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どうか神様 生きる力をください

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生きづらいこの世の中で、生きていく
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#スキしてみて

逆さまくじら

ある晴れた日、小さな村に住む少女は、一人海辺に座っていました。潮風がそよそよと吹き、波が静かに寄せては返す音が聞こえてきます。太陽は真上から照りつけ、肌をじりじりと刺すようでしたが、少女は気にせずに空を見上げていました。 少女は今日も、何かを待つように空を見上げていました。誰よりも小さな少女はいつも馬鹿にされていました。そんな時は、いつもこうやって海辺に座り空を眺めます。彼女がまだ幼かったころ、世界を旅する船に乗って村にやって来た大きな男の人と出会いました。その出会いが彼女

すたー

星を身につけたら、無敵になれると思うんだ どんな困難もやってのけて 怖いもの知らずに進んでいける、そう信じているんだ でもきっと、それには時間制限があるだろうから 僕の星を使うその日が来るまで、ずっとスターの前で待っているんだ スタートダッシュが大切だから スタートダッシュのスターは星ではないけれど 僕の星が使うその日が来るまで したくないことをしているんだ その時が訪れたら、僕は気づくんだろう 星はただの象徴で、力は自分の中にあったと 待っていた時間も、犠牲も、すべて

神社の呼び声

神社の階段は100を超えるだろうか 額からほとばしる汗と 永遠に続く石階段に意識が飛びそうだ 急に思い立って来たものの 神社の階段ってこんなに辛かったっけ そんな独り言が漏れる ただひたすら登るのは もしかしたら誰かに呼ばれたからだろうか そんな気がしていた 最近、僕はひどく疲れていた 特別大変なわけではないけれど ただの睡眠不足だろう よく眠れない日々が続いた 登るごとに風が木々をざわめかせ 鳥のさえずりが不思議と心に響く 少年時代の記憶がフラッシュバックする 友達

風が運ぶもの

夜の静寂が訪れる頃、 一陣の風が、過去の記憶を運んでくる 何の前触れもなく、胸に触れるその風は 忘れたはずの痛みや後悔を呼び起こす 心がざわめき、かつての感情が蘇っては 吐きそうになる自分が風に乗って 嫌な思い出に一瞬で胸を支配される 心の平穏が揺さぶられ、不安が顔を覗かせる 怯えにも似た感情が覆いかぶさり 過去に縛られるみたいだ 先ほどまで緩やかに流れていた風が 酷く冷たく、荒く吹く フラッシュバックは自分をどこまでも沈め 言葉にならない感情で埋め尽くされてしまう

青の時間と過去

路地の奥にある時計店「アズール・タイムズ」は、時間と空間の狭間である。この店では、時計が止まった瞬間青く光り、その光は「青の時間」と呼ばれる過去へと訪れる者を導く。 彼女はその一人だった。行き場を失くした劣等感がこの店まで引き寄せた。店の扉を押すと、賑やかだった店内の時計たちが一斉に停止し、すべてが深い青色に包まれる。時計師は彼女に語る。「ようこそお嬢さん。ここは青の時間への扉、時間は流れを失い、過去と現在が繋がる場所です。」彼女は安心したかのように微笑み応える。「ずっと、

アクアブルーの夢

そっと目を閉じてイメージした私の未来はどうなっているんだろうって 眠気にも似た感覚で瞼を閉じ、イメージするは未来の私 アクアブルーの世界が広がる たくさんの人が浮かぶ でもそれはフィルターをかけたように アクアブルーに染まって映る 見え方が違う、心のせい? 過去の記憶が色を変えたの? どうしてこんな風に見えるんだろう? 世界の色がアクアブルーしかなくなったような 靄がかかったような 心が創り出す幻影 希望と恐れの狭間で揺れる 儚い未来の景色 その中で見たものは、私

選ばれし者の物語

蝉の止まない鳴き声とベタつく汗を拭い、 夏休みという刹那の時間を古びた図書館で過ごす。 うるさい親も、泣き虫な妹もいない、 どこまでも静寂に浸るこの時間を、魔法の時間以外になんていえばいいんだろう。 図書館の一番奥、専門書が並ぶ棚に人差し指を添えて、 一冊ずつタイトルを読んでいく。 難しい本の中に一冊、埃にまみれた本を見つけた。 光を纏ったようなその本にそっと手を伸ばし、表紙をめくれば、 それは僕を異世界へと導く魔法の本だった。 現実の孤独と無力感に沈んでいた僕、 その本

