃないか?

♪誰も知らない知られちゃいけな~い 蒙古龍が誰なのか~

 その時、心に誓った。
どんなに辛い事があっても、この曲を口ずさんで耐え抜こうと。
越後丸とちゃんこを食べながら、忘れられない思い出が蘇る…
その瞬間、LINEが届いた。

(つづく) 

 

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