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さてそれではプロフでも作るか。プロフといえばサラダだが。

このタイトルは黒田硫黄の短編『肉じゃがやめろ!』のオマージュです。この漫画は冒頭なんの導入もなくいきなりこの調子のセリフから始まるので、note第一弾の記事として使わせていただきました。そして自分が何を書くかと考えて、やはりプロフだろうと。

プロフ、ロシア語でплов(プロフ)、ウズベク語だとOsh。中央アジア界隈ではこれはほぼほぼ避けて通れない。結婚式のようなハレの日でも、またちょっといい日常食としても食べられる、クミンが香る人参とお肉のピラフ。油脂がたっぷりでキツめの塩やニンニク、場合によっては唐辛子もきかせてあるので、現地の人はこれにパンを合わせると言う、高血圧高脂血症待ったなしの代物である。言わせる人に言わせると「中央アジアの二郎系」。

しかし、やはりなんか美味いんだ。そして定期的に食べたくなるのは二郎系と一緒。油脂すごい。そして怖い。

そんなプロフ、現地の飯屋では店先で大鍋で炊いてるので、作り方はある程度見て覚えられる。動画投稿サイトもあるしね。詳しいレシピはそちらを観ていただくとして、個人的にプロフを作る上でこれは大事と思う点を以下のとおり紹介します。

①プロフの甘みはにんじんの甘み
なのでにんじんはたっぷり入れるべし。一人前に一本、できれば一本半使うこと。
また、油でゆっくり加熱して、にんじん自体を甘くするとともに、油ににんじんの甘みを移すこと。

②肉はできれば骨付き肉か、筋っぽい肉がよい。
現地の店で、大鍋でプロフを炊く様子を見てると、①の工程の前に肉を油でじっくり加熱してるんですよ。そして肉を取り出して、①の工程に移るわけなんですが、やはりここでも肉の味を油に移すことが大事なんですね。プロフはとにかく油が多いんですが、その油をいかに風味豊かにするかがキモだと睨んでます。そのため、加熱するほど味が出る骨付き肉か、筋っぽい肉が合うんでしょうな。
(なお肉は米と炊き込む際に投入する)

その他、油をケチらないとか、塩は強くするとか、水は控えめにするとか色々あるが、それは経験すればわかると思いますが、先述の内容は経験だけではいかんともし難いかと思うので、放出する次第です。

そしてタイトルの意味について。なんでプロフといえばサラダなのかと言うと、現地ではトマトをざく切りや粗めに刻んだサラダ(アチチュクという)が付け合わせとしてとても好まれ、またこれがよく合うんですよ。現地では野菜が不足しがちなので、プロフを食うときは「プロフをおかずにサラダを食う」くらいの勢いで食べてました。なんなら日本に帰国後、スーパーでトマトが安いと、「お、なら冷凍庫の羊肉を放出して今夜はプロフにするか」と思うようになったくらい。
なお、現地では夏前後はトマトがバカみたいに安くなり、このころお店ではアチチュクサラダはトマト100%だったりするのですが、だんだん涼しくなってトマトが高くなってくると、玉ねぎやきゅうりが入ってトマト率が下がったアチチュクサラダになったりします。それもまた美味しいんだけどね。

なお、個人的には、「中央アジアの二郎系」はベシュバルマック(カザフとかキルギスの麺料理)だと思う。それも羊のホルモンとか脂肪たっぷりの野趣あふれるやつ。麺類だし油脂の重たさからいっても適当だと思うが、中毒性では(少なくとも日本人にとっては)プロフに劣るよなあ。

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