透明に溺れて

すごく悲しい時に、大丈夫、あなただけが辛いんじゃないからって 落ち込んでどうしようもない時、ほら、前を見て進まなくちゃって 絶望で心が追い付かない時、みんなそうよ、そうやって強くなるのよって 声にもならないくらい辛くて胸が痛くても、新しいステージへ行く準備ができたのよって それでも心は海の中で、静かに漂うクラゲのように 「そうじゃない気がするんだ、そこじゃない気がするんだ」 とつぶやく自分がいる 透明な心を、海の流れに委ねて漂いたいだけなのに 悲しくて落ち込んで絶

「生きる」パズル

「俺は今日が最後でも悔いはない」と人生の先輩が言った。 欲しいものは星のように追い求め、やりたいことは風のように追いかける。 彼の一日一日は、鮮やかな絵筆で描かれ、瞬間の輝きに満ちて、今というキャンバスに色を塗る。 ならば私はどうだろうか。 私の生きる道は、永遠に続く航海のよう。 果てしない海を見つめながら、「なぜ」という問いを帆に掲げる。 そういう道しか知らない。 彼の足元には確固たる大地、私の前には広がる大海原。 それはどちらも旅の一部であり、どちらも探求の形だっ

青い夢の一分間

プールの中に潜れば 世界が広がる 美しい魚たちが 静かに泳いで見える 魚と息を合わせて 深く深く沈む だけど息が続かず 再び浮かび上がると そこには日常が 静かに溢れていた 「もうプール上がるよ」と 耳に届く声 あと1分だけでいいから この世界を忘れさせて あと1分だけでいいんだから あの青い世界に夢を見させて あとがき 詩のテーマは、現実と非日常の対比を通じて時間の流れと儚さを感じさせることです。プールに潜ることで現実の束縛を忘れさせ、深い静寂を表現しています。詩の

青とプール

プールに足を浸して、水を揺らしてみた。 水面に反射する青い空がゆらゆらと揺れた。 いつか絵本で見た、遠い遠い美しい海に浮かんで、 海の青さと波の揺らめきに心を奪われたみたいに。 どれほど世界は広くて、 人はちっぽけなのか知ってみたい。 私はプールの中に入って、体を丸め浮かぶ。 息を止めて、目を閉じて。 暑い夏の日のプール 絵本の世界の大海を感じて。 息が途絶えるときには 思いっきり顔を出して 息を吸って 私は生きていると実感できるだろうか。 あとがき この詩は、プールで

枯れたせせらぎ

かつて、せせらぎのように清らかに流れていた川 その水は透き通り、魚たちは跳ね、虫たちは舞い、 動物たちが水を飲みに訪れる場所だった。 川は誇らしげに言った、「私がここにいるから皆が助かるのだ」と。 だが、その声の中には不満があふれていた。 魚が来れば、川はその泳ぎを非難し、 虫が舞えば、川はその羽音を嘆き、 動物たちが水を飲むたびに、川は愚痴をこぼした。 不満と嘆きが積もるにつれて、 川の水は次第に淀み、澄んだ色を失っていった。 かつての透明な流れは、今や濁った泥の色に変わ

もしも、

もしも空が飛べたなら 僕はどこまで行けるだろうか 雲を追い越し、星に手を伸ばして 夜空の向こう側へ、翼を広げる もしも水中で息ができたなら 僕はどれほど深く潜れるだろうか 青い静寂の底、サンゴの隙間を抜け 深海の秘密に耳を傾け、魚たちと踊る もしも一つ願いが叶うとすれば 僕は何を望むだろうか 時間を止め、瞬間を永遠にするか それとも、全ての痛みを消し去るのか 翼を持つこともできる イルカになって海を渡ることもできる けれど、僕が選ぶのは クラゲのように、ただ漂うことかも

こぼれゆく

手からこぼれないように 閉じ込めて 安心した 安心して眠ったら そこにはもう 何もいなかった 閉じ込めても 消えてしまうなら 手から自由に こぼれ落ちたほうが 何か感じたかもしれない そのほうが よっぽどよかった あとがき 手に入れようとしたものを守るために閉じ込めることの無意味さと、自由にさせることの価値 人それぞれ当てはまる内容が違う詩になります。 私は、「自己防衛」でしょうか。 自己を守りすぎて、人と触れ合うことをしない時期に満足していました