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吸血鬼尾神高志の場合

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2021年10月の記事一覧

物語のタネ その九『吸血鬼尾神高志の場合#30』

物語のタネ その九『吸血鬼尾神高志の場合#30』

ヴァンパイアの正統派3点セット「マントにシルクハットにステッキ」に身を包んだ100名を超えるヴァンパイアが揃った姿はなかなかのものだ。
いよいよこの後、ハロウィンの街に繰り出してゾンビたちとの戦いが始まる。

その前に僕にはやらねばならないことがある。
緊張と興奮が混じり合った空気が充満するホールを出る。
向かうのはブラキュラ商事の研究室。
そこにいるのは、村田さん。
僕の脳裏に先ほどホールの片隅

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物語のタネ その九『吸血鬼尾神高志の場合#29』

物語のタネ その九『吸血鬼尾神高志の場合#29』

世界中から集まったブラキュラ商事所属のヴァンパイア達がドラキュラ会長の血を吸い終わり、会社のホールのそれぞれの席に着いた。

彼らを壇上から見渡すドラキュラ会長。
推定年齢2000歳超、その人生で初めてヴァンパイアに血を吸われる、しかも100人を超えるヴァンパイアに次々と、という初めての経験に疲労困憊していた姿はもうそこには無い。
何という回復力。
まあ、疲労困憊した原因は、血を吸われたからではな

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物語のタネ その九『吸血鬼尾神高志の場合#28』

物語のタネ その九『吸血鬼尾神高志の場合#28』

「じゃあ、作戦準備開始よ。さあ、並んで一人ずつアタシの血を吸いなさい!」

ドラキュラ会長の号令を受けて、世界中から集まったブラキュラ商事の社員、つまりはヴァンパイアたちがズラリと列を成した。
皆、この会社の創始者にして伝説の存在ドラキュラ会長、いや、ドラキュラ伯爵から血を吸うことを前にして、かなり緊張しているようだ。
かく言う僕もひょんな流れからこの作戦の中心あたりにいるけれど、この中では1番の

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物語のタネ その九『吸血鬼尾神高志の場合#27』

物語のタネ その九『吸血鬼尾神高志の場合#27』

「皆で100人のゾンビにアタシの血を注入するのよ!」

ニヤリと笑うドラキュラ会長。

「うちの社員にゾンビに噛まれた人の血を吸い出すだけじゃなくて、ボーイの肉を食らったゾンビ100人を噛んでアタシの血をその身体に入れ込むのよ」

「なるほど!」
ハールマンさんが大きく頷く。
村田さんも、僕も。
「え⁈どういうこと?」
尾神さんはひとり頭の上に?マークが浮かんでいる。
「会長の血がゾンビの体に入り

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