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徹底的にパクってちょっと変えるデザインのやり方

ある夏の昼休み。ガンガンに冷房の効いた大学の研究室で友人が僕に話しかけてきた。

「○○ってリモートでインターンしてるって言ってたけど、どんなことしてんの?」

「デザインやってるよ。広告のバナー作ったり、ツイッターの投稿画像を作ったりしてる。ほら、こんなやつ。」

僕はパソコンに映る自分の作った広告バナーを指さした。彼は興味深そうに横から僕のパソコンをのぞきこむ。

「これ○○が作ったの?すげぇわ。○○、才能あるわー。」

僕は彼の誉め言葉に少し照れ臭く思いながら返す。

「才能なんかないよ。良いデザインの広告バナーをいっぱい集めて、良いところをパクってるだけ。」

僕には彼の言うようなすばらしい才能なんかない。小さいころから絵を描くのが苦手で周りから笑われてきた。学校の美術の成績なんかも3以上を取ったことがない。僕はデザインの才能なんか微塵もない平凡な人間だ。

でも、周りから褒められる程度にはクオリティの高いデザインができるようになった。クオリティの高いデザインを作れるようになるのに才能はいらなかったのだ。

ということで、今回は独学でデザインを勉強してきた、弊社インターン生の僕がデザイン力を飛躍的に伸ばすことのできた方法を解説していく。

まず、僕の考えとしてデザインに「才能」はいらないが、たぶん「センス」は必要なんじゃないかと思っている。

デザイン力を上げるために「センス」を磨こう

僕の中の定義で「才能」と「センス」は同じではない。「才能」は先天的に生まれ持ったものであり、「センス」は後天的に磨けるもので知識によって決まるものだと思っている。

デザインのクオリティを上げるには、この知識の集まりとも言える「センス」を磨いていけばよい。センスに才能の有無は関係ない。誰にでも磨ける。

では、どうやって僕が「センス」を磨いてきたか。僕が普段から行っているシンプルかつ強力な方法を紹介する。

プロが作ったデザインをパクりつつ、自分のデザインにうまく取り入れる

デザインには美しくするための原則や型、表現方法が数多く存在している。プロの方々はそういった知識をもとにデザインしている。したがって、センスを磨くためにはプロのデザインをパクって、先人が築き上げたデザインの知識を吸収するのが手っ取り早い。

では具体的にどうやっているか。以下の3ステップで僕は行っている。

STEP 1

質の高いデザインを集めたギャラリーサイトやPinterestなどを使って、自分が作りたいデザインのイメージに近いものを集める。

STEP 2

プロのデザインからパクりたい箇所(文字の加工の仕方、レイアウト、配色など)を探す。

STEP 3

その箇所をパクりながら自分の作るデザインにうまく取り入れる。

このときポイントが2つある。

①プロのデザインを完全にトレースしなくてもよい。
あくまでもデザインをパクる目的はプロの知識を吸収し、表現の引き出しを増やし、自分のデザインに反映させることである。したがって、自分のデザインに取り入れたい表現の箇所を部分的にパクればよい。また、自分のデザインに合うように少しアレンジを加えても構わない。

②なぜそのプロのデザインが良いのかを考える。
大前提としてプロが作ったデザインは「なんとなく」で作られていることは少ない。プロのデザイナーは、一つ一つのデザインの意図を説明できるように作っている。これはつまり、プロが作ったデザインはそうなった理由を言葉にできるということである。これを使わない手はない。

プロのデザインを収集してきたら、プロのデザインの意図を考えてみよう。考え方のコツはそのデザインを作った人になりきることである。

以上が僕の「センス」を磨いてきた「パクってちょっとアレンジする」方法である。皆さんも興味があれば試してみてほしい。

パクる=悪?

ところで、皆さんは僕のパクる勉強法をどう思うだろうか。

僕の経験上、「クリエイティブな仕事をしたい」と言っている人ほどパクるを嫌う。「オリジナリティがなくなるから」と言って、かたくなにパクることを避ける。気持ちはよく分かる。実際、僕も最初はそうだった。しかし、これは大きな勘違いをしている。

そもそも「オリジナリティ」というのはパクった上で出していくものである。

みなさんは「守破離」という言葉を知っているだろうか。

守破離とは:
剣道や茶道などで、修業における段階を示したもの。
「守」は、師や流派の教え、型、技を忠実に守り、確実に身につける段階。「破」は、他の師や流派の教えについても考え、良いものを取り入れ、心技を発展させる段階。
「離」は、一つの流派から離れ、独自の新しいものを生み出し確立させる段階。出典:goo国語辞書

簡単に言うと、武道や芸術を身に着ける学習の理想的なステップを示した言葉である。
・「守」は基礎を身に着ける段階。
・「破」は基礎をベースに応用させる段階。
・「離」は基礎、応用をベースに独自のものを生み出す段階。
この守破離という考えを僕の勉強法に当てはめてみよう。

「プロのデザインをパクる」という段階は、「守」にあてはまる。パクることでプロのデザインに使われている型や技を身に着けている。「パクったところを自分のデザインに取り入れる」という段階は、「破」や「離」にあてはまる。プロのデザインの表現を部分的に自分のデザインに取り入れることで、独自の新しいものができる。

つまり何が言いたいかというと、プロのデザインから型や技を盗んで身に着けた上で、自分なりにアレンジしていくことで初めて「オリジナリティ」出てくるということだ。逆に言えば、型がない状態でオリジナリティを出そうとすると、必ずメチャクチャになる。

「ダサいデザイン」の正体はまさにこの「型がない状態でオリジナリティを出そうしたデザイン」だ。

パクらない人は成長が止まる。

僕は本気でそう思っている。

みなさんも勉強の手段としてパクってみてはいかかでしょうか。

まとめ

僕が今回紹介した学習法はデザインに限らず、あらゆるスキルを習得する際に応用できる。何かを学習するときには、先人たちが築き上げたすばらしい知識の集積を吸収するつもりで、リスペクトを込めてどんどんパクってみてほしい。

おそらく、みなさんが尊敬しているさまざまな分野のプロの方も初心者のころは憧れている人のまねをしていただろう。

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