リレーストーリー「どすこいスパイ大作戦#8」
第8話「警告」
「はじめまして!料理のお手伝いをしている、ラムジンです!」
ラムジンと名乗ったインド人料理長に、蒙古龍は単刀直入に聞いた。
「ラムジンさん、体は大きくないですが、相撲経験者なんですか?」
「もちろん!こう見えてもインドの横綱だったよ!」
「インドの横綱??」
「そう!指相撲の!ククククク…」
2人のやりとりを見ていた、越後丸が口を挟む。
「ラムジンさん、面白いだろ?もともと、高級ホテルの料理人だったんだけど、相撲が好き過ぎて来日してさ。で、日本料理を勉強して、縁あってここでちゃんこを作る事になったんだよ。」
「そうだったんですか!!私は蒙古龍といいます。ちゃんこ美味しかったです!」
「アリガトゴザイマース!」
やはりスパイの同志ではないようだ。
ならば、同志はどこにいるのか??
そして、交流会は終了。
結局、その情報を確かめることができず、帰路につこうとすると…
「蒙古龍さん、お土産お土産―!!」
ラムジンが、小さな袋を持ってやってきた。
「蒙古龍さん!ちゃんこに使ったインドのスパイス!部屋でも使ってね!」
と半ば強引に手渡した。
「ラムジンさん、アリガトゴザイマース!」
彼の口癖でお礼を伝えると、そのまま部屋に帰っていった。
「交流会で同士と出会う、あの情報はやはりウソだったのか…。」
心に疑問を抱えたままの蒙古龍。
「そういえば・・・」
お土産でもらったスパイスを手に取る。
すると、袋にシールが貼ってあり、ラムジンがヒンディー語でメッセージらしきものを書いている。
「これは何だ??」
早速、「オコマリイヤホン」を使って解読。
実は、オコマリイヤホンには超小型カメラが搭載され、そこから読み取ったあらゆる言語を解読し、翻訳も出来るのだ。
すると…
「ポッポから話は聞いた。ワタシもドスコイスパイだ!実はアナタの近くに我々の動向を探るスパイがいるらしい!16日、任務を決行するが奴らの動きに充分注意しろ!」
やはり、ラムジンは同志だったのだ!
「オレの近くにスパイが??一体、誰なんだ!?」
更に、メッセージの解読を進める。
「それと、このスパイスは、舐めると五感の能力が動物並みに研ぎ澄まされる『ビンカンスパイス』だ!いざという時に使え!最後に、指相撲でインドの横綱はホントの話だ!~スパイスを扱うスパイより~」
便利なアイテムだが、最後の一文が余計だ。
うさん臭く感じてしまう。
しかし、身近にスパイがいることは事実!
同士からの忠告を肝に銘じた。
「カーンちゃん、難しい顔してどうしたの?カラオケ行こうよ!」
突然、越後丸がやってきた。
「あ、マル関!?何でもないです!学生に胸を貸し過ぎて少し痛みが…」「じゃ、やめとく?」
「全然大丈夫です!今夜もデビルマン歌いますか!」
この先輩がいるだけで、心が安らぐ。
任務遂行のプレッシャーに押し潰されそうな心身をリフレッシュさせてくれるのだ。
その夜は、心ゆくまでカラオケを楽しみ就寝。
明日は15日。
そう!任務の前日。
気を引き締めていた蒙古龍だが、とんでもない事件が待ち受けていた…。
(つづく)
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?