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一億総在宅勤務社会における、あるべき報酬制度【人事コンサルの視点#2】

「オフィス不要論」が日に日に盛り上がってます。本日の日経新聞でも、私が目を通した記事の内、3記事ありました。
もしもこのオフィス不要論が定着し、日本中の会社員が自宅で仕事をするとなった場合、企業は社員に対してどのような給与を支払うことが合理的か?
来たるべくポストコロナ、アフターコロナのために、人事コンサルの視点から、社員に対する報酬のあり方の変化を予測します。

1.必要な手当、それによる人件費への影響

原則として、「自宅で仕事をさせることによって発生する、社員の経済的負担」に対しては、支給することが合理的です。代表的なものでは、以下があります。
①光熱費
②通信費

また、これは経営の考え方に依存しますが、福利厚生として、勤務環境を整備することを重視している場合には、自宅でも快適に仕事をすることができることへの支援が考えられます。基本的には、これまでオフィスに行っていた投資を、個人宅で置き換えれば良いと思います。
③姿勢矯正クッションなど、座る環境を整備するグッズの支援
④お茶・コーヒー代 など

注意しなくてはならないのは、「時間外算定基礎の除外項目に当たらない限りは、人件費増の要因となり得る」ということ。つまり、手当として毎月固定支給にしてしまうと、時間外手当を算出する際に、基本給と合算されてから割増率を乗算されるから、今までよりも時間外手当のコストが上がる可能性があるよ、ということです。

とは言え、①・②は、手当として毎月支給しなくてはいけないでしょうね。間違いなく発生するものなので。
一方、③、④は、購入後に経費精算してくださいね、とすれば、給与支給にはならないので、時間外算定基礎には当たらないことになります。

反対に、通勤交通費として毎月定期代を支給する必要はなく、これも出勤日数に応じた実費精算とした方が合理的です。

2.成果物の良し悪しから、基本給が決まる

「部下の仕事ぶりが見えない…」と嘆く管理職の声を取り上げたニュース記事を見かけますが、在宅勤務である以上、仕方ありません。今後は、成果物の良し悪しから、部下の能力を評価するしか有りません。それによって人事評価を決定し、翌期の基本給を決定するのです。

3.意欲態度に関する評価は、報酬決定に必要か

企業によっては、「情意評価(意欲態度評価)」を行ない、昇格や基本給決定に影響を与えているケースがありますが、成果物中心の評価になると、意欲態度の観察が難しいと思います。これについて、考えられる選択肢は以下のとおりです。
①ソーシャルディスタンスが求められる社会において、周囲への影響を考慮するために行われていた意欲態度評価そのものの有効性が失われているため、廃止する。
②ソーシャルディスタンスを保ちながらも、やはり組織体として、他者と関わりながら仕事していることには変わりない。ただし、今までは、勤務姿勢として、部下から滲み出る態度(つまり無意識的な姿勢)を評価していたが、今後は、部下が自らの姿勢やオピニオンを積極的に発信することで、周囲への影響力を発揮する。社内SNS等を用意し、そこに投稿された頻度や内容から、社員の意欲態度を評価することが、新しい時代の意欲態度評価である。

もし、②の考え方が主流となったら、noteユーザーは大チャンスですね。

以上、在宅勤務における報酬のあり方の将来予測でした。


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