マガジンのカバー画像

吸血鬼尾神高志の場合

39
運営しているクリエイター

2021年7月の記事一覧

物語のタネ その九『吸血鬼尾神高志の場合#17』

物語のタネ その九『吸血鬼尾神高志の場合#17』

僕の名前は勇利タケル。
血液商社「ブラキュラ商事」の新人吸血鬼社員である。

ボーイが入って行った倉庫を見張り始めて1時間ほどが経った。

今のところ、これといった動きは無い。
まるで刑事ドラマのようだ。
というかドラマではなく「刑事リアル」な状況だが。

ふと見ると、駅の方面から人影が。
村田さんだ。

倉庫の方をチラリと見て誰もいないことを確認すると、彼女に向かって手を振った。
それに気付いて

もっとみる
物語のタネ その九『吸血鬼尾神高志の場合#16』

物語のタネ その九『吸血鬼尾神高志の場合#16』

僕の名前は勇利タケル。
血液商社「ブラキュラ商事」の新人吸血鬼社員である。

ボーイがもうすぐやってくる。

撮影所の正門の近くで僕は村田さんと電話をしている。
「村田さん、ボーイが来たら、僕はどうしたら?」
「勇利さん、尾行お願いします」
「尾行⁈あの、やったこと無いんですけど」
「当然です。一般人の方で尾行経験があったら、それはそれで問題です」
「それはその通りですね」
「尾行は基本的に複数で

もっとみる
物語のタネ その九『吸血鬼尾神高志の場合#15』

物語のタネ その九『吸血鬼尾神高志の場合#15』

僕の名前は勇利タケル。
血液商社「ブラキュラ商事」の新人吸血鬼社員である。

撮影所のシャッターが開いたーー

そこから、ゾンビが一人、また一人、そして、ぞろぞろと!
こんなに大量のゾンビ、USJのハロウィンパーティのニュースでしか見たことないぞ。
尾神さんもハールマンさんも村田さんも、ジッと目を凝らしてそのゾンビ軍団を見つめている。

「くそっ!どいつがボーイだ?」
尾神さんが舌打ちする。
ボー

もっとみる
物語のタネ その九『吸血鬼尾神高志の場合#14』

物語のタネ その九『吸血鬼尾神高志の場合#14』

僕の名前は勇利タケル。
血液商社「ブラキュラ商事」の新人吸血鬼社員である。

『Studio3 死霊の煮えくり返るはらわた』

ここだ。
村田さんの同僚からの連絡を受け、僕たちは今、東京郊外の大型撮影所にやって来た。
我々の任務はトップシークレット扱いなので、捜査とは言えず新たな海外動画プラットフォーマーによる極秘の撮影所視察ということになっている。
さすが、警視庁。
真実を暴く力もすごいが、世間

もっとみる
物語のタネ その九『吸血鬼尾神高志の場合#13』

物語のタネ その九『吸血鬼尾神高志の場合#13』

僕の名前は勇利タケル。
血液商社「ブラキュラ商事」の新人吸血鬼社員である。

映画「死霊の煮えくり返るはらわた」の撮影スタジオーー

スーパーマーケットという食べ物や何やらを色々と売っている場所のセットの中に、多くの人間が配置された。
俺を含むゾンビ、今のところ本物のゾンビは俺だけだが、がそこへ雪崩れ込む準備をして待っている。

「それでは、本番行きまーす。本番まで5秒前、4、3、2、1」

隣の

もっとみる