約束の線香花火
今年もあなたと
このベランダで線香花火を灯す夜が来た
手を繋いで笑い合いながら
小さな火の玉が揺れる様を見つめる
夜風は蒸し暑いけど
あなたといればそれすら良く思える
心の中は暖かく包まれる
この瞬間が永遠であって欲しいと願う
あなたが「また来年もこうして、花火しようね」
そう囁いた声が心に響く
私も頷いて、笑顔を返す
当たり前のように来る未来を信じて
揺れる火の光が
私たちの笑顔を照らす
あなたがいてくれることの幸せを
ひしひしと感じる夜
線香花火が一つ、また一つと
空に溶けるように消えていく
その儚さが、この時間を愛しく
でも少し切なく感じさせる
来年もきっと
この場所で、あなたと一緒に
夜の線香花火を灯せるんだね、と
小さな光に、ふたりの未来を託す
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