多目的トイレに思いやりが足りない
◆始まり
今回は、この記事で少しだけ触れた、“臭い”の正体と、それにまつわる一連の騒動について今日は書いてみます。
“臭い”の正体について、先に種明かしをしてしまうと、『犬の臭い』です。
事の始まりは今月初め、今まで同じ住所の違うビルに勤務していた、盲導犬を連れた視覚障がいの方と朝のエレベーターが被りました。私も以前はそのビルのほうに勤務していたので、面識がありました。
不思議に思って私が尋ねてみると、付き添いの方が、「今日からこっちに引っ越してきたんですよー」と教えてくださいました。私と同じ階だということでした。
最初に会ったときは、「へぇ〜」と思ったくらいなのですが、私と視覚障がいの方はすぐ再会することになります。
その日の10時過ぎに多目的用となっているお手洗いに入っていると、ドンドンという音が。慌てて撤収をして出ると、その視覚障がいの方と付き添いの方が。
「この子(盲導犬)のトイレに使うんです」とのことで、大体のお時間を教えていただいてから、私はトイレの前から去りました。
◆トラブル発生
正直なところ、盲導犬といえど、犬は犬です。動物です。一応私は人間なので、「犬と同じトイレになるのかぁー…」と少し凹んでいたなか、夕方のお手洗いに行ったときに事件が発覚します。
中に入ると、入り口の扉を収納する壁のあたりに、黄色い液体と強烈な臭いが…!
臭いとその位置から、『盲導犬ちゃんが粗相しちゃったんだ…!』と直感しました。
臭いは相当辛かったですが、転居初日であったこと、粗相してからすぐには臭わないであろうことから、盲導犬や視覚障がいのご本人を私は責める気になりませんでした。
では、私は何を責めたのかというと、会社です。
これまでの流れをご覧ください。
視覚障がいの方が転居してきたこと・盲導犬と多目的トイレが一緒になること……。たまたまご本人と一緒になったから、私はこのことを初日に把握することができていたのです。
初日は慣れずに粗相する可能性があるどころか、盲導犬を連れた視覚障がいの方が転居してくる事実すら、私は会社から知らされておりませんでした。
◆会社への連絡と話し合い
翌日、堪らず私は上司と労働組合の役員(職場で同じチームの方)に、事の顛末をメールしました。結果、私の怒りしかない文章を、上司がかなり丸くした文章に直し、事務方部門に経由で総務へ連絡してくださいました。
後日、総務との話し合い(私と事務方のフロア関連担当と先方、私の上司は都合で来られず)をし、まずは粗相抜きでも多少臭ってしまう部分をどうにかしてもらうことになりました。
ただ、不満として、1つ残ってしまったことがあります。それは、アレルギーについてです。
私が現状、犬アレルギーを発症していないから良かったものの、もし、私が重度の犬アレルギー持ちで、初日に視覚障がいの方と会っていなかったら、どうなっていたのでしょうか?
冗談でなく、私は倒れこみ、最悪その場で助けも呼べずに死んでしまう可能性がありました。
私が話題に出すまで、その重要性に気づきすらしないのは、会社のフロア受け入れ体制として、いかがなものかと思いました。
犬アレルギーについては、かかりつけで検査ができたので、現在結果待ちです。出次第、関係者に報告します。
なお、私が多目的トイレを使うことは当然会社も承知のはず(というか、そのトイレの新設時に私、立ち会いました)です。ちなみに、別の階に他の多目的トイレもありますが、そこも別の車いすの方が使用する前提となっております。総務とのヒアリングで、「想定できる待ち時間を考えると、私が共用するのは厳しいだろうなぁ…」という結論になりました。
通常の女子トイレは狭いうえに、ただでさえ混んでいるとの情報があるので使えません。
一応、私が重度の犬アレルギーだった場合は、盲導犬のトイレ場所として、別のスペースを確保する方針のようです。
しかし、視覚障がいの方に場所を覚え直してもらう、しかも遠くなる……というのは、大変な気がします。私が日常的に使う多目的トイレを変えたほうがいいのかとしれないと思っています。(候補がそこそこ遠いうえにボロいか、一般道に出る必要があるかですけどね)
◆結びに私が伝えたいこと
こんな件があり、ますます会社への不満が募るとともに、私をメイン利用者として新設された多目的トイレに新たなメイン利用者ができたことで、「もう会社を辞めていいよね……」と改めて思いました。
最後に、「このエッセイを見たら、きっと盲導犬ユーザーの方々が傷つくと思う」と感じる方もいらっしゃると思います。それは、私も重々承知しているつもりですが、書かせてください。伝えさせてください。
障がい者同士でも、大なり小なりキャパシティはあります。それを理解せずに、「障がい者同士なら、理解も深いだろうから大丈夫だろう」と思っていた会社が私は許せません。会社の私に対する思いやりが不足していたと思います。
今回、他の不満と積み重なって私は怒りが爆発してしまった状態です。
障がい者を持つ当事者同士でも、すべてを「この人はこういう障がいの人だから、こんなことがあっても仕方ないよね」と納得と理解の両方ができるわけではないことを、皆さまにもご理解をお願いしたいです。
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